TRAVEL ESSENTIALS

私をインスパイアする旅——ライフスタイリスト 大田由香梨が選ぶ、トランクの必需品

旅先でより快適な時間を過ごすために、旅の達人がトランクに入れる必需品とは? ライフスタイル全般をスタイリングする大田由香梨さんに、クリエーションを刺激した2つの旅とその準備、現地での過ごし方を聞いた。

STYLING & PHOTO BY YUKARI OTA(TOP)
PHOTO BY TOMO ISHIWATARI(STILL)
TEXT BY MIHO MATSUDA

クリエイションを刺激する大自然への旅

ファッション、食、空間、すべてをスタイリングするライフスタイリスト、大田由香梨さんが足を運ぶのは、ケニア、モンゴル、ボリビアなど自然が溢れる秘境の地。

「インプットが多い東京にいると、それを自分の中で整理したり、自分自身を見つめ直したりする時間が必要になります。だから旅は基本的には一人。自分に向き合える場所を選ぼうとすると、大好きな自然の場所に足が向かいます。その場にしか存在し得ない“色”に出会い、そこに身を置くことでインスピレーションを得ることもあります」

モロッコのメルズーガから車で1時間半の場所にあるサハラ砂漠。撮影:大田由香梨

昨年、訪れたのは一面に砂丘が広がるモロッコのサハラ砂漠だった。

「今回は珍しく友人と一緒に、カサブランカからメルズーガに行き、そこから車で1時間半ほどかけてサハラ砂漠へ。実際に現地へ行くと、すぐに砂地があるわけではなく、“ブラックデザート”と呼ばれる枯れた荒地が延々と広がっていました。ブラックデザートを抜けると、突如、現れる美しい砂のオレンジと真っ青なブルーの空のコントラストに圧倒されます。サハラ砂漠と聞いてイメージするきれいな砂地は、車ならたった1日で回れるくらいの大きさでした。滞在期間中はずっと砂漠地帯で過ごしていましたが、ベルベル人が経営するテント型のホテルはとても快適で、夜は焚き火の周りで星を見ながら眠ったり、比較的気温の涼しい日の出と日没にはラクダに乗って砂漠を横断したり。とても貴重な体験でした」

大田さんが宿泊したテント型ホテル。内部はグランピングのように快適に過ごせる。撮影:大田由香梨

自然の豊かな場所を旅するとき、荷物は極力少なくすることが鉄則だ。

「ロストバゲッジもそうですが、治安の悪い場所ではスリや窃盗に遭うことも。自分の身ひとつで行動できるように、なるべく荷物は削ぎ落とします。決して安全な場所ではないという緊張感で、すべての感覚が研ぎ澄まされる感覚もあります。旅先に持参して便利なのはストール。首や肩に巻けば防寒に、砂漠ではマスク代わりになりますし、私のカラーの髪の毛は旅先ではとても目立つので、時には頭に巻くことで現地に馴染むこともできます。現地では、民芸品などが大好きなので、よく民族衣装やアクセサリーを購入します。例えば日本でも、海外の方が着物を着ていると、日本文化に触れてくれた気がして嬉しくなりますよね。そこで暮らす人の目線を体験することは、私自身も嬉しいですし、現地の人も喜んでくれます」

次なる旅は、チベットへ。中沢新一の著作『チベットの先生』を片手に、旅の計画を練っているところだ。

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1/5エフォートレスなフラットサンダルは、ホテルで過ごす時間も重宝するし、ワンピースに合わせて抜け感を演出してもいい。サンダル¥49,000(ネウス/エストネーション/六本木ヒルズ ウェストウォーク1F & 2F)
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2/5日中暖かい場所でも夜になると冷え込むことも。そんなときに、1枚羽織れるものがあると便利。シルクシャツ¥52,000(ラブ ストーリーズ/エストネーション/六本木ヒルズ ウェストウォーク1F & 2F)
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3/5ビーチのある場所にはぜひ水着を。今年はクラシカルなラインのワンピースタイプがトレンド。スイムウェア¥17,800(TAARA/ユナイテッドアローズ 六本木/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F)
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4/5トランクにぴったり入るように、自らデザインしたミニバッグ。大きいものはA4が入るのでiPadもすっぽり。「これ一つで散歩にも使えるので、何かと便利です」(大田さん私物)
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5/5大田さんがリラックした旅に持っていくのがこの2冊。中沢新一『チベットの先生』とバンテ・H・グナラタラ『マインドフルネスを越えて』(大田さん私物)

ビジネストリップのニューヨーク
ホテルでは読書とボディメンテナンスを

撮影や現地のショップの空間ディレクションのために、1年に何度も足を運ぶニューヨーク。昨年は仕事で6回ほど渡航したという。

ブルックリンのダンボ地区からマンハッタンを望む。撮影:大田由香梨

「撮影やファッションウィークのほか、2016年にオープンした〈MOUSSY SOHO NEW YORK〉の空間デザインを手がけていることもあり、仕事でよく足を運びます。アートや建築が好きなので、空いた時間にギャラリーに行ったり、気になるショップを見て回ったり。ラバーソールで足が疲れない〈ドクターマーチン〉は必需品です。ホテルで過ごす一人の時間は、読書やスキンケアの時間に。忙しい東京を離れて、一人でゆったりと過ごすのも旅先ならではの時間の使い方です」

ホテルでは時間をたっぷり使って自分をいたわる時間に。大田さんが旅に持参する愛用のコスメ。撮影:大田由香梨

ビジネストリップのパッキングも、荷物はなるべく少なく。仕事道具はiPadに集約して、ニューヨークにもあるものは現地調達するのが、大田由香梨さん流。

「洋服は1週間の着まわしを考えて準備します。ディナーで会食することもあるので、素敵なドレスとシューズを1セット持って行くのもニューヨークの楽しみのひとつですよね。それから、旅先では気持ちが昂りやすくジェットラグもあるため、十分な睡眠がとれないことも。そんな時は嗅覚を利用しています。自宅で睡眠時にフレグランスやボディクリームを習慣として使っているなら、旅先でも同じ香りを嗅ぐことで自然と心が落ち着き、眠りにつくことができます」

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1/6どれだけ歩いても疲れないドクターマーチンのブーツ。10ホールの上をカットするなど自分流にカスタマイズ。(大田さん私物)
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2/6キャッシュレスの時代だから、バッグは小さく身軽に。ウエストポーチ¥43,000(メゾン ボワネ/エストネーション/六本木ヒルズ ウェストウォーク1F & 2F)
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3/6ニューヨークだけでなく、どこにいくにも一緒のサングラス。オリバーピープルズとザ ロウのコラボレーションモデル。(大田さん私物)
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4/6眠れないときはとにかく光をシャットアウト。移動中の機内でも活躍するアイマスク¥7,300(ヴァイオレット アンド レン/エストネーション/六本木ヒルズ ウェストウォーク1F & 2F
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5/6バレードのフレグランスは大田さんが日常的に使っているもの。旅先でも普段と同じ香りをまとえばが、気持ちがリラックスしていつの間にか安眠へ。(大田さん私物)
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6/6ビジネストリップでの読書は緊張感を持続させてくれるものをチョイス。落合陽一『日本再興戦略』(大田さん私物)

ちなみに、大田さん流のジェットラグ解消のコツは、飛行機の中では食事をしないこと。

「食事を取ると体内時計がそれに合わせてしまうので、飛行機の中では胃の中を空にして、現地に到着してから時間に合わせて食事をするようにしています。それからしっかり太陽の光を浴びること」

バケーションが増えるこれからの季節。この旅のメソッドを参考に、快適な旅を楽しんでみては。


大田由香梨|Yukari Ota
ファッション誌を中心に、スタイリストとしてキャリアをスタート。その後、ファッションをベースに、衣食住すべてのスタイルを提案する「ライフスタイリスト」という新しいジャンルを確立。現在は広告や映像のクリエイティブディレクション、企業へのコンサルティングや、外苑前のカフェ・レストラン「ORGANIC TABLE BY LAPAZ」をプロデュースするなど幅広く活動する。

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