GUIDE TO ANTIQUE WATCHES

女性コレクターが増加中! 豊かな時を刻むアンティーク・ウォッチ入門

暮らしを豊かにするアイデアを、ヒルズエリアのエキスパートに教えてもらう連載「Tips for Life」。今回は「アンティーク・ウォッチ」にフォーカス。表参道ヒルズでレディスのアンティーク・ウォッチを専門に扱う〈ケアーズ 〉の森川洋史さんに、アンティーク・ウォッチの魅力や年代ごとの特徴、お手入れ方法を教えてもらった。

TEXT BY MIHO MATSUDA
PHOTO BY MANAMI TAKAHASHI

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1/6TIFFANY&Co. 1928年 プラチナケースにダイヤがあしらわれたアールデコ期のアンティーク・ウォッチ。ムーブメントはIWC社製で、文字盤のアラビア文字のフォントが当時を彷彿とさせる。裏蓋にはこの時代の特徴であるエングレービング(凹凸の装飾)、リューズは花をモチーフにしており、手作業ならではの繊細さを感じさせる(¥756,000 / 税込)
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2/6VAN CLEEF&ARPLES 1960年代 ハイジュエリーメゾンの〈ヴァン クリーフ&アーペル〉の稀少なヴィンテージ時計。マットでスエードのような質感のダイアル(文字盤)は女性向けでは珍しいブラック。優美な曲線が美しいゴールドのロングケースは、ジュエリーメゾンならではのモダンなエレガンスを感じさせる。ベルト幅は細身の8mmで、時計の美しさが映えるデザイン(¥594,000 / 税込)
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3/6JAEGER LECOULTRE 1940年代 ひし形の長短針、アラビア数字は夜光インデックで視認性が高く、時計のケースとベルトをつなぐ「ラグ」や、シャープなベゼル(風防の周りに取り付けられるリング状のパーツ)がメンズライクなデザインの〈ジャガー・ルクルト〉。ケースは製造当時のフォルムをそのまま残した良好なコンディション(¥216,000 / 税込)
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4/6ROLEX 1950年代 ホワイトゴールドをベースに、ケース全体に敷き詰められた小さなメレダイヤと、上下にセットされた大粒のダイヤがラグジュアリーなジュエリー・ウォッチ。スクエアのケース、アイボリーダイアル(文字盤)、細いスネークブレスなど、アンティークの良さを感じさせる一本(¥950,400 / 税込)
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5/6OMEGA 1952年 18金のイエローゴールドが上品な輝きの〈オメガ〉。キャンバス地のような質感のダイアル(文字盤)や、リーフ針など1950年代らしい特徴をもつ。丸みのある風防、裏蓋、ツイストされたラグ(ベルトとケースをつなぐ部分)などディテールにまで柔らかさを感じさせるデザイン(¥199,800 / 税込)
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6/6 PATEK PHILIPPE 1960年 パテック フィリップとベイヤーのダブルネーム。文字盤をぐるっと取り囲むように20粒のオープンセッティングのダイヤが輝く。35粒のダイヤがはめ込まれたテニスブレスレットは、繊細な印象でありながら連結部は太いピンで固定されているため安定した装着感がある。ブレスレットのサイズは、1コマ単位で調整が可能(¥2,052,000 / 税込)

手仕事の結晶、機械式時計

機械式時計の時計が多く製造されたのは、1900年代初頭から1960年代頃まで(一部1970年代)。1969年に日本の時計メーカー〈セイコー〉がクォーツ時計を発表し、軽くて大量生産が可能なクォーツ時計が市場を席巻していく。

「〈ケアーズ〉で取り扱うのは、アールデコ期の1920年代から1970年代頃までの機械式時計です。クォーツ時計は古くなると機械ごとの交換や場合によっては修理不能になる場合があるのに比べて、機械式時計は劣化した部品を取り替えれば長く使うことができます。私たちは、長く使える時計に価値があると考えています」

長く使える機械式時計だからこそ、20世紀初頭の時計が今も元気に時を刻む。さらにアンティーク時計は、当時だからこそ実現できた時代を反映したデザインも魅力のひとつ。

「大量生産以前の時計は手仕事の結晶。実は、現代では再現できないものも多いんです。製造コストがかかることはもちろん、質感が出せない。メーカーからアンティークの復刻版がリリースされても、当時の質感が再現されていないからと、むしろオリジナルであるアンティークの価値が高まることもあるほど。現存する当時の機械を使って製造すると、オリジナルより価格が2〜3倍高くなってしまうこともあります」

アンティーク・ウォッチには、当時の文化を伝えるだけでなく、高度な技術を現代に伝えるものでもあるのだ。

レディスは今が狙い目!

男性には人気の高いアンティーク・ウォッチだが、それに比べると女性のコレクターはまだ少数。

「時計よりもジュエリーにお金をかける方が多く、女性のコレクターは男性に比べるとそれほど多くはありません。しかし、最近では、セレクトショップなどの取り扱いも増え、人気が高まっています。女性向けの時計は、同時期に製造された男性向けの商品と同様の技術や構造が反映されているので、クオリティが高くデザインも個性的です。価格帯は7、8万円台からダイヤ付きのジュエリー・ウォッチで100万円を超えるものなど様々ですが、全体的に男性ものに比べるとリーズナブルな商品が多くあります」

コレクターが増加中とはいえ、まだ少数という女性向けのアンティーク・ウォッチ。狙うなら今がチャンスだ。

アンティーク・ウォッチのケア方法


❶ 3、4年に1度はオーバーホール
「毎日することは、ぜんまいを巻く、時刻合わせをするといったことくらい。1本の同じ時計を毎日使うのではなく、なるべく数本の時計をローテーションして使うとより長持ちします。使用頻度にかかわらず、内部の油が切れてしまうため、3、4年に一度はオーバーホールしましょう」(森川さん)。写真は〈ケアーズ〉の修理工房でのオーバーホール。



❷ 長持ちの秘訣はこまめな修理
機械式はどうしても誤差が生じてしまうことがあるが、誤差が気になる場合は修理へ。「ケアーズでは、なるべく1日1分以内に調整する高い技術を持っているので、お気軽にご相談ください。また、水に濡れた場合も、放置せずにすぐに修理へ。もう少し早ければ修理できたのにと悔やむこともあります。また、機械式時計は磁気に弱いため、なるべく携帯電話と離して保管してください。バッグや財布のマグネットホックにも接触しないようにご注意ください。アンティーク・ウォッチは一生ものなので、大事にお使いいただければ何世代にも渡ってご使用いただけます」(森川さん)。

ケアーズ
※注…ケアーズ表参道ヒルズ店は、ケアーズで購入した商品のみが修理対象。他社で買った1970年代以前製造の機械式時計は、モデル、状態によって修理工房にて受付可能です。掲載した商品は1点もののため、売り切れの可能性があります。


森川洋史|Hiroshi Morikawa
ケアーズ 表参道ヒルズ店店長。二級時計修理技能士。世界各地のアンティーク・ウォッチを取り扱う「ケアーズ」の中でも、表参道ヒルズ店は1920年代から1970年代までのレディスアンティークウォッチを専門に取り扱う。自社の修理工房をもつため、アフターケアも万全。適切なメンテナンスで長く使うことができる。