暮らしを楽しむためのさまざまなアイデアや工夫を、ヒルズエリアのエキスパートに教えてもらう連載「Tips for Life」。今回のテーマは「ハンカチーフ」。今年15周年を迎える〈クラシクス・ザ・スモールラグジュアリ〉六本木ヒルズ本店店長の輿水あさみさんに、ビジネス、フォーマルなどシーンごとの選び方や、心を豊かにしてくれるハンカチーフの愉しみ方を教えてもらった。
TEXT BY MIHO MATSUDA
PHOTO BY TOMO ISHIWATARI
小さな正方形に、歴史のロマンや人々の想いを込めて
古代エジプトのダジュール王女(紀元前3000年代)の墓から麻の端切れが発見され、その時代には存在していたと考えられているハンカチーフ。中世ヨーロッパでは恋人にイニシャルや紋章入りを贈ることが流行したりと、古くから実用性だけでなく高貴な身分の象徴や愛を込めた贈り物として用いられていた。18世紀には、ヨーロッパのファッションリーダー的な存在であったマリー・アントワネットが、円形など様々な形状のハンカチーフの中から、正方形のものを国内外に広めたとも言われている。
現在では、身だしなみとしてだけでなくファッションアイテムとして親しまれている。「身近な存在であるハンカチーフは、人生に寄り添うもの。ウェディングなど冠婚葬祭はもちろんですが、毎日の暮らしでも、お気に入りの一枚を持つことで心が豊かになります。私たちは、そんなささやかだけれど大切なものをお届けできるように努めています」と〈クラシクス・ザ・スモールラグジュアリ〉六本木ヒルズ本店の輿水あさみ店長。
ギフトとしても用いられることが多いが「贈る人をイメージしてデザインを選んだり、イニシャルを刺繍したり、その人への想いを形にできるのがハンカチーフ。初任給で両親への感謝として贈ったり、出産祝いとして赤ちゃんの名前や生まれたときの体重を刺繍したり、寄せ書きを刺繍にして贈る方もいらっしゃいます」と語る。コミュニケーションツールになったり、バッグやポケットに忍ばせた自分だけのひそやかな贅沢として愉しんだり。ハンカチーフは50cmにも満たない小さなハンカチーフだが、使い方とアイデア次第でその世界は広がっていく。
覚えておきたい、ハンカチーフの選びかた
❶ 上質な素材と縫製
カリブ海沿岸のベイリーズ、ジャマイカ、アンティグア、ネービス、バルバドスのみで生産される海島綿(シーアイランドコットン)。繊維が長く、なめらかな肌心地と上品な光沢が特徴だ。さらに縁にも注目。「手巻き」で縫製されているものは、ふわっと柔らかい印象になる。
❷ ギフトには美しいベトナム刺繍
特別なギフトには、ベトナム刺繍が美しいハンカチーフを。ベトナムの古都「フエ」で1針1針手仕事で縫いあげ、裏から見ても美しい仕上がりに。左から 各¥10,800、各¥5,400、各¥3,240
❸ 歴史に想いを馳せるアンティーク
ヨーロッパでは王侯貴族に古くから愛されてきたレースのハンカチーフ。日本では1880年頃の鹿鳴館時代に急速に広がったと言われている。〈クラシクス・ザ・スモールラグジュアリ〉ではアンティークレースを復刻したアイテムもあるが、本物のアンティークも扱っている。左から¥21,600、¥16,200、¥32,400。
❹ 刺繍を入れて世界でひとつのオリジナルに
お気に入りのハンカチーフを見つけたら、そこに刺繍を入れて自分だけのオリジナルにしてみよう。同店では33書体のイニシャル刺繍やモチーフ刺繍のオーダーを受け付けている。小さな刺繍なら、当日受け取りが可能。
❺ レースの愉しみと実用性を1枚で
レースには憧れるけれど、実用性も欲しい…、という方にぴったりなのが、1/4のみレースになったアイテム。折り方によってはレースが美しい手元のアクセサリーにもなるし、実用的なハンカチーフにもなる。各¥3,240
輿水あさみ|Asami Koshimizu
「クラシクス・ザ・スモールラグジュアリ」六本木ヒルズ店長。CLASSICSは英語で「第一級の、上品な、高尚な」、Small Luxuryは「密やかな贅沢」を意味する。毎日の暮らしの中で「ささやかだけれど大切なもの」としてハンカチーフの愉しみを届けている。
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