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小説家・山内マリコさんが愛する食器・インテリア雑貨のお店

買い物についてまとめたエッセイ『買い物とわたし お伊勢丹より愛をこめて』(文春文庫)を執筆するほど、お買い物好きとして知られる山内マリコさん。「日本のサン=ジェルマン・デ・プレ」と呼ぶ表参道界隈から、「クールな都会」と表現する六本木までの食器と雑貨を巡る散歩ルートを教えてもらった。

ILLUSTRATION BY NATSUKI CAMINO
TEXT BY MIHO MATSUDA

都会への幻想と、パリへの憧れを満たしてくれるお店たち

デビュー作『ここは退屈迎えに来て』など地方に生きる女性たちのリアリティを描き、都会出身者と地方出身者の女性の生き方を対比させた『あのこは貴族』など、都会と地方をテーマにすることが多い山内マリコさん。彼女にとって表参道は「日本のパリ、サンジェルマン=デ・プレ」だと語る。

「表参道には路地裏に至るまで、店主のこだわりが詰まったかわいいお店がたくさんあります。それはまるでパリのようであり、地方出身者が憧れる都会の風景そのもの。今でこそ、表参道に通うことに抵抗がなくなりましたが、2年前ほどまでは、背伸びして行く街でした」

渡仏したのはこれまでに1度だけだが、学生時代から繰り返し見たフランス映画で憧れを募らせた。

「パリのような雑貨店、フラワーショップ……。表参道はフランスへの憧れを満たしてくれるお店がたくさん存在します。一方で、六本木は表参道に比べるとクールで都会的。どちらの街も、行くたびに『あぁ、ここは東京だなぁ』とワクワクさせてくれます」

山内さんが提案する道順は、表参道駅からスタートし、まずは路地に佇むZakkaへ。そして表参道のお店を周り、六本木通りを越えてフラワーショップのル・ベスベ。そこから国立新美術館へ足を伸ばし、AXISビルのリビング・モティーフとサボア・ヴィーブル、最後にビル1階のレストラン「バトー」でフィニッシュ。「都会ならではの楽しみ」というこの散歩コース。山内さんの小説を片手に、休日にトライしてみてはいかが?

山内マリコさんのお買い物アドレス
表参道〜六本木編

バザー・エ・ガルド・モンジェ
一生とっておきたいもの、楽しく暮らすために必要なものをフランス人バイヤー、マルト・デムランさんが表現。フランスを中心とするヨーロッパのインテリア雑貨、キッチンツール、照明や、不思議なオブジェが並ぶ。「植物が溢れたディスプレイに惹かれて店内に入ると、雑誌でよく見ていたマルトさんのお店だということを知り、それからよく足を運んでいます。カーテンなどのインテリア雑貨を購入しました。私のフランス憧れを解消してくれるお店です」

ザッカ(Zakka)
「表参道の小さな路地にあり、何度も探してやっと辿り着いたのがこのお店。作家ものの器を扱っているのですが、手が届くお値段が多いのも嬉しいポイントです。こちらで買い求めた器は、不思議と使うほどに愛着が増していくんです。お店の空間から、商品のラッピングまでどれを取っても素敵。とても美意識が高いのに、全体の雰囲気は柔らかく心地いい。時間を見つけては足を運んでいます」

青山ウィークリーアンティークマーケット
アンティークを中心に、果物や農産物、食品も集まる骨董市とファーマーズマーケット。「いつもより少し早起きして表参道に出かけると、出会うことができる都市型のアンティークマーケット。大規模なものは見るだけで疲れてしまうけれど、ちょうどいい大きさで、顔なじみになった出展者の方との交流しながら、少しずつ買い足していく楽しみがあります。食品のブースもあり、定期的にお米を購入する故郷・富山の濱田ファームさんも出展しているのが嬉しい」

メゾン オルネ ド フォイユ
青山学院大学のそばにある、メゾン オルネ ド フォイユ。「器やカトラリーなどのキッチン用品のほか、インテリア小物や雑貨も充実しています。お店の雰囲気は、まさにヨーロッパの街にある雑貨店。お店にいると外国にいるようで、自分の中に存在する『女子』が夢中になってしまいます。地方から東京に憧れる人にとって理想的なお店です。ウェブサイトもあるので、そちらもよくチェックしています」

ル・ベスベ
フラワーアーティストの高橋郁代さんが創業したフラワーショップ。「雑誌でみかけて以来、書籍『ル・ベスベ花物語』も読み、ずっと憧れを募らせていました。南青山の六本木通りの裏路地にあり、それまで訪れるタイミングを逃していたのですが、友人にお花を贈る機会がありそのとき思い切って伺うと、蔦の絡まるお店の外にも中にも植物やお花が溢れて、まるでフランスのよう。大型冷蔵庫の中ではなく、お花がナチュラルに並べられていることにも感動しました」

スーベニアフロムトーキョー
国立新美術館にあるミュージアムショップ。「美術展のついでに立ち寄ることが多いのですが、アーティストが手がけた雑貨や、アートブック、書籍、観光客のお土産にもぴったりの和雑貨や、作家ものの器などをバランスよく取り揃え、ミュージアムショップを超えて雑貨店としても高いクオリティ。国立新美術館を訪れたら、立ち寄らずにはいられないお店です」

リビング・モティーフ
30年以上にわたり、デザイン性の高い本物のインテリアを提案し続ける、六本木のランドマーク。「都会的なイメージのある街、六本木を象徴するようなお店です。歴史に名を残すデザイナーズ家具やインテリア雑貨、本格的なアウトドアファニチャー、洋書まで取り揃えており、ハイエンドなものも多くありますが、例え手が出せない名品でも見るだけでの目の保養に。これも都会ならではの楽しみです」

サボア・ヴィーブル
リビング・モティーフと同じくAXISビルにあるショップ&ギャラリー。工芸品とアートピースを幅広くセレクトする。「土の質感に惹かれ、作家ものの器に興味を持ち始めた頃、あちこちから情報収拾して辿り着いたお店です。作家の作品を扱っているのですが、普段使いできるような器も多く、こちらでいくつか購入しました。ギャラリーも併設していて、超絶技巧のガラス作品に感動したことも」

山内マリコ|Mariko Yamauchi
1980年富山県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業。12年『ここは退屈迎えに来て』でデビュー。地方に生きる女子のリアリティを見事に描く作風で話題となる。第2作の『アズミ・ハルコは行方不明』は16年に映画化された。新作は商店街を舞台にした『メガネと放蕩娘』(文藝春秋)。

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