AUTUMN TABLE SETTING

料理家・谷尻直子が探す、秋を味わうための器

味覚の秋、到来! 秋刀魚やきのこ、栗やさつまいも……、そんな秋ならではの食材を使った料理には、同じく秋らしい器を用意したいもの。料理家の谷尻直子さんと六本木を散策して、秋の料理が映える器を探しました。

TEXT BY Yuka Uchida
PHOTO BY Kiyoko Eto

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1/3長谷川奈津 平皿|桃居 主に常滑の土を使い、林檎の木を燃やしてつくる「林檎灰」を混ぜた釉薬をかけた、長谷川さんの平皿。この皿は一度焼いた後、再び釜に入れる「やきなおし」という技法によって、マットな白の表情が生まれている(¥7,000)
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2/3長谷川奈津 茶碗|桃居 鉄が噴いた部分が点々と濃いグレーになり、渋い表情をつくっている茶碗。これも同じく林檎灰を混ぜた釉薬。釉薬の溶けが進むことでグレーになるという(¥3,500)
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3/3長谷川奈津 湯のみ|桃居 しっとりと手に吸い付くような質感の湯のみ。白ともグレーともいえない微妙な色がうつくしい(¥2,700)

作家の繊細な感性が、メイン料理を引き立てる

最初に訪れたのは、西麻布の交差点から路地を入るとある「桃居」。店のオープンは1987年。店主の広瀬一郎さんは、全国の器好きはもちろん、作家からも信頼の厚い人物だ。「顔の見える作り手と顔の見える使い手の橋渡しを」という思いで、30年間、店を続けている。

「桃居さんが扱う作家さんはどの方も素敵。軸が一本通ったような、ブレのないセレクトなので、とても信頼しています」と谷尻さん。取材時に開催されていたのは、神奈川県の津久井郡(現・相模原市)で作陶する長谷川奈津さんの個展。器だけでなく、花器や茶道具も並ぶ、見応えのある内容だった。

「桃居」では、常に作家の個展が開催されており、その間に店に並ぶのはその作家の器のみ。2017年11月3日〜7日は青木良太の個展、11月10日〜14日は浅井純介の個展が開催されるという具合だ。店主の広瀬さんが声をかけた、今を生きる作り手たち。個展という場だからこそ、その作風にじっくりと向き合うことができる。

桃居|toukyo
1987年オープン。陶磁器だけでなく、木工や金工など、生活に根付いた工芸品を紹介するギャラリー。店主の広瀬一郎さんのものを見る目に、多くの作家が信頼を寄せている。安藤雅信、小野哲平、艸田正樹、赤木明登、三谷龍二など人気作家を多く取り扱う。

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1/3角田淳の白磁器の小皿|GALLERIA645  佐賀県・有田で勉強した後、現在は大分県・宇佐市で作陶する、角田淳さん。白磁の柔らかな白が特徴だ。生活に根ざした器も多く、この小皿は生姜やワサビを下ろした後、そのまま醤油を垂らして使える(大¥3,500、小¥2,500)
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2/3眞喜屋修の茶碗|GALLERIA645 沖縄のやちむんをモダンにアップデートした眞喜屋修さんの器。藍で描いた模様は、ドットとも呼べるが、「点打ち」と言ったほうが、やちむんらしい。40代と若い、注目の作家(¥2,200)
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3/3松原竜馬の平皿|GALLERIA645 大分県・宇佐市で活躍する、松原竜馬さんの平皿。シンプルな佇まいだが、絶妙なサイズ感でデザートも副菜も見事に映える。派手さではなく、日常に馴染むことを大切にした、普段使いの器だ(¥3,500)

およそ100名の作家の中から、自分の感性に合う器を探す

続いて向かったのが、六本木交差点から徒歩5分の場所にある「GALLERIA645」。古い民家を生かした空間にずらりと器が並んでいる。取り扱い作家はおよそ100名。中でも、やちむんや有田焼の器が多いという。

「宝探しをする感覚で楽しめる空間ですね」と言いながら谷尻さんが選んだのは、シンプルな小皿や中皿。手にするたびに「これは鍋の薬味にいいかも」「これはデザート用に」と盛り付ける料理のイメージを伝えてくれる。

器選びのポイントはここにあり。具体的な料理をイメージしながら手にするだけで、器そのものの見え方も変わるから面白い。シンプルな白い器だからこそ、生える料理もあるのだ。テーブルセッティングはバランスが大切。料理との調和、器通しの調和を考えながら選べば、食卓はいっそう楽しくなる。

ガレリア645|GALLERIA645
六本木で10年近く続く器のセレクトショップ。昭和25年築のレトロな住宅の中に、骨董市のような賑やかな空間が広がる。ヴィンテージの有田焼なども販売。店主の人脈を生かした、実力派の若手作家が揃う。

谷尻直子さんの「秋刀魚のトマトソーススパゲティ」

  作り方(2人前)
  トマト缶————————1缶
  ニンニク————————1片
  はちみつ————————小さじ1/2〜小さじ1
  塩(トマトソース用)——小さじ1
  ローリエ————————3〜4枚 
  オリーブオイル—————大さじ2程度
  秋刀魚—————————1尾
  スパゲティ———————160g
  チャービル———————適量

①秋刀魚に塩を振り、250℃に余熱したオーブンで15分焼き、ほぐしておく。
②トマトソースをつくる。小鍋にオリーブオイルと潰したニンニクを入れ、香りが立つまで弱火にかけ、香りが立ったらトマト缶とローリエ、蜂蜜を加えて弱火で10分〜13分煮込む。
③塩を加え、焼いてほぐした秋刀魚を身が細かくなり過ぎないように軽く和えてソースの完成。
④熱湯に塩を入れ、スパゲティを表示より1分短めに茹でる。最後にスパゲティとソースを絡め、チャービルをちぎりながら散らして出来上がり。

POINT
玉ねぎを入れない究極にシンプルなトマトソースを美味しくするコツは、塩を適量ではなく計量して入れる事、ローリエを1枚ではなく4枚程度は入れる事、10分以上煮込む事。また、秋刀魚は何匹かまとめて買ってきて、同時に焼いてほぐしてしまうのがオススメ。塩焼き、パスタ、薬味混ぜご飯などに使えます。


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谷尻直子|Naoko Tanijiri
料理家、予約制レストラン「HITOTEMA」主宰。ファッションのスタイリストを経て、現職に転身。幼少期から傾倒してきた食の世界では、自身がベジタリアンだった経験や、8人家族の中で育った経験を生かし、カラダ作りに気を配った献立を提案している。

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