イタリア料理の秋の風物詩、ポルチーニ。豊かな風味と深い香りで、世界中のグルメを魅了し続けるこのキノコは、まさに「森の宝石」とも言える存在。パスタからメインディッシュまで多彩な料理が堪能できる、絶品ポルチーニ料理が揃う美食店へご案内します。
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❶ ポルチーニ愛に溢れるシェフが、滋味深いフンギの森へと誘う——プルサーレ
「ポルチーニのフリット」¥3,800。セモリナ粉と炭酸水を使った衣を纏わせた、大ぶりのポルチーニを丸ごと1本フリットに。野趣のあるポルチーニならでは食感を楽しめるひと品。ワインビネガーで酸味をつけた卵黄のソースとパルミジャーノを添えて。
「仔牛のヒレのロースト ポルチーニソース」¥7,800。母乳で育ったブルターニュ産の上質な乳飲み仔牛をメインに、ポルチーニの馥郁とした香り漂うクリームソースを添えたロースト。ミルキーさが残る仔牛に、クリームのソースというミルク感のある芳醇な味や香りを重ね合わせて。
松茸やトリュフに並ぶ3大キノコのひとつ、ポルチーニ。イタリアの秋の味覚には欠かせないが、人工的な栽培ができないため上質なフレッシュなものはなかなか手に入らない。
4年間にわたりイタリアの星付きレストランなどで薫陶を受けた黒田恭平シェフ。修業先のひとつ、ジャガイモの名産で「フリコ」などの料理で知られる「フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州では厨房のパスタ場を担当していて、いつもジャガイモのニョッキを食べていました」と楽しい思い出話を披露してくれた。
麻布台ヒルズのタワープラザ3階。ほの暗い窓が並ぶ外観に、ひと際興味をそそられるイタリアンレストランがある。代々木上原のリストランテ『イル・プレージョ』の姉妹店、オステリア『プルサーレ』だ。店内は、カウンター9席のこじんまりとした雰囲気。窓のほの暗さが外の往来をあまり感じさせず、ひと言でいうなら「居心地の良い空間」だ。店名は、イタリア語で「脈打つ、鼓動する」という意味。カウンター越しにお客様とゆっくりとお話をしたり、目の届くサービスをという思いから、この“躍動感”を感じさせる店名にしたのだとか。
料理はトスカーナ州やフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州など本場イタリアで研鑽を積んだ静岡県出身のシェフ、黒田恭平氏が作る、インスピレーションや機知に富んだメニューの数々が、シンプルかつ洗練されたスタイルで提供される。コースもあるが、アラカルトが中心。そのため使い勝手も良く、21時を過ぎてふらりと立ち寄り、軽い食事やお酒を気軽に楽しむお客様も少なくない。この時季は「秋刀魚のパスタ ブッタネスカ」¥3,000など、旬を感じさせる上質な食材を使い、一皿ひと皿がモダンな印象の料理がメニューに並ぶ。
そしてこの時季の旬といえば、忘れてはならないのがポルチーニ茸。エミリア・ロマーニャ州のボルゴターロが産地として名高いが、黒田シェフが修業した地方でも収穫することができて、イタリア滞在時の“秋の味覚”として思い出深いのだとか。『プルサーレ』ではこの時季、フレッシュなポルチーニを空輸し、このキノコならではの食感や香りを楽しめる黒田シェフ流の料理を提供。「ポルチーニは晩夏に初物が出ます。出始めの香りは控えめですが、ポルチーニならではのしっかりとした食感を楽しめます。秋が深まりゆくとそれに伴い、香りが豊かになっていきます。個人的には、軸にしっかりとした食感があり、笠は少し開き火を通すと少しトロッとした状態になるものが好みです」と黒田シェフ。今回の2品は、ポルチーニを“主役”と“ソース”というふたつのアプローチでメニューをご用意いただいた。上質な食材とシェフの手技が息づく、今年の秋味を、是非ご堪能あれ。
プルサーレ 住所=東京都港区麻布台1-3-1 麻布台ヒルズ タワープラザ 3F 電話=03-5545-9270 営業時間=11:30〜15:30(L.O.13:30)/17:30〜23:00(L.O.フード22:00、ドリンク22:45) 定休日=火曜 ※各種電子マネー、交通系IC、各種クレジットカード利用可TEXT BY AKIRA TANAKAPHOTO BY HIDEHIRO YAMADA
❷ イタリアからフレッシュな香りをお届け。ポルチーニの豊かな旨味を味わえる——イルブリオ
「ポルチーニ茸のトルネッティ」参考価格¥4,000〜。ポルチーニ茸にトマトを加え、オリーブオイル、ニンニク、唐辛子を使ったペペロンチーノ仕立てのパスタ。フレッシュなポルチーニの豊かな香りと食感をしっかりと楽しめる。
「黒毛和牛とポルチーニ茸の重ね焼き 銀杏のバターソース」参考価格¥11,200。「山の味覚」でもあるポルチーニは、肉やナッツとの相性も抜群。黒毛和牛のヒレ肉に銀杏入りのバターソースが絡み、濃厚な香りがハーモニーを奏でる。
イタリアから毎週空輸している最上級のポルチーニ茸。旬ならではの香り高さと大きさに驚く。このふっくらとした丸い姿から「ポルチーニ(子豚)」という名前がついたとか。
シェフの廣本高晴氏。イタリアンの老舗『キャンティ』の料理長を経て、2014年より『イルブリオ』料理長に。同店を「人が集まり、料理と空間を楽しむ場所にしたい」と語る。
六本木ヒルズウエストウォーク5階にあるリストランテ『イルブリオ』。ダイニングホールに足を踏み入れた途端、真正面に現れる東京タワーの姿は圧巻だ。そんな非日常のロケーションと共に楽しめるのは「As you like(お気に召すまま)」というコンセプト。コースにメニューはなく、ワゴンで運ばれる前菜や厳選された食材を好みの調理法で味わえる。まさに今、旬を迎えたポルチーニ茸の美味しさを味わい尽くすには、うってつけのスタイルだ。
毎朝、本場イタリアで収穫したポルチーニ茸は、その日のうちに空輸され、採れたての状態で店に届く。人工栽培ができないため、フレッシュな天然ポルチーニ茸は希少品。乾燥させたものは年間あるが、やはり香りも食感も異なる。
「旬の時期ならではの、生ポルチーニ茸の濃厚な香りと肉厚な食感を、フリットやパスタ、リゾットなど、様々な調理法で堪能していただきたい。どんな食材とも合うのですが、特に互いの香りを深めるトリュフとの相性は抜群です」とシェフの廣本氏。その香りはナッツや醤油に例えられることもあり、日本人の好みにも合うとか。トリュフ、松茸と並び、世界三大キノコと呼ばれるポルチーニ。”お気に召すまま”イタリアの秋の味覚を堪能したい。
イルブリオ 住所=東京都港区六本木6−10−1 六本木ヒルズ ウェストウォーク 5F 電話=03-5414-1033 営業時間=平日11:00〜15:00(L.O.14:00)/14:30〜16:30(L.O.16:00)※カフェタイム/17:30〜24:00(L.O.23:00)、土・日・祝11:00〜15:00(L.O.14:30)/15:00〜16:30(L.O.16:00)※カフェタイム/17:30〜24:00(L.O.23:00)、金・土・祝前日(ディナー)〜翌2:00(L.O.翌1:00) 定休日=無休 ※各種電子マネー、交通系IC、各種クレジットカード利用可TEXT BY HIROMI UETAPHOTO BY RIKU FUJIWARA
※2024年11月現在の情報です。 ※表示価格は全て税込価格です。
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