フードライター小石原はるかさんが、六本木ヒルズの気になるレストランを巡る企画。第10回は、今年9月にオープンしたばかりの〈ギャラリー アサヒナ〉。ミシュラン二つ星を獲得した朝比奈 悟シェフが手がける新店で、セイボリーコースを堪能しました。
PHOTO BY SATOSHI FUKUDA
TEXT BY HARUKA KOISHIHARA
EDIT BY RCKT/ROCKET COMPANY*
「ギャラリー」の名にふさわしい美しい料理の数々
六本木ヒルズに住まう人も行き交う、六本木けやき坂通り。その南側、緑豊かな一角に、今年9月に誕生した〈ギャラリー アサヒナ〉は、意欲的な試みに満ちたレストランです。二つ星レストランの〈アサヒナガストロノーム〉のカジュアルラインとして「セイボリー」に特化したコースを楽しめるこちらのお店で「ギャラリー」という名前にふさわしい美的な品々、いただきます。
六本木ヒルズで始まる、朝比奈シェフの新たな挑戦
お店に足を踏み入れると、目に優しいグリーンの世界が一面に広がります。ソファも壁面も同色のファブリックで統一され、照明やミラーなどのシルバーカラーがアクセントに。コンテンポラリーな空間は「リゾートホテルのクラブラウンジ」をイメージしているそうです。
〈ギャラリー アサヒナ〉の“本店”ともいうべき日本橋〈アサヒナガストロノーム〉で辣腕を振るう朝比奈悟シェフは、ホテルのレストランやフランスでの修業を経て、フランス料理界の巨匠であるジョエル・ロブション氏に師事。2018年に開いた自身のお店は、今や星付きのレストランへと成長。そして、こちら〈ギャラリー アサヒナ〉は、朝比奈シェフが監修するディフュージョンレストラン、いわば妹分(弟分?)という位置づけで、より気軽に訪れられるお店になっています。
目にも麗しい料理の数々に魅せられる
〈ギャラリー アサヒナ〉がユニークな点のひとつが、1日3回(12時/15時/19時)スタートで、プレゼンテーションが行われるスタイル。そして、コース¥9,350(サービス料込)の主役ともいうべきが「セイボリー」なのも、ほかでは見ないコンセプトです。
ところで「“セイボリー”って?」とお思いの方もいらっしゃるはず。これは“塩気のあるスナック”を指す言葉で、こちらではオーセンティックなフランス料理のエッセンスをきゅっと詰め込んだ、見目麗しいフィンガーフードに仕立てているのです。味わいの面でも1個のセイボリー=1皿のお料理と同格の満足度の高さであるうえ、コースの最初に登場するコールドプレスジュースやサンドイッチ、ココット料理にデセールまで“作品”と呼びたい美しさで、味覚だけでなく視覚も満たされます。
小石原はるか|Haruka_Koishiharaフードライター。1972年東京都生まれ。エンゲル係数が妙に高い家に育ち、レストラン通いをこよなく愛するように。マニアックな気質と比較的丈夫な胃袋で、これまで様々な食の世界にハマる。『BRUTUS』『東京カレンダー』など多くの雑誌やメディアで、食にまつわる記事の執筆やディレクションを担当。著書に『レストランをめぐる冒険』(小学館)、『自分史上最多ごはん』(マガジンハウス)、『東京最高のレストラン』(共著・ぴあ刊)など。
※2023年10月現在の情報となります。
※表示価格は全て税込価格です。
※店舗により臨時休業や営業時間を変更させていただく場合がございます。詳細は店舗にお問い合わせください。
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