“パン×肉”が演出する美味しさは、ハンバーガーだけにあらず! 最近人気を博しているのは、圧倒的ボリュームの肉肉しい“サンドイッチ”。中でも、ビーフとポークを主役にした唯一無二の「映える」2品をご紹介します。
TEXT BY AKIRA TANAKA
EDIT BY TM EVOLUTION.INC
❶ 熟成リブロースのステーキをサンドウィッチで食す贅沢——37ステーキハウス&バー
21日間熟成のブラックアンガスビーフを用いた「リブステーキサンド」¥3,600。くせの少ない21日間熟成のリブロースを炭火で焼き、同じ焼き場の炭火で食パンもこんがりと。しっかりとした肉の噛み応えと、炭の香りのパンが渾然一体となって、なんとも風味豊かなビーフサンドが完成する。
肉の表面を最初に強火で焼いてしまうと、肉が縮んで固くなるため、オーブンなど予焼きしてから炭火で焼く店も多いが、こちらでは熟練の職人によってあえて炭火で初めから焼き上げる。旨味が肉に凝縮され、より炭の香りがしっかりと付き、野趣溢れるステーキに焼き上がる。
ラグジュアリーなステーキハウスとしてだけでなく、バーとしての利用も。広々とした店内エントランス付近のこちらのカウンターで、サクッとドリンクとおつまみで、1日の疲れを癒し、リラックスする。そんなスマートな利用の仕方も。
最高峰のステーキハウスやラグジュアリーな鉄板焼店などが多いことでも知られる六本木ヒルズ。けやき坂に面した『37ステーキハウス&バー』もそうした一軒だ。約160席という圧倒されるほどに広がる店内は、海外のステーキレストランさながら。席の間も広くゆったりとした空間が心地いい。さらにプライベート感を大切にするなら、店の奥に個室も用意している。喜ばれる接待や、ハレの日の家族水入らずの食事などにぴったりと言えよう。店のコンセプトは、“本場ニューヨークなどのステーキハウスに引けを取らないプライムステーキをご用意する本物のステーキハウス”という本格派だ。
メニューは店の看板である21日間熟成の群馬県産赤城牛の「ポーターハウスステーキ」800g¥22,500、1200g¥27,600をはじめ、赤身と脂身のバランスが絶妙なUSブラックアンガスビーフのステーキなども人気が高い。熟成期間も21日間と35日間を好みでチョイスすることができる。価格も本格的なステーキハウスとしてはリーズナブルで嬉しいところ。脇を固めるシーフードや前菜、カリフォルニア産やオーストラリア産を中心に厳選したワインと共に極上な時間を約束してくれる。アメリカンラグジュアリーな一軒ではあるが、エントランス入ってすぐのバーエリアでは、お酒やとおつまみといった楽しみ方もでき、会社帰りのワーカーや、気のおけない友人とのランチなど気軽に利用できる汎用性も喜ばれている。
そうしたカジュアルに楽しむランチ(「リブステーキサンド」は土・日・祝限定メニュー)やテイクアウト(要予約)に手軽に楽しみたいのが「リブステーキサンド」だ。こちらの店のステーキは、他店でよく見られるようにオーブンで焼くことはせず、初めから炭火のみで焼き上げるスタイル。味付けは塩とコショウのみ。肉の水分を封じ込め、炭の芳醇な香りを大切にした肉の風味を楽しむためだ。極上のステーキとしても楽しめるリブステーキを、レフォールマヨネーズ、トマトや赤玉ねぎなどと共に、同じく炭火で焼いた食パンにサンドしていただく。上質な肉をカジュアルに食す贅沢――臆することなくガブリといきたい。
37ステーキハウス&バー住所=東京都港区六本木6-15-1 六本木ヒルズけやき坂テラス2F 電話=03-5413-3737 営業時間=平日11:30〜15:30(L.O.14:30)/17:00〜23:00(L.O.22:00)、土・日・祝11:30〜16:00(L.O.15:00)/17:00〜23:00(L.O.22:00) 定休日=無休 ※各種電子マネー、交通系IC、クレジットカード利用可
PHOTO BY KIPPEI MITSUYA
❷ 肉汁がじゅわっと広がる、スモーキーなほろほろポークサンド——Bubby’s New York ARK Hills
「BBQ Pulled Pork Sandwich(自家製BBQポークサンドウィッチ)」¥1,500。定番人気のポークサンド。店内で桜のチップを用いてじっくりとスモーク焼きした豚肩ロースをほぐしたものをバンズにサンド。さっぱりとしたコールスローと自家製のBBQソースと一緒に食べれば複雑な味と食感が病みつきに。
付け合わせにもこだわりが。フライドポテトは、国産のメークイーン種のジャガイモをハンドカットしたものを使用。ホクホクした揚げたてのフライドポテトは、主役のポークサンドを引き立てる名脇役。
1950年代前後のベビーブームから派生した、ファストカジュアルの波に乗ってジャンクな食べ物が人気だったアメリカ。しかし’80年代になるとそうした波にも変化が訪れる。時代は徐々に健康や安全を意識するようになるのだ。一方その頃、後に『バビーズ』のオーナーシェフとなるロン・シルバーは、あるレストランのシェフとなった。フレンチ・キュイジーヌに代表される、その凝った小さなポーションの料理への潮流に違和感を覚えていたシルバーは、自身の原点であるアメリカ伝統料理を追求することを胸に抱き、1990年にパイ専門店をニューヨークにオープンした。
シルバーは、フォスターの曲が聞こえてきそうなアメリカ各地の家庭を訪ね歩き、代々家庭に受け継がれてきたレシピを収集。洗練されたニューヨークでアメリカ伝統料理が食べられると話題になり、当初、パイ専門店からパンケーキやミートローフ、エッグベネディクトなどアメリカ伝統料理全般へとメニューを広げていった。アークヒルズ店がオープンしたのは2012年。開店当時から変わらぬ温かみのある家庭的な雰囲気の店内では、生産者の顔が見える食材や旬を意識した料理を提供している。
伝統を謳いつつも、シェフは定期的にニューヨークの本店に研修に赴き、フライドチキンとパンケーキを取り合わせた「フライドチキン&パンケーキ」¥2,600や、本店のシェフの名前を冠する生ハムをアクセントにした「リズ・クラーク ダブルバビーズバーガー」¥2,200など、新しいメニューも次々にアップデートしている。今回ご紹介するのは、揺るがない人気を誇る「自家製BBQポークサンドウィッチ」。パンにポークソテーがサンドされているのをイメージしがちだが、本場ではビーフのパティをバンズにサンドしたもののみを“バーガー”と呼ぶため、これも欧文では「BBQ Pulled Pork Sandwich」の表記となっている。「Pulled pork」とは豚の肩肉に低温で火を通し、細かくほぐしてソースで和えた料理で南部のテネシー州メンフィスやノースカロライナ州の代表的なバーベキュー料理だそうだ。アップルウッドでじっくり燻された香り豊かなプルドポークと旨味豊かな肉汁が染み込んだバンズを一緒に食せば、古き良きアメリカの風景が浮かんできそうだ。
#サンドイッチ#肉
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