フードライター小石原はるかさんと巡る六本木ヒルズのレストラン連載。第8回となる今回は、1月にオープンしたばかりの〈鳥カミ〉へ。こだわりの炭火焼鳥をはじめ、趣向を凝らしたおまかせコースをいただきました。
PHOTO BY SATOSHI FUKUDA
TEXT BY HARUKA KOISHIHARA
EDIT BY RCKT/ROCKET COMPANY*
名店仕込みの技が光る炭火焼鳥を、熱々でいただく幸せ
多様なジャンルのレストランが軒を連ねる、六本木ヒルズ森タワー5F「ウェストウォーク」。ここに、今年1月ニューフェイスが加わりました。それが『ミシュランガイド東京』で一ツ星を獲得し続けている焼鳥の名店で研鑽を積んだというメンバーが立ち上げた〈鳥カミ〉。新進気鋭の面々による、上質な備長炭で焼き上げられた焼鳥の数々、いただきます。
活気あふれるカウンター。五感を刺激する炭火焼き
つや消しの黒い壁に紋の入った白い暖簾、モノトーンで統一されたシックな入口を通って店内に入ると、広々としたコの字型カウンターが目に飛び込んできます。抑えめな照明のなか、無垢材のカウンター天板と真っ白なカバーのかかった椅子が凛とした空気感を醸し出し、カウンター奥にはエントランスと対照的に黒い暖簾が。空間だけを見ると厳かな雰囲気にちょっぴり緊張してしまいそうですが、営業中はキビキビと立ち働くスタッフの姿で活気づきます。
焼き台の前に立つのは、今年6月からスタッフを率いることになった石黒智大さん。焼けていく音や色合いの変化、脂の落ち方などを見極めながら、使い込まれた大きな団扇を操り、自慢のタレや塩、ごま油、オリーブオイル、お酒など6種類の調味料も駆使してさまざまな串を焼いています。
最後まで目が離せない、鶏の旨味を味わいつくすおまかせコース
メニューは昼夜とも、おまかせの串11本を楽しめる¥12,100のコースのみ。野菜の甘酢漬けで始まり、お椀や「名物 大根おろし」、そして主役の焼鳥に突入すると、的確に焼かれた部位が次々と! “焼鳥といえばこれ”な「かしわ」は、表面パリッ&中はジュワッの理想的な焼き上がり。レアではなくギリギリまでしっかりと焼けていてこその焼鳥、と再認識します。
野菜や内蔵類にも舌鼓を打ちつつ、途中に「自家製鶏シュウマイ」をはさんで、終盤の手羽先とつくねは、炊きたての土鍋ご飯を従えて登場。しかも、ご飯のお供も各種ついてくるので、目移り&おかわり必至の内容です。さらに鶏スープが登場し、ここにご飯を入れてスープ茶漬け風に味わうという楽しみ方も。丼や麺類とは一味違う、白いご飯だからこその多彩な楽しみ方、新鮮です。
小石原はるか|Haruka_Koishihara
フードライター。1972年東京都生まれ。エンゲル係数が妙に高い家に育ち、レストラン通いをこよなく愛するように。マニアックな気質と比較的丈夫な胃袋で、これまで様々な食の世界にハマる。『BRUTUS』『東京カレンダー』など多くの雑誌やメディアで、食にまつわる記事の執筆やディレクションを担当。著書に『レストランをめぐる冒険』(小学館)、『自分史上最多ごはん』(マガジンハウス)、『東京最高のレストラン』(共著・ぴあ刊)など。
※2023年4月現在の情報となります。
※表示価格は全て税込価格です。
※店舗により臨時休業や営業時間を変更させていただく場合がございます。詳細は店舗にお問い合わせください。
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