Zuccotto for the Holidays

次に来る“映え映え”イタリアンスイーツ、“ズコットケーキ”に注目!

2022年後半~2023年に流行ると言われているイタリアンスイーツ、“ズコット”。トスカーナ地方フィレンツェ生まれの伝統的なデザートで、半球状のスポンジの中に生クリームやアイスクリームなどを詰めたドーム状のケーキがそれ。この冬、デザートを選ぶなら、迷わずオーダーを!

PHOTO BY KIPPEI MITSUTA
EDIT BY TM EVOLUTION.INC

❶ ヴィーノ・デッラ・パーチェ
——トスカーナ地方の伝統菓子「ズコット」の正統スタイルを、洗練のワザにより具現

イタリアの聖職者が被っていた頭巾をイメージしたイタリア伝統菓子「ズコット」。カカオスポンジがクロスする様は、まるで頭巾のリボンのようだ。トッピングはココアパウダー。

中身は2種類のクリーム。そのクリームには、チョコレートやナッツ類が混ぜ込まれている。

「ズコット」¥1,200(1人前)。シロップ漬けのフルーツを添えるのも、トスカーナ地方の正統スタイル。

筒井シェフが20年近く守り続けているスペシャリテ「カラスミと生しらすの冷製フェデリーニ」¥2,400。サルデニア地方のアーリオオーリオ・ペペロンチーニをヒントに、加熱したしらすを生しらすに置き換えて、日本人好みの冷製パスタに仕立てた。カラスミをしっかりと撹拌することによって乳化させ、乳製品不使用にもかかわらずクリーミーな味わいになっている。細麺のツルリとした食感と共に、爽やかさが広がる一品であり、この店を訪れたら、必ず注文したい人気メニューだ。

旬の和栗を丁寧に裏ごしして、パルミジャーノの塩気をプラス。シンプルにしてパーフェクトな餡をラビオリに詰めた、こちらも同じく筒井シェフのスペシャリテ。ポルチーニ茸の芳しさが漂う秋の一品だ。「中伊豆産和栗を詰めたラビオリ フレッシュポルチーニと共に」¥2,000。

筒井力丸シェフがイタリア修業時代にフィレンツェで出合った、イタリアの伝統菓子「ズコット」を忠実に再現したのがこちら。ズコットとは、聖職者の半球状の頭巾に由来(※兵士の金属製兜、大聖堂の屋根を表しているなど諸説あり)するものであり、トスカーナ地方でこの頭巾を「ズッケット」と言うそうだ。そう、ズコットとは、トスカーナ地方発祥のイタリア伝統菓子である。

クリームにチョコ、ナッツ、リキュールを加え、さらに半分のクリームにはカカオを混ぜて2種類のテイストに。これらのクリームを、同じくカカオとプレーンの2種類のスポンジで半球状に覆ったものが、「イタリアにおいて誰もが納得するスタンダードなフォルム」と、筒井シェフ。ただし近年では、この伝統的ズコットのテイストだけを残し、名前の由来となった半球状にも敢えてこだわらない動きもあるそうだ。筒井シェフのズコットは、スポンジがいかにも聖職者の帽子の帯紐のようだが、リスペクトを込めて、筒井氏は原型に忠実にしているそうだ。

筒井シェフがイタリア修業時代に感じたのは、菓子作りの都であるフランスやオーストリアと比べて、イタリアにはクラシックなドルチェが少なかったこと。ヨーロッパにおいて、気候に恵まれたイタリアでは、菓子の代わりに、いくらでもフレッシュで美味しい旬のフルーツが手に入るからだ。そんな中、「ズコットは一流レストランの食後に出てくるものにふさわしい、数少ないアイテムのひとつ」(筒井シェフ)。ゆえにズコットは、シェフ肝いりなのである。

ひと口、食してピンとくるのが、生クリームの軽やかさだ。もちろん、それは筒井シェフの腕があってのことだが、チョコレートやナッツの食感の面白さも手伝い、クリームが舌の上でとろけて踊る。そして足りないフルーツ感は、シロップ漬けの無花果や金柑、ベリーのトッピングにより補っている。フレッシュフルーツを用いないのは、南イタリアのようにフルーツが採れるわけではないトスカーナ地方らしさを、やはりリスペクトするものだ。

さて「ズコット」は保存時に低温で冷やされているが、室温に戻っていく過程の黄金の瞬間がある。クリームが硬すぎず、柔らかすぎず、しかも軽快。そのバランスが重なった絶妙の瞬間を逃さず、味わいたい。

ヴィーノ・デッラ・パーチェ|VINO DELLA PACE
住所=東京都港区西麻布4−2−6 Ryowa Palace西麻布 1F 電話=050-5868-8845 営業時間=平日ランチ11:30〜L.O.14:00、土曜ランチ12:00〜L.O.14:00/火曜~土曜ディナー18:00〜L.O.21:00(コースのL.O.20:30)、日曜12:00〜L.O.20:00 定休日=月曜、第1火曜 ※ディナーは、別途サービス料5%を加算 ※各種クレジットカード利用可
 
TEXT BY TAKASHI TSUCHIDA

❷ ヒルズ ダル・マット
——革新的新作ズコットに注目! 名店が奏でる秋冬メニュー

新作「ダル・マット風ぶどうのズコット」¥990は、シャインマスカットと長野の新種の赤ぶどう、クイーンルージュを使っている。どちらも種がなく糖度が高いので皮のまま食べられ、食べた時の皮の食感が小気味いい。「フルーツを食べるケーキ」がコンセプトで、1ホールで各ぶどうを半房〜1房用いる、まさにフレッシュフルーツを食べているようなみずみずしいドルチェ。

中にもぶどうがぎっしり。生クリームにぶどうが入っているというよりも、ぶどうの間に生クリームが入っているという印象。ズコットの葡萄の品種は、季節により変わる可能性あり。

「洋ナシの冷製パスタ」¥2,420。お店の代表的なメニューのひとつがこの冷製パスタ。一年を通して季節ごとにいちご、さくらんぼ、桃、洋ナシとバラ科のフルーツが続く。品種が多い洋ナシは最も美味しい時季の品種を使うため、4品種を初秋〜晩秋まで使い分ける。

「フォンダンショコラ」¥1,320は、ドルチェの中で一番人気だそう。チョコレートとベリーソースの主役を、下に敷いたアーモンドクラッシュ、自家製のピスタチオジェラート、ココアのクッキーが引き立てる。

店内は、2019年に高級感があってシックな雰囲気にリニューアル。人気の半個室は外も眺められ、完全個室と異なり閉塞感がなく、適度なプライベートもあり心地いいと人気だ。大切な人や家族との、水入らずな会食にもおすすめ。

西麻布で人気のイタリアン『ダル・マット』の六本木ヒルズ店『ヒルズ ダル・マット』。ヒルズらしい高級感のある空間で、本格派でありながら日本人好みのイタリアンが食べられるとあって、ヒルズ店のファンも多い。旬の食材を生かした「おまかせコース」を中心としているが、もちろんアラカルトでお好きなメニューも食べられる。

まずは今、巷で人気急上昇のドルチェ、新作「ダル・マット風ぶどうのズコット」(¥990/1ピース)をご紹介。個性的なドーム型が特徴だが、内容や味はお店それぞれ。こちらのズコットは「フルーツを食べるケーキ」がコンセプトで、白ぶどうのシャインマスカットと赤ぶどうのクイーンルージュをふんだんに使用、ケーキの中にはその名の通り皮のままのぶどうがゴロゴロと入っており、デコレーションもぶどうで美しく彩られている。口どけの良いスポンジケーキと果実味を生かすため生クリームも甘さが抑えられている。また1ホールの大きさも一般的なものより、ひと周りコンパクト。これはあくまでイタリアンを食べた後のドルチェ(デザート)という位置付けを配慮しているからだ。

そしてこちらで忘れてはならないのが、契約農家から取り寄せているフルーツトマトソースのパスタと旬のフルーツを取り合わせた名品、冷製パスタだ。9月〜12 月は「洋ナシの冷製パスタ」(¥2,420)が味わえる。パスタは細麺だが食べ応えを考え、カッペリーニより少し太いスパゲッティーニを使用。フルーツは、旬のバラ科のフルーツで季節を感じるパスタとなっている。中でも洋ナシは香りが豊潤で、冷製パスタに用いるフルーツで最も香り高いそうだ。フルーツトマトの酸味と甘み、洋ナシの香りと甘み、そしてとろけるような食感のハーモニーを堪能したい。

また、一年を通して楽しめるドルチェとして「フォンダンショコラ」(¥1,320)も人気。これから寒い時季となり、濃厚で温かいチョコレートを使ったドルチェは特にお勧めだ。フランス産ヴェローナ社の高級チョコレートと、3種類のフレッシュベリーを使ったソースでいただく一品は、チョコレートの濃厚な甘みとベリーの爽やかな酸味のバランスが絶妙な味を醸し出している。フォンダンショコラは、温かいことが大切。だからまさにお店に来て、素晴らしい食事の後にお店で食べるドルチェにふさわしいと言えるだろう。

ヒルズ ダル・マット|Hills DAL-MATTO
住所=東京都港区六本木6-10-1六本木ヒルズ ウェストウォーク 5F 電話=03-6804-1644 営業時間=11:00~L.O.16:00(L.O.15:00)、17:30~23:00(L.O.22:00) 定休日=無休 ※各種クレジットカード、IC決済、QRコード決済利用可 
 
TEXT BY AKIRA TANAKA

※2022年11月現在の情報となります。
※表示価格は全て税込価格です。
※各ヒルズでは、店舗により臨時休業や営業時間を変更させていただく場合がございます。詳細は「六本木ヒルズの営業状況について」をご確認ください。