IMAGINATIVE ITALIAN DISHES

小石原はるか、イルブリオの“As you like it”なワゴンに魅せられる

フードライター小石原はるかさんがナビゲートする人気のレストラン企画。第5回目は、これからのホリデーシーズンにもぴったりな新感覚のイタリアン〈ILBrio(イルブリオ)〉へ。美しい眺めとともに、ワゴンからお好きな食材や料理をどうぞ。

PHOTO BY SATOSHI FUKUDA
TEXT BY HARUKA KOISHIHARA
EDIT BY RCKT/ROCKET COMPANY*

前菜からデザートまで、お好きな
食材や料理を“お気に召すまま”に

年末に向けては、普段よりもちょっぴりドレスアップして、華やかなお食事を楽しみたい機会も増えますよね。そんな日にぴったりなレストランが、六本木ヒルズにあるイタリアン〈ILBrio〉です。しかも、普通のレストランとは一味違うのが「As you like it(お気に召すまま)」というコンセプト。おまかせコースや、アラカルトメニューから選ぶスタイルではないという〈ILBrio〉ならではのおもてなしで、思いのままに食べたいものをいただきます!

東京タワーを望む人気の窓側の席。この日は昼間の取材でしたが、夜は美しい夜景が広がります。

言うなればワゴンがメニュー。メインディッシュも、お好きな旬の食材を好みの調理法で。

この日メインに選んだ「和牛フィレと有機野菜のグリル」。バルサミコソースで仕上げます。

自分で選ぶからこそのワクワク感

六本木ヒルズの中に数あるレストランの中でも、東京タワーを眼前に望めるお店は、意外なことにここ〈ILBrio〉が唯一なのだそう。それだけに、夜は窓際のテーブルをリクエストするお客様も多いとか。ライトアップされた東京タワーを見ながらのディナータイム、やっぱり素敵ですよね。
さて、〈ILBrio〉ならではのお楽しみが、席につくやいなや登場する多彩な前菜、そして旬の魚介や野菜、厳選したお肉といったパスタとメインに使う食材が所狭しと並べられたワゴンです。そう、ここから好きなものを選んで、希望があれば調理法までもオーダーできるから「As you like it」なのです。食いしん坊なら、これはワクワクせざるを得ません!

イタリアンの老舗〈キャンティ〉で長年経験を積んできた料理長の廣本さん。

高知県産のカツオを使った「鰹といちじくのサラダ サルサトラパネーゼピカンテ」¥ 1,200。ピーナッツを使ったトラパネーゼ風のソースや青唐辛子とクミンを効かせたソースでいただく一品。ミョウガ、ルッコラといった香味野菜も添えられ、味も香りも華やかに。

旬のポルチーニやジロール茸、ピエブルーなどのきのこがたっぷりの「青森県産マンガリッツァ豚の自家製サルシッチャと彩り茸のスパゲッティ」¥ 2,800。“食べる国宝”ともいわれ、味わいの濃いマンガリッツァ豚も存在感あり。

「和牛フィレと有機野菜のグリル パルメザンチーズを添えて バルサミコソース」¥7,000。しっとりと焼き上げたシルキーなフィレ肉は、パルミジャーノレジャーノとバルサミコヴィネガーを添えたタリアータ仕立てで。

前菜やパスタ同様、種類豊富で目移りしてしまうドルチェのワゴンからチョイスしたのは、イタリアンドルチェの王道、ティラミス「ティラミスと洋梨のショートケーキ 濃厚バニラアイスを添えて」¥ 1,100。

一人一人のリクエストに応えてくれる

厨房を取り仕切るシェフの廣本高晴さんは、イタリア料理の名店として知られる〈キャンティ〉で研鑽を積み、西麻布店の料理長まで努めた人物。それだけにスタンダードなイタリアンはお手のもの。加えて、前菜類などではエスニックなスパイスや和の素材なども取り入れて、〈ILBrio〉流のお料理を提案しています。

「食材のプレゼンテーションからお客様の食べたいお料理が決まるので、基本のソース類以外はあらかじめ仕込むことがほとんどなく、オーダーを受けてから作り始めるものがほとんどです」とおっしゃりつつ、手さばきはスムーズ。また、さまざまなお料理を食べ慣れた常連のお客様も多いことから、無茶振り(!?)とも思えるリクエストもなんでもござれ、だそう。「ラーメン、とんかつetc.……、お鮨以外はなんでも作りますよ」と余裕のスマイルです。

食事を終えて

定番メニューも用意されているものの、ほとんど登場の機会がない、というお話に納得。食べたい食材とそれに適した調理法を、スタッフの方と相談しながら組み立てるプロセスはクリエイティブでもあります。その日の気分に合うお料理と素直に向き合う楽しさを、ぜひ味わってみてください。——小石原

最後に料理長・廣本さんと。食べることの楽しさを、改めて感じさせてくれる回でした。

イルブリオ
住所=東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ ウェストウォーク5F 電話=03-5414-1033 営業時間=ランチ12:00~15:00(L.O.14:00)/ ディナー16:00~23:00(L.O.22:00)※アラカルトメニューのほか、コース¥8,800〜(税込・サービス料別途)もございます。

profile

小石原はるか|Haruka_Koishihara
フードライター。1972年東京都生まれ。エンゲル係数が妙に高い家に育ち、レストラン通いをこよなく愛するように。マニアックな気質と比較的丈夫な胃袋で、これまでさまざまな食の世界にハマる。『BRUTUS』『東京カレンダー』など多くの雑誌やメディアで、食にまつわる記事の執筆やディレクションを担当。著書に『レストランをめぐる冒険』(小学館)『自分史上最多ごはん』(マガジンハウス)『東京最高のレストラン』(共著・ぴあ刊)など。

※2022年10月現在の情報となります。
※表示価格は全て税込価格です。
※店舗により臨時休業や営業時間を変更させていただく場合がございます。詳細は「六本木ヒルズの営業状況について」をご確認ください。