CHAMPAGNE BAR BY TELMONT

『シャンパン・バー by テルモン』が表現する、高潔なSDGs

『シャンパン・バー by テルモン』は、「ANAインターコンチネンタルホテル東京」にて、2年間の期間限定で営業するシャンパン・バー。世界でも有数の“サステナブル”に積極的に取り組んでいるシャンパーニュ・ブランド「テルモン」の名を冠した場所だ。ナチュール製法を実践するのはもちろん、床もリサイクルの木材を使用するなど、“デザインとしてのSDGs”も体感出来る場所。初秋のひと時、このスタイリッシュでエコなシャンパン・バーで、様々な地球環境に思いを馳せるのもいいのでは?

TEXT BY TAKASHI TSUCHIDA
PHOTO BY TAKUYA SUZUKI
EDIT BY TM EVOLUTION.INC

世界初「TELMONT」のためのバーで、
最も進化したシャンパーニュの繊細さを楽しむ

左から、レゼルヴ・ド・ラ・テール、レゼルヴ・ロゼ、レゼルヴ・ブリュット、ブラン・ド・ブラン ヴィノテーク。シャンパン・バー by テルモンでは、リリースされている全ての銘柄が揃う。エチケットには、製法を包み隠さず明記している。

ホテルシェフ提案による最高のマリアージュを具現した「テロワール」¥11,187(1名分。写真は2名分の盛り付け例/前日18:00までに要予約)。レゼルヴ・ブリュット、レゼルヴ・ロゼ各1杯付き。チーズの塩味やライスクロケットの油分が「テルモン」の爽快さを引き立てる。

「テルモン」ブランドアンバサダーのローラン・ペロダン氏。8月下旬、ブドウの収穫というメゾンにとっての一大イベントを控え、彼も渡仏し、畑に出て収穫を手伝うそうだ。

フロア中央に設置した特製のスイングシート。ここは“映え”スポットとして親しまれている。

「テルモン」の畑があるヴァレ・ド・ラ・マルヌの地層をオマージュした壁面デザイン。ヴァレ・ド・ラ・マルヌ周辺は土壌が深く、石灰質に到達するまで、ブドウの根はおよそ2.5メートルにもなるという。この稀有な条件が、ぶどうに豊富なミネラルを与え、「テルモン」の奥深い味わいを生み出している。

古民家から出た廃材を丁寧に磨き上げ、温かみのあるニュアンスを生み出している。木材部分の下のオフホワイトの壁は、シャンパーニュ地方の石灰質の土壌をオマージュ。

地球環境の維持に積極姿勢を持つ「テルモン」らしい空間。このデザインに囲まれながらいただく味わいは、格別である。

いまシャンパーニュラバーたちの間で、羨望の的となっているブランドがある。環境保護活動家としても知られる俳優、レオナルド・ディカプリオ氏も株主となっているフランスのシャンパーニュメゾンだ。名称は「TELMONT」(テルモン)。大手輸入代理店「レミーコアントロージャパン」が、2021年から日本への輸入を開始しているが、いざボトルを購入しようと専門店を訪れても、店頭ではなかなか見つけることができないのが現状だ。

それもそのはず、「テルモン」とは年間生産量およそ30万ボトルという非常に小さなメゾン。シャンパーニュ地方に広がるぶどう畑3万5000ヘクタールの中で、テルモンの畑はわずかに24.5ヘクタール。本来であれば、とても海外に輸出できる規模ではない。

その「テルモン」は、どうしてシャンパーニュラバーたちの熱視線を浴びているのか? それは、このメゾンがジャンパーニュ地方には珍しく、ナチュール製法(※)にこだわり、スパークリングワインのジャンルにおいて他を圧倒しているからだ。

実際、ナチュール製法によって造られたシャンパーニュは、スティルワインと同様にテロワール(土壌・風土の個性)を生き生きと感じることができる。醸造時の添加物も制限されているから、風味そのものが総天然色! まるで畑の中に降り立ったかのように、香りも味わいもビビッドなのだ。

実際に「テルモン」をひと口含むと、シャルドネ由来の爽快さが勢い良く口内に広がるが、やがてシャンパーニュ地方の土着品種ムニエらしい赤果実のような芳醇さに切り替わり、キリリと後を引きずらない。ところが同時に、余韻の長さを感じさせるから、通を唸らせるのだ。相反する個性が、奇跡的に同時成立しているのである。なるほど、このバランスは、数あるシャンパーニュの中でも断然にユニーク! “重厚”とも“ドライ”とも異なる、“個性のある中庸”といった立ち位置である。

「この味わいが、未来のシャンパーニュなんです」と説明するのは、「テルモン」ブランドアンバサダーのローラン・ペロダン氏だ。ぶどう栽培の北限とされるシャンパーニュは、天候不順のリスクも高く、オーガニック農法の達成率はわずか4%。対して「テルモン」の畑は、すでに74%がオーガニック認証を取得、2025年には自社畑の100%認証取得を目指している。

「テルモン」は、全社員数17名という家族経営で成り立つ小さなシャンパーニュメゾンだ。とはいえ、その品質には確固たる自信を持っている。4代目グレープファーザー(セラーマスター兼葡萄栽培責任者)、ベルトラン・ロピタル氏が事業を引き継ぐタイミングで、「テルモン」は未来を目指して“昔に戻った”。品質追求の上で、シャンパーニュにおいても、昔ながらのナチュール製法は欠かせないと判断したのだ。同時に、「レミーコアントロー」傘下入りして経営資本を盤石なものとし、オーガニック農法へのリスクに備えると同時に、限られた世界の地に向けて輸出を開始。美食大国・日本も、その限られた国のうちのひとつに入ったという経緯である。

この稀少な「テルモン」を存分に味わえるタッチポイントとして2023年9月までの期間限定でオープンしたのが『シャンパン・バー by テルモン』だ。「ANAインターコンチネンタルホテル東京」3Fに位置するこのスペースは、2003年に国内随一のシャンパーニュ専門バーとして誕生。アトリウムロビーの大きな吹抜スペースに面して、ひとりでも気兼ねなく立ち寄れる雰囲気が人気だ。そのシャンパン・バーが、「テルモン」をフォーカスする形で営業している。

壁一面には、テルモンの畑周辺の景色をオマージュする自然発色のグリーン。これは土壁による造形で、丘陵地の斜面に広がるワイン畑をイメージしている。床、カウンター、テーブルに使用した木材は、長野県で100年以上の歳月を経た古民家解体時の廃材を磨き直して再利用したもの。スペースの中央に設置されたスイングシートは、壁面照明と連動し、漕いだ力をエネルギーに活用している。

こうした店舗デザインは、「テルモン」が目指すテーマを体感してもらおうとするものだ。「テルモン」のテーマ、すなわちオーガニック農法であり、それはテロワールへの敬意へと繋がり、地球環境問題への積極姿勢に至っている。例えば——

・「テルモン」では輸出時の空輸を全面禁止、カーボンフットプリントによる負荷が低い船便を活用している
・プレステージシャンパーニュに不可欠とされてきたギフトボックスも廃止。エコボックスも廃止
・ロゼシャンパーニュ用の透明ボトルを廃止。リサイクル上、有利なグリーンボトルに差し替え(2020年度以降の瓶詰めから適用済み)
・輸送時の環境負荷低減のため、ガラスメーカーと組み、通常835gに統一されているシャンパーニュボトルを800gに軽量化することを画策(実証実験中)

「テルモン」一社の効果は限定的でも、この小さな革命をやがてシャンパーニュ全体に波及させていこうというのが「テルモン」の狙いである。ゆえに「テルモン」の動向は、ワイン業界全体が注視している。『シャンパン・バー by テルモン』とはつまり、シャンパーニュ界のトレンドの最先端であり、その取り組みを体感できる稀有なスペースなのである。

現在『シャンパン・バー by テルモン』では、2種類のテルモンと、シェフによるペアリングメニューを組み合わせた「テロワール」プランを用意。ほかにもフリーフロープラン、グラス、ボトルオーダーも可能だ。この特別な味わいを、是非気のおけない仲間たちと味わっていただきたい。

※ナチュール製法とは、化学肥料、農薬、除草剤を使用せず、できる限り自然にワインを造ること。

シャンパン・バー by テルモン|THE CHAMPAGNE BAR BY TELMONT 住所 東京都港区赤坂1-12-33 ANAインターコンチネンタルホテル東京 3FL. 電話 03-3505-1185(レストラン予約) 営業時間 水曜・木曜17:00〜21:00(L.O.20:00)、金曜11:00〜21:00(L.O.20:00)、土曜・日曜・祝日11:00〜18:00(L.O.17:00) 定休日 月曜・火曜 ※価格はサービス料込み ※各種クレジットカード利用可

※2022年9月現在の情報となります。
※表示価格は全て税込価格です。