各国の料理に造詣が深く、レストラン通いをこよなく愛するフードライター小石原はるかさんをナビゲーターに、六本木ヒルズで気になるレストランを巡る企画の第一弾。今回は、注目のフレンチレストラン『レグリス』で特別な時間を過ごしました。
PHOTO BY MASAHIRO TAMURA
TEXT BY HARUKA KOISHIHARA
EDIT BY RCKT/ROCKET COMPANY
旬の食材を無駄を出さず使い切る美味しさ、新感覚フレンチに舌鼓
六本木ヒルズの敷地内で、ひときわ落ち着いた雰囲気のけやき坂・レジデンス棟。その一角に居を構えるのがレストラン『レグリス』。“自然の恵み”に感謝しフランス料理らしい素材である「ジビエ(野禽類)」をこよなく愛する波多野猛シェフの料理は、旬の食材を慈しむ想いに満ちています。「その時期だからこそ味わえる素材を通じて、お皿の上で季節感を表現したい」というシェフのお料理、いただきます。
レグリスの世界観を体現する洗練された空間
漆喰の白を基調にした“森の中”をイメージした空間では、ダイナミックにあしらわれたグリーンや、壁に飾られた鹿の角を使ったオブジェがアクセントに。「自然の恵みである食材への感謝を込めた料理を」というシェフのメッセージが具現化されているかのよう。客席の配置はゆったり。ビジネスパートナー、家族や気のおけない友人と、作り込まれた料理とそれに合うワインとに舌鼓を打つ特別な時間を、寛いで過ごせるようにというレストランならではのホスピタリティが感じられます。
自然に感謝し、季節をいただく。一皿に込められたシェフの熱い想い
今回ご用意いただいたのは「Menu Réglisse」¥11,000から抜粋された4皿。ホワイトアスパラガスの前菜は、フランス・ロワールから届きたてというアスパラガスが惜しみなく使われている上、キャヴィアやトリュフ、金箔をあしらったレストランならではの繊細な盛り付けに気分が高まります。
オマール海老のフライがシェフのスペシャリテとして登場するのには、ある理由が。
「実は、実家がとんかつ店なんです。加えて、料理人修業の出発点が洋食店だったこともあり、フライやオムライスといった洋食メニューには思い入れがあって、大好きなんです」
続いて登場した仔羊は、2種類の調理法による仔羊が。ひと皿で「冬から春」をイメージした盛り付けとのことで、手前は、きのこやごぼう、黒トリュフなどを合わせた「冬」ver.。奥は、フキノトウやセリを使い「春が到来し、土から新芽が力強く芽生えてくる様子」を表現と、ストーリーのある一品です。
この日ご用意いただいた仔羊は「ジビエ」には相当しないけれど、波多野シェフのジビエへの情熱、実は並々ならぬものが。
「ジビエの名手と謳われたシェフのお店で初めて食べた野鳩や野生の鴨に感銘を受けました。内蔵や血液、骨から出る出汁を使ってソースを作る“素材に感謝して使い切る”レシピも、現代に通じるものがあると思います」
そしてデセールは、パティシエの工藤和恵さんによるもの。シェフからリクエストされたという「パステルカラーのような淡い甘さと、春を想起させるほろ苦さを」というお題に見事に応えた、優しい味わいでした。
小石原はるか|Haruka_Koishihara
1972年東京都生まれ。エンゲル係数が妙に高い家に育ち、レストラン通いをこよなく愛するように。マニアックな気質と比較的丈夫な胃袋で、これまで様々な食の世界にハマる。「BRUTUS」「東京カレンダー」など多くの雑誌やメディアで、食にまつわる記事の執筆やディレクションを担当。著書に『レストランをめぐる冒険』(小学館)『自分史上最多ごはん』(マガジンハウス)『東京最高のレストラン』(共著・ぴあ刊)など。
※2022年2月現在の情報となります。
※表示価格は全て税込価格です。
※店舗により臨時休業や営業時間を変更させていただく場合がございます。詳細は「六本木ヒルズの営業状況について」をご確認ください。
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