MEET UP WITH LOCAL FOOD IN ROPPONGI

犬養裕美子がナビゲート、知られざる鳥取グルメの魅力に迫る

その土地の味は最高の贅沢。かねてからローカルフードに注目しているフードジャーナリスト・犬養裕美子さんによると、鳥取県は質の高い鳥取和牛や旬を迎える松葉がに、それにジビエも素晴らしいらしい。そんな鳥取の旬の味を、この冬、六本木ヒルズで味わえるというのだから見逃せない。鳥取食材についての犬養さんの解説とともに、フェアのメニューからいくつかご紹介。

TEXT BY YUMIKO INUKAI, RCKT/ROCKET COMPANY*
EDIT BY RCKT/ROCKET COMPANY*

もっと知ってほしい! 高レベルの鳥取食材

鳥取といえば日本一の水揚げ量を誇る松葉がに、そして鳥取和牛は、2017年の和牛の全国品評会で肉質日本一に輝いた。さらに最近ではジビエの肉質の良さに加えて処理の的確さが料理人からも高い評価を得ている。鳥取素材は派手さこそないけれどプロ好みのものが多く、もっと広く知られてほしいと常々思っていた。今回のこのイベントは鳥取素材を東京で楽しもうというもので、そのレベルの高さに驚く人も多いだろう。地方レストランが話題を呼んでいる昨今、特別に用意された素材を楽しめるのはいい機会だと思う。さあ、ゴートゥ鳥取イン東京!——犬養

カニ王国・鳥取の松葉がにはカニ好きを夢中にさせる美味しさ

スペイン料理の巨匠ジョセップ・バラオナ・ビニェス氏監修の『ビキニ シス』では、松葉がにを贅沢に使ったパエリアが期間限定のコースに登場。カニからとった出汁で炊き上げるため、お米の中まで濃厚なカニの旨みがしっかり染み渡る。「オリジナルコース」より コース¥13,000(ビキニ シス/ウェストウォーク 5F) ※前日までに要予約 ※一日3組6食限定

松葉がにと紅ズワイガニをたっぷり山盛りのせた海鮮丼。さらに濃厚なカニみそ、いくら、ウニを添え、海の幸を余すことなく味わえる一杯。期間中は他にも、松葉がにの握り寿司やバラちらしなど全11品が登場。「贅沢松葉がにどんぶり」¥4,980。(ぴんとこな/メトロハット/ハリウッドプラザ B2F)※一日3食限定

丁寧に下ごしらえした活松葉がにを、極上の天ぷらに。サクッと軽い衣の下には、松葉がに本来の上品な甘みと、もちもちとした身の食感が広がる。蟹料理の先付けから始まり、松葉がにの足、鳥取和牛、旬菜の天ぷらと、松葉がにと星空舞の土鍋ご飯、大山牛乳を使った甘味で締めくくる鳥取づくしのコースでご賞味あれ。「鳥取馳走と贅沢松葉がに食べ尽くしコース」より コース¥22,000(サービス料別)(天蒼々/ウェストウォーク 5F)※前日までに要予約 ※一日1組2食限定

鳥取の松葉がに、福井の越前がに、石川の加納がになど、地方によって呼び名が違うが全てズワイガニのオスのこと。私が鳥取で初めて松葉がにを食べた時の驚きと言ったら! 大きくて身がぎっしり、濃厚なミソがたっぷり詰まった圧倒的な美味しさ。夢中になって手で食べた後に、少しも臭いが残らない。ただ、姿かたちのいいものはかなり高額なのが悔しい。でもカニ王国・鳥取には地元ならではのカニがある。紅ガニ(紅ズワイガニ)なら味は遜色ない上、リーズナブル。和洋中華、さまざまな料理でその魅力を発揮する——犬養

オレイン酸リッチな黒毛和牛。鳥取がリードする未来の和牛

「鳥取和牛オレイン55」の希少なフィレを、肉汁の旨みを凝縮したソースとロブションのスペシャリテであるジャガイモのピューレとともに、ポワレ仕立てに。やわらかな肉質と口溶けのよい脂の甘みが引き立つ一品。松葉がにを使った前菜や、大山牛乳を使用したクレームブリュレを含むスペシャルコースで提供。「オリジナルコース」より コース¥10,000(サービス料別)(ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション/ヒルサイド 2F)※前日までに要予約 ※一日10食限定

本場成都の四川料理を今に伝える『飄香』の看板メニュー・牛肉麺を、鳥取和牛のやわらかで脂ののったバラ肉と濃厚なスネ肉で仕上げた一皿。トロトロに煮込んだ和牛は、18種もの香辛料を使った香り豊かなスープとも相性抜群。「香飃牛肉麺 本場四川の牛肉麺」¥2,200(サービス料別)(老四川 飄香小院/ウェストウォーク 5F)※一日10食限定

鳥取和牛の部位の中でもとりわけ希少なイチボを、高温でさっと揚げた串揚げは、やわらかな赤身と脂の旨みがぎゅっと詰まった濃厚な味わい。約40種類の串カツをストップがかるまで次々と揚げてくれる、人気のおまかせスタイルを含む3種類のコースで味わえる。「おまかせコース」より コース¥3,000~¥12,000(串の坊/ウェストウォーク 5F) ※本数に応じて価格が変わります ※なくなり次第終了

実は鳥取こそ和牛の聖地だと聞いて意外に思ったが、その理由は和牛改良の先陣を切ってきた歴史にある。また、全国のブランド牛のルーツを辿ると鳥取の種雄牛「気高」号の名が挙がる。なんと生涯9,000頭もの子孫を残したという。鳥取和牛の特徴はとにかく柔らかで、まさにとろけるよう。サシ(脂肪)だけでなく、赤身の部分の旨味が深い。鳥取和牛のなかでも健康オイルとして注目のオレイン酸を55%以上含むものを「鳥取和牛オレイン55」として2011年より認定を始めた。まだまだ鳥取和牛は進化する——犬養

ていねいに扱われた鳥取ジビエに、森の風景を思う

季節の食材を活かしたフレンチ『レグリス』。波多野シェフが得意とするジビエも楽しめる。期間限定のオリジナルコースでは、鹿のロース肉と大山鶏の白レバーをパイで包み、赤ワインのソースで合わせた味わい深い一皿が登場。他にも松葉がにを使用したカニクリームコロッケや、大山乳業の牛乳を使用したアイスクリームなども。「オリジナルコース“Menu Réglisse”」より コース¥7,150(サービス料別)(レグリス/六本木けやき坂通り 3F) ※前日までに要予約 ※一日5食限定

豊かな自然環境で育った鹿肉を炭火焼きにし、肉本来の香りが引き立つ胡椒風味のワブラード・ソースと和栗のピューレ、洋梨のキャラメリーゼを添えて。自然の恵を受けて育ったジビエを存分に堪能できるこの一皿は、おまかせコース内で提供。「シェフおまかせコース」より コース¥33,000(サービス料別)(六本木うかい亭/六本木けやき坂通り 2F) ※2日前までに要予約 ※ランチ・ディナーともに一日6組限定

野生の恵み・ジビエは自然環境がそのまま映しだされる天然の素材。空気、水、木の実や草木を食べて野山を駆けめぐる鹿や猪は、鳥取の恵みそのものだ。北海道のジビエと違って、鳥取のジビエはしなやかな肉質とクセのない味わいが特徴。そのためには処理の速さも重要だ。県内には腕のいいプロを揃えた処理施設があり、若手も育っているという。ていねいに扱って届く素材。それをシェフは森の風景が思い浮かぶよう料理する。都会で味わうからこそ、命を「いただきます」という厳粛な気持ちを大切にしたい——犬養

 

profile

犬養裕美子|Yumiko Inukai
レストランジャーナリスト。東京を中心に世界中のレストランを取材。12年ほど前から地方に注目。生産者とともに地方の魅力を伝える料理人を評価する農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」の審査委員を務める。

Roppongi Hills×鳥取県 冬の味覚
六本木ヒルズ館内のレストランでは、上記で紹介したメニュー以外にも鳥取県産の旬の食材を使ったスペシャルメニューを提供しています。詳細は公式ホームページ(11月12日よりサイトオープン)にて公開します 期間 11月19日(金)〜12月2日(木)

※ 2021年11月現在の情報となります。
※ 表示価格は全て税込価格です。
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