人生をかけて「おいしいもの」を追求するスタイリストの伊藤まさこさん。彼女が乃木坂や西麻布など六本木ヒルズ周辺で見つけた、とっておきの「おいしいお店」のアドレスを公開。思い出深い西麻布「ビストロ・ド・ラ・シテ」にも再訪し、大人になった今だからこそ、楽しめる六本木の魅力について語ってもらった。
TEXT BY MIHO MATSUDA
PHOTO BY KIICHI FUKUDA
今、再び西麻布へ
伊藤まさこさんが20代の頃、西麻布は大人の街だった。当時は、食に詳しい編集者や料理人などの年上の友だちとレストランやバーに繰り出して、本物の味を覚えた場所でもあったという。
「25歳くらいの頃、ブルゴーニュ地方のおいしいものやワインを巡った旅をしたんです。そんなこともあって、その頃、フランス料理に夢中になり、毎晩レストランを食べ歩いていました。ビストロ・ド・ラ・シテは、パリの雰囲気そのままだという噂を聞いて訪れたのが最初。鴨のコンフィなど、フランスそのままのメニューでした。当時はまだオニオングラタンスープを出すお店は少なかったから、このスープと出会えたときは嬉しかったな」
西麻布で過ごした時間は、かけがえのないもの。そこで出会った人、食べた味の経験は今の仕事の礎になった。子育てがあり、しばらく足が遠のいていたけれど、時を経て再び西麻布へ。
「先日、久々にキャンティ 西麻布店にお邪魔したら、昔に比べてとてもしっくりくる感覚がありました。かつては背伸びをしていたけれど、今は心地いいと感じる。私もいつの間にか、このエリアに似合う大人になっていたのかもしれません」
伊藤まさこさんのおいしいものアドレス 六本木編
銀座ウエスト 青山ガーデン
「おやつに、ブランチに。天気のよい休日、どこかでのんびりおいしいものをと思った時にまっ先に思いつく場所がこちらです。店内は広くとても静かで穏やかな空気が流れているところが好き。帰りがけ、ショーケースに並んだ清楚なお菓子を眺めつつ手土産を買うのがお決まりのコース」 場所 東京都港区南青山1-22-10 時間 11:00~20:00(月〜日) 問 03-3403-1818
西麻布喫茶R
「知人の滝本玲子さんの店なので、家に遊びに行く、という気分で訪れます。こじんまりしていて落ち着く場所。時々、ものづくりの作家の展覧会や服の展示会なども催されるのですが滝本さんのセレクトがセンス良いので目が離せません」 場所 東京都港区西麻布2-16-5 時間 12:00~19:30(火〜土) 問 03-5725-5636
キャンティ 西麻布店
「大人になってよかったなぁとしみじみ思える、大人のための店。ワゴンの前菜とデザートは何度行ってもどれにしようかなとときめきます」 場所 東京都港区西麻布3-17-26 時間 17:00~翌1:30(L.O.)(月〜金)、12:00〜翌1:30(L.O.)(土日祝) 問 03-3404-6500
おつな寿司
「手土産や楽屋見舞いなどによくお願いしています。人数によって個数を対応してくださるところがうれしい。いつも電話でお願いしておき、ささっと引き取ることにしています」 場所 東京都港区六本木7-14-4 時間 10:00〜21:00(平日)、〜20:30(土祝)、〜13:00(日)※店頭販売、店頭での食事は時間がことなります 問 03-3401-9953
三河屋
「揚げ物をお腹いっぱい食べたい、そんな腹ペコな気分の時に訪れたい店。お店の方の、お腹いっぱい食べさせたい、という意気込みが伝わってくるところがうれしい。ごはんもお代わりしてもりもり食べます」 場所 東京都港区西麻布1-13-15 時間 11:30〜14:30(月火木金のみ) 問 03-3408-1304
ラ ブティック ドゥ ジョエル・ロブション
「六本木ヒルズを訪れると立ち寄って、その日の夜もしくは翌朝食べるパンを調達します。お気に入りは10センチほどの小さなバゲット。スープに添えるとかわいい」 場所 六本木ヒルズ ヒルサイド 2F 時間 10:00~21:00 問 03-5772-7507
1970年横浜生まれ。料理や雑貨など暮らしのスタイリスととして雑誌や書籍で活躍する。おいしいものを探して各地を飛び回ることがライフワーク。食や旅、暮らしについてまとめたエッセイも多数。近著に、コーヒー焙煎家のオオヤミノルさんや吉本ばななさんたちとおいしいものについて語り合った対談・エッセイ集『おいしいってなんだろ?』(幻冬舎)がある。
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