5 SPRING STYLES

池田尚輝がセレクト、春のモノトーン脱却スタイル

人気スタイリストの池田尚輝さんがこの春注目するのは、色。モノトーン派も抵抗なく着られる「安心感のある」カラーやデザイン選びとコーディネートのコツを聞きました。

PHOTO BY SHO UEDA
EDIT & TEXT BY RCKT/ROCKET COMPANY*

黒の「間違いなさ」をちょっとだけシフトした色選び

「冬の間、ずっと感じていたこと。“みんな黒を着ているなあ”。おしゃれに興味がある人もそうでもない人も、とりあえず黒を着ておけば安心、っていう気持ちがあるんじゃないかと。黒もいいけど、春に向けてファッションをアップデートしたいならちょっとライトな色にもトライしてみませんか?という提案です。黒から移行するのに抵抗なく着られるのはどんなアイテムだろう、というところから考えてセレクトしました」

❶ コヨーテカラーのブルゾンはどんな色とも好相性——N.ハリウッド

ブルゾン¥74,800、パンツ¥38,500、中に着たカットソー¥27,500(N.ハリウッド テストプロダクト エクスチェンジサービス/N.ハリウッド/六本木ヒルズ ウェストウォーク 4F) ※ブルゾンとパンツは3/9〜発売、Tシャツは4/13〜発売予定です。

「今回、インにロイヤルブルーのTシャツを合わせましたが、こういうきれいな色に合わせても浮かない。ちなみに、きれいな色は今回のようにジャケットの首元からのぞくとか、Vネックの襟元からちらっと見えるとか、小さい面積から取り入れるとコーディネートしやすいです」(池田さん)

パラレスキューのフライトジャケットに着想を得たブルゾンは、複雑なステッチワークを踏襲した胸ポケットがポイント。

「コヨーテカラーって実は絶妙。“色を着ている”感がなくて、黒からゆるやかに明るめの色にスイッチしたいといったときにぴったりの色だと思います。ミリタリーに合う色でありながら、重くなく軽い方向にも持っていける。きれいな色とも黒とも合う万能選手で、軽やかさを演出できる。パラレスキュー、いわゆるパラシュート部隊が着る服をモチーフにしたN.ハリウッドらしいミリタリーベースのセ ットアップは適度なハリと落ち感があるダンボール素材で、リラクシーかつきれいめに見える。シワにならないので旅行にもいいですね」

❷ アイボリーのパンツを主役に優しいグレーで品よくまとめて——アタッチメント

シャツ¥47,300、カットソー¥15,400、パンツ¥38,500(アタッチメント/アタッチメント/六本木ヒルズ ウェストウォーク 4F

「合わせたグレーのシャツも、ただのグレーではなくややブルーがかった絶妙な発色。アイボリーのパンツと合わせたときにニュアンスを入れてくれるアタッチメントらしいアイテムです」(池田さん)

「ポケットが外に出ていないミニマルなデザインなのも好きなポイント」(池田さん)

「アイボリーのカーゴパンツは、軽やかな色とハードなミリタリーデザインのバランスが良いから使いやすい。このパンツを主軸に、グレーのシャツを合わせました。アイボリーとグレーで、白と黒のモノトーン配色に近いのですがアタッチメントならではの発色でニュアンスのある配色になっています。また、パンツもシャツもドレープがきいていて、カジュアルだけどちょっとエレガント。シワにもならないし、さらっとして快適で今から暖かくなってきても気持ちよく着られそう。きれいめとイージー感の両方が得られるおすすめのスタイルです」

❸ 淡いブルーのコートはシャープなデザインが取り入れやすい——デザインワークス ドゥ・コート

コート¥74,800、ジャケット¥63,800、シャツ¥27,500、パンツ¥35,200、ネクタイ¥16,500(デザインワークス/デザインワークス ドゥ・コート/六本木ヒルズ ウェストウォーク 3F) ※コート、ジャケット、パンツは3/9~発売、シャツは3/29~発売予定です。

ジップが見えないためスタイリッシュな印象。「レスイズモア的なデザインワークスらしいコート」と池田さん。

「ウエストのドローストリングを絞るとちょっとカジュアルな雰囲気に。パーカの上に着てもいいですね」(池田さん)

「色の中でも薄いブルーなら取り入れやすい。このコートは素材も軽やかで、レインコートまでいかなくても雨風に強そうで、天候が変わりやすい春にいいですね。ネイビーのスーツの上に着ると、ブルーのグラデーションができてきれいです。デザインワークスはロンドンからスタートしただけに、コンサバティブかつミニマルでモダンなイメージがあります。このコートもスタンドカラーですっきりシャープな印象。色気が出過ぎないので、淡い色とあいまってちょうどいい洗練具合です」

❹ レトロ感がたまらない柄シャツでさりげなく色を入れる——ソフ

ジャケット¥39,600、シャツ¥29,700、パンツ¥31,900(ソフネット/ソフ/六本木ヒルズ ウェストウォーク 4F

「ソフらしいミリタリーディテールのジャケットは、グレーといってもちょっと杢(もく)になったグレーでニュアンスがある色合い。麻混シャツとウールライクなジャケットという素材感の違うものを合わせることで洒落っ気が出ます」(池田さん)

リネン混で軽い着心地のシャツ。左裾にフラグメントデザインとの協業の証であるサンダーマークと、サークルUEロゴが配されています。

「柄から色を取り入れるのもトライしやすい。こちらは90年代を思わせるレトロ感と、洗練された爽やかさが混ざったような魅力のあるチェックシャツ。落ち着いたトーンのマドラスチェックなんですが、ミニマルなトーンなので大人っぽく着られます。藤原ヒロシさんのフラグメントデザインとのコラボアイテムと聞きましたがなるほどと思いました。90年代を知り尽くした人が今に落とし込んだデザイン。リネン混の洗練された質感で、ウールライクなグレーセットアップと合わせるとコントラストが生まれていい感じです」

❺ 硬派な洗練を体現する白のMA-1——ビーセカンド 六本木

ブルゾン¥87,780、パンツ¥27,280(ノンネイティブ/ビーセカンド 六本木/六本木ヒルズ ウェストウォーク 4F)、中に着たスウェット¥39,600(エイトン/ビーセカンド 六本木/六本木ヒルズ ウェストウォーク 4F

「白がグリーンを引き締めるスタイリング。ブルゾンと同じノンネイティブのパンツはグレーともカーキともつかない絶妙な発色で、テーパードシルエットのためスタイル良く見え大人におすすめの1本です。エイトンのフォレストグリーンのリバース織スウェットはアメカジが匂い立つアイテムで、MA-1と好相性」(池田さん)

「ミリタリーのナイロンって質感が独特だし、MA-1はリブの部分もステッチも特殊で難しいからごく一部の工場でしか対応できない。そこをちゃんと作っているのが佇まいとして出ているところにグッときます」(池田さん)

「大人にちょうどいい上質なカジュアル服が見つかるビーセカンドで出会った、ノンネイティブの白いブルゾン。ノンネイティブって硬派で洗練されたブランドっていうイメージがあるのですが、本格仕様のMA-1で、色は白。まさに硬派&洗練ですね。今、カーキ〜グリーンの上下でスタイリングするのも見慣れてきていますが、そこに白のブルゾンを合わせるとシャープに仕上がる。白を選ぶことで決まるスタイリングって結構あると思います。汚れが心配という人、このブルゾンはウォッシャブルなのでご安心を」

 

profile

池田尚輝|Naoki Ikeda
スタイリスト。ファッションだけに留まらず、建築、工芸、アートと興味は幅広い。近年は“池田尚輝撰“と題し局所的な物や事にフォーカスしたイベントも開催している。

※ 2024年2月現在の情報となります。
※ 表示価格は全て税込価格です。