5 NEW WARDROBE ESSENTIALS

池田尚輝がセレクト 春は定番アイテムを買い替える

人気スタイリスト・池田尚輝さんが春におすすめしたいのは、定番アイテムの買い替え。ビジネスシーンを中心に、誰もが一つは持っている定番アイテムから「今、買うならこれ」という納得のセレクト理由とともに紹介します。

PHOTO BY SHO UEDA
EDIT & TEXT BY RCKT/ROCKET COMPANY*

池田さんからの提案
——定番アイテム、そろそろ新調しませんか?

「定番アイテムって、“定番”だからデザイン的に大きく変わらないし、壊れたり破れたりしなければずっと使える。でも、ちょっとくったりしてきたな、ってなっているものってあると思うんです。ぱっと見の目新しさはないんだけど、定番アイテムも日々アップデートされています。ものすごく新しいことが起きているわけじゃないけど、新調すると快適さがアップしたり、気分が改まったりする。そういう買い替え、春に向けてどうですか、という提案です」

❶ ネイビーのブレザージャケット
——ビームス

「カジュアルはもちろん、ドレスも充実している六本木ヒルズのビームス。幅広いアイテムから、絶妙な存在感があるネイビーブレザーをチョイスしました。1890年イタリア創業のサルトリア・ボリオリのブレザーは、裏地がなく軽やかなのに、見返しはしっかりしているから軽すぎない。ブレザーって基本的にはスポーツジャケットなわけですが、きめ細かく艶感のあるホップサック生地が上品なのと丁寧な仕立てで汎用性が高い。ネイビージャケットというとアメリカのアイビーリーグがまず頭に浮かびますが、このジャケットはサイドベンツでイギリスっぽさがあり、後ろ姿的にもこだわりのある男性像になる。マットな質感のメタルボタンもモダンです」

❷ 黒のレザートート
——GANZO 六本木

「ガンゾの革小物というと、クラシックな物づくりのなかに絶妙にモダンな感性を宿したものに出会えるのが魅力。今回も春の買い替えアイテムを探そうとしたときに、絶対いいものが見つかると思ったらビンゴでしたね。セレクトしたのは、10cmの薄マチで自立するフレンチカーフのトート。シボ革で傷つきにくいし、ジップつきでしっかり蓋ができて十分ビジネスで持てるんだけど、いわゆるブリーフケースほどかっちりしすぎない。そして、堅牢な見た目の割に軽い。よりカジュアルな雰囲気のブラウンもいいんですが、ビジネスシーンにはやはりブラック。構築的なのに硬い雰囲気に持っていってない、すごくいいバランスのバッグだと思います」

❸ ハーフメダリヨンのレースアップシューズ
——シューマニュファクチャーズ[オーツカ]

「1872年創業、日本最古のシューメーカーであるオーツカ。数多くあるオーツカのシューズのなかからこちらを選んだのは、ビジネスシーンで一番バランスがいいのがこの内羽根ハーフメダリヨンのキャップトゥだと思ったから。崩し過ぎず、フォーマル過ぎず、でも格式がある。シンプルなグレーやネイビーのスーツに合わせると“わかってる”感が出ます。ほどよく丸みを帯びたつま先もオーセンティックで好きですね。オーセンティックゆえに質や技術がわかりやすいんですが、このクオリティの靴が5万円以下で買えるというのはすごい。それからグッドイヤー製法のレザーソール、通気性もいいのでぜひ裏張りしないで履いてほしいですね。靴底って意外と見えますから」

❹ サスティナブル素材のリュック
——cote&ciel

「2008年にパリで生まれたコートエシエル。コンセプチュアルなデザインが特徴で、実用的なのも魅力です。折り紙的な発想から生まれたリュックが特に人気で、日本的ミニマリズムに通じるところがある気がします。いわゆるビジカジ(ビジネスカジュアル)と言われるような、ブレザーよりさらにスポーティなブルゾンやミリタリージャケットなどをビジネスでも着る人には、ほどよくカジュアルでありながらちゃんとして見えるこのリュックがちょうどいい。PCを収納する保護材つきのスペースもあり、ほかに複数のポケットと外にもジップポケットと機能的で、外見はミニマル。黒なのできれいめなスタイルにも合わせられます」

❺ 変形ボーダーのコットンニット
——ダブルスタンダードクロージング/ヒム

「ぱっと見ポップかなと思いきや、実はプレーンで着やすいアイテムが見つかるディーヒム。春のアイテムとして定番のコットンニットでいいものを発見しました。厚過過ぎず薄過ぎないミドルゲージ。丸首で編みたても普通。で、コットン100%。コットンニットとして僕が好きな要素が詰まった1枚です。ほどよくカジュアルでジーンズやチノパンに合わせてもそれっぽく仕上がる楽さがあるし、幅広い気温に対応できるのもありがたい。そこにタイダイで白く抜いてボーダーみたいに仕上げています。タイダイというと派手な印象があるかもしれませんが、シックな色のせいか嫌味にならない。シンプルな着こなしのアクセントになりそうです」

profile

池田尚輝|Naoki Ikeda
スタイリスト。ファッションだけに留まらず、建築、工芸、アートと興味は幅広い。一昨年、昨年と“池田尚輝撰”と題し局所的な物や事にフォーカスしたイベントも開催している。

※2023年3月現在の情報となります。
※表示価格は全て税込価格です。
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