ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のテーマは、リサイズ・リモデルです。
STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA
服が変わると気分も変わる
数年前からジャケットやパンツなど、色々なもののサイズが大きくなってきていますよね。以前だったら、「サイズが合っていないんじゃない?」なんて言っていたものも、目が慣れてきたのか、オーバーサイズは新シルエットとして定番化。さらに今年はサイズがより大きくなっているような気がします。このリサイズに並んで、春夏に気になるのがリモデル。切り替えで分量が継ぎ足されボリューム感がアップしたフレアスカートや、解体&再構築されたパンツなど、ちょっとひねりのきいたものが目立ちます。自粛生活により、カジュアルで楽な服で過ごしていた期間が長かった分、ノイズのあるファッションで久々に遊んでみたくなりました。春ですし、リサイズ・リモデルな服で気分を変えてみませんか?
地曳いく子が指南する
リサイズ・リモデルの心得
❶ ノイズを入れて脳に刺激を与えるべし
昨年までは、ベーシックなアイテムがビッグサイズになるだけで、変化があったけれども、もうそれにも慣れてきてしまった私たち。もちろん、ゆったりシルエットの白Tシャツなどもいいのですが、ずっとそれだけだと、ベーシックボケをしてしまうので、たまにはハッと思うアイテムを一点投入してみませんか。現代アートを観るのと同じで、「えっこれどうなっているの?」という服を着るのは、脳の刺激にもなります。このハッとする気持ちが、おしゃれ心を保ち続けるコツなのです。
今年は、「大き過ぎじゃない?」と思うぐらいのビッグシルエットであったり、袖のボリュームが特大だったり、他の人から「ちょっとおもしろい服着ているじゃない」と思われるぐらいの一枚を買い足すのがポイント。週に2,3回登場するぐらいのスタメンにして、気分をあげていきたいです。
❷ メンズとはちょっとちがう
ビッグシルエットといえども、メンズの大きいものを買ったらいいかというと、それとはまたちょっと違ったシルエットなので要注意。肩の付き方が違うんですよね。リサイズされたウィメンズの服は、人間の身体が入ると、意外とすとんと落ちてきれいなシルエットに。単に大きいのではなく、落としどころが計算されているので、一回着てみてください。
❸ ただきれいなだけで終わらせないで
リサイズ・リモデルは何かしらの変化を求めているからこそのデザイン。レースのスカートもボリューム感をアップさせたノイズの入っているものを選ぶと、アドバンストなきれいスタイルがつくれます。カーゴパンツも、タフな生地のものではなく、艶やかなサテン地でワイドなものを選べば、しなやかで大人の表情に。ただきれいなだけでは終わらないエレガンスを手に入れましょう。
❹ 一生ものは鍋と包丁だけ
私たち世代は、80年代にビッグシルエットの流行を体験しています。でも、やっぱりバランスが違うのですよね。あの時代のビッグシルエットを古着として今のトレンドに着て許されるのは若い人だけの特権。トレンドは巡るとはいっても、自分が前に持っていたものを着るぐらいの歳の人には、トレンドではなく、ただの古い服にしかならないので気をつけましょう。ファッションに一生ものは無いと思ってください。私にとって一生ものとは、鍋と包丁(毎週研げば)だけですね。
※2022年3月現在の情報となります。
※表示価格は全て税込価格です。
※店舗により臨時休業や営業時間を変更させていただく場合がございます。詳細は「六本木ヒルズの営業状況について」をご確認ください。
地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、女優や著名人のスタイリングも数多く手がける。大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評を持つ。現在は、ファッションアイテムのプロデュースほか、テレビやラジオに出演するなど多方面で活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)『おしゃれも人生も映画から』(中央公論新社)『買う幸福』(小学館)『おしゃれは7、8割でいい』(光文社)『日々是混乱』(集英社)など多数。
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