ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のトピックは、夏のプリントものです。
STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA
※ 六本木ヒルズ等各施設では、新型コロナウイルスの感染拡大防止の予防対策を徹底し営業を再開しております。 また一部の店舗では営業時間を短縮、もしくは臨時休業を継続しております。ご来店の際には事前に各施設HPをご覧ください。
無地人生に飽きてきた今だからこそ
自粛生活中(今もそうなのですが)は、気がつけば、Tシャツでもワンピースでも、ほとんど黒一色で過ごしていた私。たまに色ものを着ても、単色ばかり。外に出る機会がめっきり少なくなり、脳のおしゃれ思考が停止していたのだと思います。外に出かけなければ、刺激も受けません。自分でも気がつかないうちに、楽なほうへと向かっていたのかもしれません。とはいえ、無地な生活にもそろそろ飽きてきたので、色柄ものも復活させたいと思います。ですが、きれいな色や原色系のおしゃれをするのには、まだ気持ちがそこまでついていけなくて……。そんなとき思い出したのが、今季の展示会で出合ったプリントたち(展示会に回ったのは、昨年の秋のことですが……)。あのとき、心を捉えたのが、アフリカっぽいエスニックなプリントや、花柄。いわゆる夏らしい鮮やかな色のプリントではなく、懐かしい感じのシャビーなものです。次の春夏のトレンドは、ハッピーというより落ち着いた雰囲気なのだと思っていたら、偶然にもこういう気持ちになってしまったこの夏。だから、流行っておもしろいですよね。不思議と、時代を予測しているのですから。
地曳いく子が指南する
今夏のプリント選びの極意
❶ どこかレトロで、シャビーな色柄
今季注目したいのは、ヴィンテージショップにありそうな、レトロなフラワープリント。どこか懐かしい、でもモダンなプリント。色目も、ぱっと派手に明るくというよりは、どこか洗練され、落ち着いた色調のものが今夏らしさのポイントです。
❷ エスニックな雰囲気をアーバンに
アフリカっぽい柄や、エスニックな染色プリントを、都会的にアレンジしたものも気になったこの夏。オフィスにも着ていけそうなカットソーにタイダイ柄が展開されていたり、シュッとしたシャツのセットアップにエキゾチックな色彩のグラデーションプリントが施されたりと。エスニックな色柄ですが、ゆったりとしたカジュアルなラインではなく、アーバンなスタイルに融合されています。
❸ ふわりと風を感じる素材とフォルム
プリント柄はインパクトがある分、ふわりと風を感じるぐらい軽めの素材を選ぶことをおすすめします。シルエットは、ロングで裾広がりなAライン。歩くたびにふわりと裾が揺れると、色が濃いめでシャビーな雰囲気でも重くならず、涼しげに感じます。スカートも裾がイレギュラーなデザインだったり、スリットが入っていたりすると、動きが出て、軽さを演出できます。風に揺れるシルエットと、サイドスリットが、暑い季節の暑苦しくならないポイントです。
❹ プリントは難しく考えない
プリントものが苦手という人も、多いですよね。これまでにも、何度かお伝えしてきましたが、もし柄の分量が多いと感じたら、上に何かを羽織ってその分量を減らせばいいのです。最近は、UVカットのカーディガンも多く出ていますし、ストールを巻くなどしてもいいでしょう。そのとき、縦線をつくることが、すっきりと見えるコツです。プリントもののボトムに合わすトップスを迷ったら、柄に入っている一色を取りましょう。すっきりと見せたかったら、濃いめの色。明るい気持ちになりたかったら、きれいな色を選ぶのがポイント。プリントはコツをつかめば、そんなに難しくもありません。今年らしさを取り込み、おしゃれを楽しむことも、今の気持ちをあげることにつながるのではないでしょうか。
地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、女優や著名人のスタイリングも数多く手がける。大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評を持つ。現在は、ファッションアイテムのプロデュースほか、テレビやラジオに出演するなど多方面で活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)『おしゃれも人生も映画から』(中央公論新社)、『買う幸福』 黒田知永子との共著『おしゃれ自由宣言』(ダイヤモンド社)(小学館)『おしゃれは7、8割でいい』(光文社)など多数。
SHARE