ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回は秋冬トレンド第二弾「ショートブーツ」講座です。
STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA
ショートブーツは今季のミッション
秋めいてきたこの頃ですが、再び暑さがぶり返す予報も出たり、まだまだ厚手のニットやコートの出番は先。でも季節的にはすっかり秋。そんな時季に活躍するのが「ショートブーツ」です。たとえトップスが半袖でも、足もとをショートブーツにするだけで、気分は秋の装いに。この秋冬はロングブーツがトレンドで大流行と巷で言われていますが……、なぜか気になるのはショートブーツ。展示会をまわっていても、私の目に飛び込んでくるのはショートブーツばかり。 “黒のショートブーツを買う”というのを、この秋の自分のミッションにしているぐらいです(笑)。ちなみに、ヨーロッパやアメリカのファッショニスタたちは、ノースリーブや半袖にショートブーツは定番スタイル。ということで、今回はおさえておきたいショートブーツをポイントとなるディテール別に集めてみました。
地曳いく子が気になる
今シーズンのショートブーツとその心得
❶ エレガントなヒールが復活
#MeTooならぬ#KuToo(職場でヒールを強要する風習をなくす運動)で問題になったヒールですが、いまやヒール問題はその人の生活環境と体力だと思うんです。強制される必要はないけれど、美しいものは美しい。履きたい人は履いていいのです。特に今季のショートブーツで気になったのがエレガントなヒールの復活。サイドゴアなのに、かかとは子猫ちゃんの後ろ脚のようにキュッと細くなったキトゥンヒールだったり、尖ったスティレットヒールだったりと、気力と体力を要する美しいヒールが登場しています。車で一日移動するなら、ぜひ履きたいです。けれども、ハイヒールはもう無理と言う人もいるでしょう。安心してください。今季はエレガント系の“ちびヒール”もあるので、ぜひチェックしてみましょう。
❷ 程よい主義主張の大人ロック
ロッカーやそのファンたちがご愛用するウエスタン変形のショートブーツも今季の代表格。ポイントは斜めにカットされたがっちり系ヒールやポインテッドトゥ。オリジナルはカウボーイやバイカーたちのものでしたが、今やランウェイの常連に。リングブーツなどごついディテールもありますが、どこかエレガントだったりかわいかったりするのが今年。ひと昔前なら、パンツスタイルに合わせることも多かったですが、今はスカートからドレスまでOKな時代。今季のランウェイでも、ドレスにごついブーツのコーディネートはよく見られました。実はこのタイプ、私が欲しくて買うであろうシリーズです(笑)。
❸ ショートブーツもソックスイン
最近の流れとしてあるのは、ソックス付きタイプやストレッチ資材と組み合わせたショートブーツ。特にスポーティーに進化したソックスインブーツは、ネクストスニーカーとしてこの秋一番に欲しい足もとかも。
❹ 迷ったら黒を買うべし
色で迷ったら、最初の一足目は黒ベースで選びましょう。ショートブーツという時点で少し冒険をしているので、それ以上攻めなくても大丈夫。全身あまりにも黒過ぎるという人や、似たような黒のショートブーツなら持っているわという人は、ワインレッドやアニマル柄を手に入れ、ちょっと外した着こなしも素敵です。
❺ パーティーでも許されるのが今の時代
20年ぐらい前、きれいなレースの膝丈ワンピにニーハイブーツを合わせてパーティーに登場したとてもおしゃれな友人が、みんなから非難ごうごうだったなんてこともありました。しかし、時代は変わり、トレンドよりのパーティーならショートブーツでも許されるのが今。さすがにロングブーツは勇気がいりますが、ドレスにショートブーツならおしゃれ度もアップ。足全体がホールドされているので、パンプスよりも足への負担が軽減されますしね。
❻ 実は、あなたもシンデレラ!
以前にもお伝えしましたが、足の形は人それぞれに千差万別。今季らしさといえばポインテッドトゥですが、外反母趾で足が痛くなる人も多いかもしれません。反対に私は足の指が長いので、どちらかというとポインテッドのほうが合うのです。靴の履き易さは、親指と小指の付け根の幅と厚み、そして指の長さで決まってきます。まずは自分の足の形を把握しましょう。ポインテッドトゥでも、型によってはすんなり履けるものもあります。気になる靴に出会ったら、まずはお試し。足にフィットしないものはすっぱり諦めましょう。逆に自分の足にフィットしたらそれは運命。そう、みんなシンデレラと一緒なのです。自分に合うたったひとつのガラスの靴を探しているのですから。
地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、そのキャリアは30年超え。女優や著名人のスタイリングも数多く手がけ、大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評あり。現在は、ファッションアイテムのプロデュースほか、テレビやラジオに出演するなど多方面で活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』、『着かた、生きかた』(ともに宝島社)、『おしゃれも人生も映画から』(中央公論新社)、黒田知永子との共著『おしゃれ自由宣言』(ダイヤモンド社)、『買う幸福』(小学館)など多数。9月には最新刊『おしゃれは7、8割でいい』(光文社)を上梓。
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