ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回は秋物トレンド第一弾、「英国テイスト」の取り入れ方講座です。
STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA
気骨のあるイギリス精神をおしゃれ計画に
まだまだ蒸し暑く、秋物なんてと思われる日々が続きますが、街は完全に秋物にシフト。でも現実はぐったりとする暑さ。いっそ現実逃避して、まずはファンタジーの中で妄想秋物ファッションショーをしてみるのはどうでしょうか。
今季、私が気になるのは、ブリティッシュテイスト。ストレートにMade in Englandなものではなく、イギリス精神をどこか感じるものに惹かれます。このところ、年に一度はイギリスに行っていることもあり、マイブームでもあるのですが、英国女史のおしゃれは心にぐっときます。とはいえ、今年の夏は暑すぎて、イギリスといえども皆さまファッションを捨てておりましたが……。でも秋となると、お得意のジャケットやコート、ニットで素晴らしいスタイルを見せつけてくれます!特にオータムカラーのセンスは抜群です。老若男女問わず、マダムからパンクスまで、それぞれに気骨があるんですよね。頑固で偏屈というか、それがいい方向に出ているんです。今は、そんなセンスを取り入れたおしゃれ計画を立て、涼しくなるのを待ちましょう。
地曳いく子が気になる
今季のブリティッシュテイスト
❶ 英国トラッドをモダンにミックス
タータンや紳士然としたガンクラブチェック。コーディネイトにひとつ取り入れるだけでブリティッシュな気分を盛り上げてくれます。今季のポイントは、モダンにアレンジしているところ。例えば、美しい仕立てのメンズライクなテーラードジャケット。でも着てみると、ウエストがシェイプされシルエットは全然イギリス的じゃない。そんなひねりを効かせた取り入れ方ができたら、おしゃれ上級者ですね。
❷ お手本は『炎のランナー』
80年代初期のイギリス映画、特に『炎のランナー』が今季の気分にぴったり。映画ではメンズが目につきますが、そこに登場する気骨な女性の服は要チェックです!
❸ ざっくりニットをシャープに着こなす
ロンドン子はガーデニング好きで、田舎も好き。週末ともなれば、自然を求めて郊外の別荘へ。そんな彼らが愛する田舎スタイルも素敵なお手本。ざっくりニットの着こなしも、クリーンな白いシャツとあわせて洗練されたカントリールックに。シティでもOKな田舎風味を演出するのも、この秋のブリティッシュ気分です。
❹ ロック魂フォーエバー
英国はグラムロックの発祥地。デヴィッド・ボウイの初来日公演を観て以来、ギラギラグリッターのグラムロックも、私にとってはカインド オブ ブリティッシュスタイル。金糸銀糸を織り込んだジャカードスカートも、テーラードジャケット合わせてブリティッシュ気分のひとつとして取り入れてみるのも素敵です。そういえば、デヴィッドも初期はヴィンテージジャケットのスーツを着ていましたし。
地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、そのキャリアは30年超え。女優のスタイリングも数多く手がけ、大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評あり。独特の語り口も魅力で、現在はテレビやラジオでのコメンテーターとしても活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』、『着かた、生きかた』(ともに宝島社)、『おしゃれも人生も映画から』(中央公論新社)、黒田知永子との共著『おしゃれ自由宣言』(ダイヤモンド社)など多数。7月には最新刊『買う幸福』(小学館)を上梓。
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