ファッションのご意見番ことスタイリスト・地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のテーマは大人のためのカーキです。
STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA
オールマイティーな色へと進化
注目したいトレンドカラーの代表がカーキ。カーキといっても、オリーブっぽい色から茶色、ベージュに近いものまで様々登場(今や定義はあいまいに)。以前はカーキ=ミリタリーのイメージでハードな印象でしたが、今年はシフォンや柔らかいコットンガーゼなど素材の展開も豊富。カーキのカラートーンの幅が広くなっています。カーキが似合わないと思っていたオトナ女史の皆さま、ゴツくないカーキを今年は試してみませんか。
地曳いく子が指南するカーキ選びの心得
❶ 素材感とニュアンスで変化をつける
カーキ入門編として狙うなら、コットンやパリっとしたカジュアルな素材ではなく、シフォンのような柔らかなものを。または、レースなど異素材との合わせ技のあるデザインだとニュアンスに変化がつき取り入れやすくなります。少し前で紹介したパステルとの相性も抜群。オトナクールなスタイルへと引き上げてくれます。今年のちょっとちがうカーキは、この時季から初夏まで活躍する万能カラーです。
❷ 顔に当て鏡の前でのカラー診断
日本人の肌は同じようにみえても、赤みの強さで肌の色は微妙に異なってきます。そのため同じカーキでも、人によってポンと顔が明るく見えたり、沈んで見えたりしてしまいます。そこにはカーキの中に含まれる青みや赤み、黄みの割合が関係しているのです。カーキを手にしたら、まずはお顔に当てて鏡を見てみましょう。肌が引き立つ色味と、ひっぱられてくすむ色味がすぐに分かります。今年はバリエーションが豊富なので、まずは自分に合うカーキを見つけてから、試着しましょう。
❸ 5段階のお買い物ジャッジポイントをつけるべし
カーキに限らずですが、シーズン毎に服を買うかどうかは最低でも5段階のジャッジポイントをクリアしてからにしましょう。まず値段との折り合いがつくもの。次はトレンドかどうか。3つ目は(先述しましたが)服の色が顔の色味に合うか。4つ目は素材感が好きか。最後にシルエットとサイズ感が今の気分なのか。全部クリアしていたらヘビロテするはずですが、ひとつでも引っかかるものがあったらすっぱり購入は諦めましょう。カーキがトレンドだと思って買ったのに、色味や素材感がなんだかしっくりこないと登場回数も減りますし、無難なものを選んでもトレンドの気分に乗れなければやっぱり着なくなります。2、3か月でもヘビロテして着倒したほうが満足感は大きいはず。来年も着られたら儲けものという気持ちぐらいで考えましょう。
❹ 自分のキャラを把握する
「何を合わせたらいいですか?」という質問をよく受けます。それに対する私の答えは、「まずは自分のキャラを把握すること」です。カーキはフェミニンなアイテムと合わせたほうが着こなしやすいと言われますが、もともとその人がより女性らしい雰囲気を持っていれば、全体をハードにしたほうがフェミニンに見えたりもします。服のコーディネイトだけでなく、自分のキャラまで合わせて全体の甘辛バランスを考えみてください。
地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、そのキャリアは30年超え。女優のスタイリングも数多く手がけ、大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評あり。独特の語り口も魅力で、現在はテレビやラジオでのコメンテーターとしても活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)、『おしゃれも人生も映画から』(中央公論新社)など多数。11月には黒田知永子との共著『おしゃれ自由宣言』(ダイヤモンド社)を上梓。
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