ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回は、春先から取り入れたいサンダル&エスパドリーユがお題です。
STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA
すべてが一気にブレイク。トレンドって何?
少し前までは、二つか三つのキーアイテムがブレイクし、「今年のサンダルのトレンドはコレ!」と言い切れていたのですが、ここ最近はトレンドが多様化し断言できない状況に。プラットフォームからペタンコソール、スニーカーブームに押され影を潜めていたエレガント系も復活。エレガントといっても、今季はハイヒールだけでなく中寸やフラット、チャンキーヒールなど様々。エスパドリーユも同じく進化中で、王道の形のものから、底がジュート素材のサンダルなどバリエーションも豊富。すべてが一気にやってきた感じなのです。言ってしまえば、何を選んでも今年らしさは出せます。そうなると、「じゃあ、何を選んだらいいの?」ってなりますよね。今回は多種多様化するサンダル&エスパを集め、そこをテーマに考えてみたいと思います。
地曳いく子が指南する
サンダル・エスパ選びの心得
❶ 腕が試されるファッション戦国時代
自由があってルールがない。一瞬聞こえはいいですが、ファッションにとって自由であることが一番難しいのです。ルールがあれば、それを着ていればいい。例えば、男性のスーツ。スーツを着てさえいれば、きちんと感は出せます。でも自由な服装でと言われると……とたんに何をどう着たらいいのか迷うのではないでしょうか。それと同じで、トレンドが多様化しこれさえ履けばというルールがなくなった今こそ、あなたの腕が試させるファッション戦国時代なのです。
❷ 自由な不自由をチャンスと捉えて
形やデザインの多様化とともに、コーディネイトの幅も広がっています。エレガントの代表格であるピンヒールのサンダル。ひと昔前ならドレスに合わせてパーティーやレッドカーペットがイメージでしたが、今はすべてをエレガントにまとめる必要はありません。今年ならレギンスやシアーなソックスに合わせて履くのが気分では?自由は不自由ですが、その人のタイプによって色々な履き方ができるので、足に自信がなくエレガント系を苦手としていた人はチャンスと思ってトライしてみてはいかがでしょうか。もちろん、いざって時のパーティーにも活躍しますよ。
❸ 指標は週2回のデイリーユース
何でもありなトレンドなので、選ぶ基準の第一優先は自分が好きなもの。ただし投資前に踏みとどまって考えて欲しいのは、週2回履くかどうか。好きでも履かなければ意味がありません。でなければ、履いただけで特別な気分にしてくれるものと割り切るかのどちらかです。
❹ 自分の足の形を把握する
「これなら走っても痛くない」なんてフレーズよく耳にしますよね。でも、オーダーで作らない限りそれは絶対にありえません。サンダルは、親指の付け根の位置がどこにあるかでかなり違ってきます。フロントストラップから小指がはみ出ないことも重要。指の付け根部分がしっかりホールドされているかどうかで履き心地は変わってきます。自分の足に合ったサンダルに出会ってこそ、“週2回”がクリアできるのです。
❺ 春先から履き倒すべし
この時季にサンダルやエスパドリーユはちょっと早いかなと思うかもしれません。ですが気に入ったものを見つけたら即断が必要です。服と違い、サイズがぴったりでないと履けないのが靴。それに数量も少ないので、次なんて思っていると無くなる可能性も大。今年はソックスと合わせるトレンドも味方してくれるので、お天気の良い日は今からでもバリバリ活躍してくれます。
地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、そのキャリアは30年超え。女優のスタイリングも数多く手がけ、大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評あり。独特の語り口も魅力で、現在はテレビやラジオでのコメンテーターとしても活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)、『おしゃれも人生も映画から』(中央公論新社)、黒田知永子との共著『おしゃれ自由宣言』(ダイヤモンド社)など多数。
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