ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回は、この冬一枚は欲しいチャンキーニットのお話です。
STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA
トレンドに重ねて、オトナ女史もチャンキーニットを
朝晩の冷え込みに、ようやくニットのぬくもりが恋しい季節になってきました。今季の展示会で多く目にしたのはざっくり系のチャンキーニット。一枚で見るとかっこいいのですが、平均身長ぐらいの日本人は意外とボリュームに負けてしまいがちなのです。でも、今年なら私たち一般体型でも大丈夫!と、ファッションの神からのお告げが(笑)。というのも、シャビーな古着風の重ね着トレンドや、ワイドパンツに対して出てきたレギンスやトレンカの復活が強い味方になってくれるからです。一枚あると今年の顔を作ることができ、着こなしの幅もあるので、敬遠していた方もぜひトライしてみてください。
地曳いく子が指南する、チャンキーニットの心得
❶ ボトムはふんわりか、シュッとしているか
ノームコアが主流だった時は、ボーイフレンドデニムにチャンキーニットなんてスタイルもありましたが、これは相当なモデル体型じゃないかぎり無理。シンプルなだけに野暮ったくしか見えず、丈やバランスなど実はかなりの上級者向けでした。でも今年のチャンキーニットはトレンドがはまり、一般体型さんもウェルカム。丈が短めのニットなら、フルレングスの柄ワンピースの上に着ても素敵ですし、丈が長めなら、ミッドカーフぐらいのワンピースを裾からふわりと覗かせるのもかわいいです。春夏で購入したワンピースを活用してもOK。オトナ女史の皆様なら、タイトスカートに合わせて足もとをブーティやショートブーツにしても。あとは、レギンスかトレンカをぜひ手に入れて。ざっくりとしたコクーンシルエットを、シュッとしたボトムで引き締めましょう。ポイントは、あくまでもフェミニンにまとめること。
❷ 嵩も値段も嵩張ります
薄手のニットはスウェット感覚で何枚か買ってもいいのですが、チャンキーニットはこれぞという一枚に絞りましょう。なぜなら、収納に嵩張ります。しかも、お値段もコンパクトとは言えません。もはやニットを超え、コートやジャケットと思って買ってください。このところの気候の傾向をみると、12月半ばぐらいまでは、防寒インナーと大判ストールとの組み合わせで、チャンキーニット一枚でも乗り切れるのではないでしょうか。
❸ 自分の弱点を知る
私のセレクトには、無意識のうちにフィルターがかかっています。つまり、痩せてすっきり見えるということ。服単体でかっこよくても、自分が着たらこんなはずじゃ・・・となること多くありませんか?夢見ることはいいのですが、着せ替えバービー人形的な一部のセレブにしか似合わない服は、きっぱり諦めましょう。まずは、自分の弱点を知ることです。例えば、首が短かめの人なら、タートルニットは首回りがゆるめのものを。少し前に落ちるくらいがかわいいバランスに。胸のボリュームがある人は、ケーブルニットは量感が増すので、ざっくり系でも縦線を強調できるリブタイプを。でもやっぱりケーブルニットが欲しいと思ったら、V字で前の開きが大きいものを選んでみてください。ざっくりニットは、うすら歳をとってくると維持できなくなる体型の不都合を隠してくれる嬉しいトレンド。だからこそ、己を知ることが大切なのです。
地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、そのキャリアは30年超え。女優のスタイリングも数多く手がけ、大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評あり。独特の語り口も魅力で、現在はテレビやラジオでのコメンテーターとしても活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)、『脱「若見え」の呪い “素敵なおばさま”のススメ』(マガジンハウス)など多数。9月には最新刊『おしゃれも人生も映画から』(中央公論新社)を上梓。
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