ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子が、独自の視点で切り込む大人女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のお題はカジュアルの定番「デニム」です。
STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA
進化し続けるデニム
変わらないようで変わっているのがデニムパンツ(以下デニムと呼ばせていただきます)。定番と言われるアイテムも時代に合わせて素材もデザインも進化し続けているのです。しかもデニムは写真写りだけではわかりにくい。穿いて初めてその違いがわかるのです。デニムなら10本以上は持っているわという人も、ぜひ今年のデニムの試し履きを。連載の初回に触れましたが「ベーシックアイテムこそアップデート」が必要です。ド定番のアイテムは数年前のものを引っ張り出すとかえってやぼったく見えるという落とし穴があるのを忘れずに。たかがデニムされどデニムなのです。
地曳いく子が伝授する
デニム選びの心得
❶ かっこいい(きれい)の基準は変わっている
きれいめ系デニムなんて言葉を一昔前はよく耳にしましたよね。脚が長く細く見える。それがかっこいいデニムの基準だったんです。いうならば80年代のブルック・シールズのイメージの流れでしょうか。そのため靴もコンシャス。ハイヒールがマストアイテムでした。ベルボトムが流行ったときもヒールを仕込むのが当たり前。ところがこの数年は、ボーイフレンドデニムやワイドシルエットの波が押し寄せ、足もともロールアップして中寸ヒールかスニーカーが主流。着こなしから変わってきています。もちろん脚長デニムも健在ですが、腰の位置が一昔前とはかなり変化しているので気を付けましょう。
❷ 1本の試着で諦めない
デニムの場合トレンド以上に大切なのが、ウエスト&お尻&太もものお肉事情です。意外なものが太く見えたり、細く見えたりと人それぞれ。特にウエストまわりは、ぽっこりとなるか収まるかはお肉の柔らかさ次第。穿いてみないとわからないのです。ウエストの位置でも印象はずいぶんと変わります。ただし1本試着しただけで似合わないと諦めてはいけません。同じ形でも色やサイズの上げ下げで全然違って見えてきます。気になるデザインを見つけたら、まずはお店に行って最低でも2、3本は試着しましょう。体事情に合うトレンドデニムを探す、これが鉄則です。
❸ デニム系シャツはウィメンズ
デニムのおしゃれ創成期の頃は、小さめのメンズのダンガリーシャツを着るのがおしゃれでしたがそれも昔の話。大人女史の皆さまにはウィメンズをおすすめします(ダンガリーはデニムじゃない!とお叱りを受けそうですが、ここではデニム系と括らせていただきます)。肩幅や袖の長さ、襟の大きさ、何よりもボタンの間隔が違います。デニム系のシャツはおそらく上のボタンを外して着る人が多いのではないでしょうか。メンズだとボタンの間隔が広いので結構開き過ぎてしまうんです。だからと言ってタンクトップを見せてしまうとそれこそバックトゥザ80sです。自分の胸事情とともに程よいボタンの開きのシャツを見つけましょう。
地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、そのキャリアは30年超えを誇る。数多くの女優のスタイリングも手がけ、大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評を持つ。独特の語り口も魅力で、現在はテレビやラジオでのコメンテーターとしても活躍中。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)など多数。最新作に『脱「若見え」の呪い “素敵なおばさま”のススメ』(マガジンハウス)。
SHARE