BOOK GUIDE FOR NEW LIFE

ニューノーマルに「自分らしい暮らし」を見つけるブックガイド——SPBS TORANOMON/六本木 蔦屋書店

働き方や価値観が大きく変化するニューノーマルの時代、「自分らしい暮らし方」を見つけるためのヒントになる6冊をご紹介します。虎ノ門ヒルズ ビジネスタワーの「SPBS TORANOMON」の佐和千晶さんと、六本木ヒルズの「六本木 蔦屋書店」の野中公恵さんに、おたがいの店舗を訪ねて3冊ずつ計6冊の推薦図書をセレクトしていただきました。

「自分らしい暮らし」のヒントになる6冊

❶ 食を通して地球の未来や自分の暮らしを考える
——『料理と利他』土井善晴/中島岳志

「六本木 蔦屋書店」野中さんが「SPBS TORANOMON」で選んだ1冊

「コロナ禍で、関連のニュースや情報が飛び交う中で、よく目にしたのは、外食の状況や毎日の食事の準備などの、食に関する情報でした。食は生きる上で切り離せない根源的なものです。ご紹介するこの本は、料理研究家の土井善晴さんの対談集なんですが、レシピではなく、環境問題や地球のこと。自分ひとりではどうにもならないけれど、だから知らん顔をするのではなく、食べ物は無駄にしないなど、まな板の前でもできる取り組みはあると教えてくれます。料理をすることは自立することだとも語っていらっしゃいます。自分らしい暮らしを考えたときに、まずは自立することなのではないか、その参考になる1冊です」

❷ 自然のもつ力で、健康と幸福感を手に入れる
——『NATURE FIX』フローレンス・ウィリアムズ

「SPBS TORANOMON」佐和さんが「六本木 蔦屋書店」で選んだ1冊

「気持ちが不安定になりがちな変化の時代に必要なのは、幸福を感じる力なのではないかと考え、その手助けになる本を選びました。本書の著者、ジャーナリストのフローレンス・ウィリアムズさんは、パートナーの仕事の都合で、自然豊かな街から都会に引越し、体調不良を起こしたそうです。そこで自然のもつ力に注目し、日本、韓国、北欧など各国の自然セラピーを取材してまとめたのがこちらの1冊。ここでは、自然に触れることで創造性と幸福度が高まるという最新科学のデータも提示されているのですが、身近な取り組みとして1日15分自然を見るだけでも癒しになるという例が挙げられています。『SPBS TORANOMON』でも脳科学についての本は人気がありますが、疲れを感じている方は、改めて健康について考えるきっかけになるのではないでしょうか」

❸ 猟師を始めて気が付いた、資本主義の歪み
——『アロハで猟師、はじめました』近藤康太郎

「六本木 蔦屋書店」野中さんが「SPBS TORANOMON」で選んだ1冊

「長崎支社に赴任した新聞記者が、朝だけ農夫をしていたのですが、猪が田畑を荒らすと聞いて、害獣捕獲のために猟師を始めたというノンフィクションです。しかし、本作はただの奮闘記に終わらず、食の資本主義やその先の問題提起にまで至っています。ここ数年、資本主義の限界を感じたり、20世紀型の資本主義が抜け切れずにしんどさを感じることも多いのですが、それがコロナ禍ではより浮き彫りになりました。著者が猟師になるエピソードから、社会の歪みや資本主義のしんどさの理由など、今、感じるモヤモヤの理由が見えてきて、これからの、“自分らしい暮らし”を形作る手助けになるのではないかと思いました」

❹ 価値観が揺らぐ今だから、再びモラルを学ぶ
——『ふだんづかいの倫理学』平尾昌宏

「SPBS TORANOMON」佐和さんが「六本木 蔦屋書店」で選んだ1冊

「倫理学の入門書です。コロナ禍以降、より他者に対する目が厳しくなり、モラルとは一体なにか考える場面が増えたのではないでしょうか。本書は倫理学を改めて学び直すことで、自分の人生を見直すきっかけを与えてくれるため、今読んでおくべき1冊としておすすめです。つい自分でも失敗してしまいそうな身近な事例が挙げられているので、堅苦しくなく楽しく学べます」

❺ 改めて考える、命、家族
——『バウムクーヘン』谷川俊太郎

「六本木 蔦屋書店」野中さんが「SPBS TORANOMON」で選んだ1冊

「最後に詩集を選びました。詩には、短い言葉の中にぎゅっと凝縮された力があり、心の中に直接、入ってくるような感覚があります。この詩集は、著者が子どもの言葉をかりたと言うように、ひらがなとカタカナで綴っています。また、家族というものがひとつ根底にあるのですが、この詩集には「まいにち」という一遍があるのですが、家族を亡くした日のことが書かれています。私もコロナ禍で命について考えるようになりました。“ニューノーマル”という言葉が生まれましたが、普遍的で大切にするべきものも忘れてはいけません。詩集を手元に置くことで、自分をリセットし、原点に立ち返ることができるのではないかと思っています」

❻ 不安定な時代に、寄り添う詩のことば
——『つくることば いきることば』永井一正

「SPBS TORANOMON」佐和さんが「六本木 蔦屋書店」で選んだ1冊

「グラフィックデザイナー、永井一正さんのライフワークである銅版画と、その創作にまつわる言葉が添えられた本です。2012年に発売されてから長らく絶版になっていたものが、昨年、新装版として復刊されました。若いアスリートや芸能人が自ら命を絶つなど、悲しい出来事が続いた昨年。この本の「幸せであるには命が最大限に生かされなければならない」という一節が胸に響きました。命について考えさせられる1冊なので、あらゆる年齢の方におすすめです。またアメリカのバイデン大統領の就任式で行われた詩の朗読で、歴史が変わる瞬間に与える言葉の力を強く実感しました。今、改めて詩に注目してみてはいかがでしょうか」

SPBS TORANOMON 住所 虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー 2F 電話 03-6457-9778 営業時間 11:00~19:00(短縮営業中)

六本木 蔦屋書店 住所 六本木ヒルズ 六本木けやき坂通り 1F・2F 電話 03-5775-1515 営業時間 10:00~20:00(1F 10:00~ / 2F 11:00~) ※ 2FバーラウンジLO 18:30(短縮営業中)

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