アーティスト兼プロデューサーとして「相対性理論」など数多くのプロジェクトを主宰するやくしまるえつこは、活動当初から長年にわたり重層的・多角的・領域横断的な唯一無二の活躍を続けてきた。本連載では音楽の枠にとどまらないやくしまるのアートを振りかえる。第2回は六本木ヒルズ森タワー52階・東京カルチャーリサーチで開催中の『YXMR FASHION RESEARCH / やくしまるえつこ衣裳展』を紹介。普段ライブでしか見ることのできない、国内外で活躍するデザイナーたちが彼女の為に作り上げたオリジナル衣装を細部までじっくり見ていきたい。
TEXT BY RIE NOGUCHI
PHOTO BY Shintaro Yoshimatsu
LIVE PHOTO BY TOMOHIKO TAGAWA & MIRAI SEISAKU
3期に渡って開催されるやくしまるえつこ衣裳展
アーティスト兼プロデューサーとして「相対性理論」など数々のプロジェクトを主宰、一貫してインディペンデントでの活動を続ける音楽家・やくしまるえつこ。バイオテクノロジーを駆使しアルスエレクトロニカ・STARTS PRIZEグランプリを受賞した作品「わたしは人類」は、現在、森美術館にて開催中の『未来と芸術』展で展示されている。
その『未来と芸術』展のチケットで、六本木ヒルズ森タワー52階・東京カルチャーリサーチにて開催中の『YXMR FASHION RESEARCH / やくしまるえつこ衣裳展』も鑑賞することができる。昨年12月からスタートしたこの衣装展は12月・1月・2月の各月12日間ずつ、近年のオリジナル衣装をデザイナーごと3期に分けて実物展示。2019年12月に開催された第1期は反響を呼んだ。現在開催中の第2期は1月26日までとなる。
ライブでも見ることができない細部まで
音楽やアートのみならずファッションの世界からもやくしまるえつこへの注目度は高く、着用する数々のオリジナル衣装は、国内外の第一線で活躍するファッションデザイナーたちが、彼女の世界観・コンセプトに基づき、本人と綿密なやり取りを重ねながら制作してきた。森美術館『未来と芸術』展や、『YXMR FASHION RESEARCH / やくしまるえつこ衣裳展』、そしてこのHILLS LIFE DAILYでの「YAKUSHIMARU ETSUKO ART ARCHIVES」シリーズをあわせて楽しむことで、やくしまるの領域横断的な活動をあらゆる角度から紐解くことが出来る。
今回の衣装展では近年のオリジナル衣装から、「FACETASM」、「writtenafterwards」、「SINA SUIEN」とデザイナーごとに3期に分けて一挙に展示する。
第1期「FACETASM」
2019年12月15日まで開催された第1期では、デザイナー落合宏理の『FACETASM』による、オリジナル衣装が展示された。これまでやくしまると数多くのコラボレーションを行うなど長年に渡り親交も深く、LVMHプライズの日本人初ファイナリストとして選出、ケンドリック・ラマーらも衣装として着用するなど世界中から注目を集めるブランドだ。2016年の日本道公演「八角形」やフジロックなどで着用された衣装が展示された。
第2期「writtenafterwards」(〜1/26まで開催)
1月26日(日)まで開催中の第2期では、ファッションの世界のみならずアート界からも高い評価を得る山縣良和(『writtenafterwards』)制作によるオリジナル衣装が展示されている。
やくしまるがアーティストヴィジュアルでも着用している黒い巨大なマントや、2019年に初登場した最新衣装となる真紅のドレス、ライブ中に使用する「ケルベロス」など、儀式的な彼女のライブの世界観を表現した壮大な衣装が初展示となる。
第3期「SINA SUIEN」(2月15日~2月26日)
繊細で鮮やかな刺繍を用いた衣装が各界から熱烈な支持を集める有本ゆみこ『SINA SUIEN』によるオリジナル衣装を展示。相対性理論の最新作であるライブアルバム「調べる相対性理論」ジャケットアートワークでもやくしまるがドローイングとして描くなど、華やかで象徴的な衣装、緻密な刺繍の数々を、ライブでは見ることのできない程の至近距離で鑑賞することができる。
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