ROPPONGI ART NIGHT

一夜限りのアートの祝祭! 六本木アートナイトを楽しむ6のポイント

六本木の街に世界中からアート作品が集結する、年に一度の祭り「六本木アートナイト」。アート作品やパフォーマンス、音楽で、街中がキラキラと輝く夢のような一夜を楽しむ6つのポイント。

TEXT BY KEIKO KAMIJO

DUNDU by Tobias Husemann

今年で9回目となる「六本木アートナイト」のテーマは「街はアートの夢を見る」だ。六本木と言えば、ビルのネオンや車のヘッドライトでひと晩じゅう賑やかな印象ではあるが、さらにアート作品を街に点在させることで、まるで街が見る“夢”を一緒に体験できる、そんな一夜となる。現代アートだけではなく、音楽、パフォーマンス、ダンス、といった様々なジャンルの作品が、美術館はもちろん街なかに飛び出して、観客の視覚、聴覚、触覚、さまざまな感覚を刺激する。ぜひチェックしたい作品やエリアをご紹介しよう。

❶ 光の巨人が練り歩く

真っ白く光る約5メートルの巨人の目撃者になろう。この巨人を操るのは、ドイツはシュトゥットガルトを拠点にした人形劇カンパニーDUNDU(ドゥンドゥ)だ。人形師のトビアス・フーゼマンがデザインをしたメッシュ素材の人形は、巨大ではあるのだが空気を孕み繊細な印象を持つ。今回初来日するのは、約5メートルのジャイアント・パペットと、1メートル程度のリトルパペット。熟練の人形師たちの巧みな操作によって、人形は命が吹き込まれる。夜はLEDで発光し、さらに幻想的な光景が見られそうだ。26日(土)の夜、18時45分から六本木ヒルズアリーナ他、国立新美術館、東京ミッドタウン プラザ1階の3箇所に出現する予定。

スー・チャーシン(蘇佳星)《Lost in Memories》

❷ 六本木駅の交差点が変容する

どこへ行ったらいいかわからない! という方は、地下鉄六本木の駅から階段を上がったら、まずは六本木交差点に行ってみよう。交差点付近には「街なかインスタレーション」と題し、さまざまな屋外作品が展示されているからだ。注目したいのは、台湾/アメリカで活動するスー・チャーシン(蘇佳星)だ。《Lost in Memories》と題されたカラフルなグラフィックパターンには、彼が六本木を訪れた時の記憶やイメージが盛り込まれている。その他、交差点のランドマークとなっている時計塔に仕掛けをしたのは、おもちゃや廃材、電動器具などを素材とした作品を作るmagmaによる《wonder bolt》や、生田目礼一による発光するガラスで未来生物を表現したインスタレーション《未来庭園》などが見られる。

金氏徹平《タワー》

❸ “歌う塔”で常に何かが起こる

六本木ヒルズアリーナにそびえ立つ大きな《タワー》。様々な形をしたいくつかの穴が開いており、そこから不定期に変なものや音が飛び出てくる。このおかしなタワーの前で、オープニングアクトを始め、夜通しめくるめくパフォーマンスが繰り広げられる。このなんとも不可思議な《タワー》を手がけたのは、今年のメインアーティストの一人、彫刻家の金氏徹平だ。金氏はフィギュアや雑貨、工業製品、雑誌の切り抜きといった、身の回りにあるものをブリコラージュし、再構築することで新たな形を造形する。そう書くと子どもの遊びの延長のように思えてしまうが、圧倒的な物量であったり、ダイナミックな造形に驚かされる。

様々なアクションを繰り広げる《タワー》の前でオープニングアクトを務めるのも金氏だ。ミュージシャンのオオルタイチが音楽を担当し、ダンサーの島地保武が振り付けたパフォーマンス、金氏と舞台映像デザイナーの山田晋平による映像が《タワー》を彩る。

photo : Yuki Moriya

他にも、ミュージシャンで詩人の柴田聡子によるライブ、まるで喧嘩のように肉体同士が激しくぶつかり合うパフォーマンスを披露するアーティストのcontact Gonzoとドラム奏者の和田晋侍、金氏徹平と山田晋平の映像を用いた《ザ・コンストラクションズ、2018年のルーフトップコンサート》(26日19:15〜20:00)、演劇界だけでなく文学界でも有名なチェルフィッチュの岡田利規が作・演出を手がけ、マームとジプシーやチェルフィッチュでのコケティッシュな演技に定評のある女優の青柳いづみ、オオルタイチらが出演し、同じく金氏徹平、山田晋平が映像を担当する《二種類のトリートメント》(27日1:20〜1:50)などのパフォーマンスが開催される。それらのパフォーマンスに対し、《タワー》はどんな反応をするのか、楽しみである。

鬼頭健吾《hanging colors》

❹ カラフルな布の滝が光を放つ

国立新美術館ガラスのカーテンウォールにカラフルな布の滝が現れる! 今年のメインアーティストの一人である鬼頭健吾が黒川紀章設計のガラスファサードに挑んだ。鬼頭は、輪ゴムやフラフープ、シャンプーボトルといったありふれた日用品を用い、その素材独特の色や光の反射、揺らぎなどを利用し、空間を埋め尽くすようなダイナミックなインスタレーション作品が有名な作家。今回は、光を透過する布を使って、高さ約30メートルにもおよぶガラスの壁が彩られる。昼間は布が外光を透かし、建物内にカラフルな影を落とし、夜は中の照明の光を外に放ち、色の洪水が街にあふれ出す。そんなファンタジックな光景が見られるだろう。また、国立新美術館の正面玄関前には《broken flowers》という映像作品を展開。設置された鏡に花の映像を反射、まるで夢のように夜空に花畑が咲き乱れる。昼と夜、ぜひ両方の時間で体験したいインスタレーションだ。

宇治野宗輝《ドラゴンヘッド・ハウス》

❺ “動く彫刻”に度肝を抜かれる

東京ミッドタウン キャノピー・スクエアに登場するのは、メインアーティストの一人である宇治野宗輝による《ドラゴンヘッド・ハウス》だ。宇治野は自動車をドラゴンの顎に見立てた。牙の部分は工事用のカラーコーン。それだけで巨大な彫刻だが、さらにこのドラゴンヘッドが光と音を放つ。これは、宇治野が以前から取り組んでいる《DRAGONHEAD》シリーズであり、六本木アートナイトのために新作を展示する。消費社会の象徴とも言える車や、街づくり(道路工事)のシンボルのようなカラーコーンが再構成された“動く彫刻”は、六本木の街に何を訴えかけるのだろうか。

❻ オノ・ヨーコの「夢」シールをゲットせよ!

オノ・ヨーコが2012年の六本木ヒルズでのパフォーマンスで書き上げた書の作品《夢》。これは、東日本大震災後に、復興を祈念して描いた真っすぐなメッセージだ。

「2011年3月11日に自然の力による大地震と大津波という形で悲劇が起こりました。それでも日本は、多くの人々の努力で完全な回復を行い、いつか必ず立ち直ると信じています。原爆の悲劇を乗り越えて、強い人生を歩むことを選んだように、日本は世界にまだない環境問題を解決した新しい国を建設する叡智と勇気を持っていると思います。苦難を乗り越えてきたその力が世界に希望の光を与えるでしょう。夢を持とう!」オノ・ヨーコ

六本木アートナイトでは、この《夢》のシールを六本木ヒルズほかで配布(詳細は決まり次第HPでご案内します)。オノ・ヨーコからのメッセージを胸に、六本木のあちこちで夢を見るような体験をして欲しい。

挙げていけばキリがないくらい、あちこちでイベントが目白押しだ。六本木アートナイトに決められた順路などない。会場で配布されるマップを手に、フェス感覚で、五感を働かせ面白そうな場所に行き、街を歩き回りながら、その場で遭遇する出来事を楽しめばいい。周辺の美術館も時間を延長しているし、途中バーやカフェでひと休みしてもいいだろう。六本木の一年で一番長い夜に、アートクルーズを楽しもう。

六本木アートナイト2018 開催期間 5月26日(土)10:00~5月27日(日)18:00(コアタイム 26日18:00〜27日6:00) 会場 六本木ヒルズ、森美術館、東京ミッドタウン、サントリー美術館、21_21 DESIGN SIGHT、国立新美術館、六本木商店街、その他六本木地区の協力施設や公共スペース 

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