TORANOMON YOKOCHO

マッキー牧元さんに聞く、東京の新名所!「虎ノ門横丁」の楽しみ尽くし方とは?

6月にオープンした虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー3階に、東京中の名店26店舗が集まり、これまでにない楽しみ方ができる食のランドマーク「虎ノ門横丁」が誕生! その試みから魅力、楽しみ尽くし方まで、監修者のマッキー牧元さんにお話をうかがいました。

text by Ai Sakamoto
portrait by Koutarou Washizaki

toranomonyokocho_g_002
1/4渋谷・松濤の紹介制レストラン「エレゾハウス」の格式高い味をカジュアルに、ビストロ感覚で楽しめる「ELEZO GATE」をはじめ、こだわりを持つ意思のある計26店舗が軒を連ねます。
toranomonyokocho_g_004
2/4フルーティーなクラフトビールが飲める「TORANOMON BREWERY」(写真)のほか、「虎ノ門蒸留所」や「HAND PICKING WINE」など、新しいスタイルの酒屋で新しいお酒の楽しみ方を!
toranomonyokocho_g_005
3/4ワインテイスター 大越基裕氏が監修する虎ノ門横丁のワインセラー「HAND PICKING WINE」で今宵の肴に合う1本を選び、ここでしか味わえないペアリングをお楽しみください。
toranomonyokocho_g_003
4/4「虎ノ門横丁」の店舗セレクトを担当したマッキー牧元氏監修の「虎ノ門横丁 POPUPレストラン」。異彩を放つ話題店が期間限定で続々と登場。お客様に新鮮なトピックを提供します!

※ 新型コロナウイルス感染症の予防および拡大防止のため、一部営業内容の変更を行っております。ご不便をお掛け致しますが、何卒ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 
 

日本有数のビジネス街である虎ノ門に、これまでにない“食の街”を作ろうというのが始まりです。人びとが交流する、活気あふれる場所ということで横丁になった。訪れた人が、まず驚くのは、サポーズデザインオフィスが手がけた空間デザインでしょうね。天井高5mの広いスペースに、意匠や屋根の高さの異なる26店舗がひしめき合う光景は圧巻。豪華な店のラインナップも街並みも、今までに見たことのない最新の横丁が、突如ビルの中に現れたと思っていい(笑)。路地(通路)の幅を商業施設としては最小寸法の1.6mとし、高低差のある各店の軒がそこに張り出すことで、賑わいと雰囲気を作り出しているのも魅力。集客力抜群の人気店揃いなのに、1店舗あたりの席数が平均20〜25席と小体なのも面白い。一般的な商業施設とは一線を画す新しい試みだからこそ、名だたる店が集まったと言えます。「虎ノ門横丁」を巡る上でのポイントは、「角打ち」「ワインセラー」「寄合席」「はしごカウンター」「対話」の5つ。続く「其の弐」以降で、このあたりはお話ししていきましょうか。
 
 

僕にとって、1日に何軒かの飲食店を渡り歩く「はしご」は、いたって日常的な出来事。例えば、ある街で5軒目に行くと、隣に座ったお客さんが「今日は何軒目ですか?」と聞いてきたりする(笑)。店主と客、また客同士が出会い、対話が生まれるのが面白いんですよ。「虎ノ門横丁」の魅力の一つは、そんなはしごが気軽にできるよう、全店が路地に面した立ち飲み用のカウンターを設置していること。空いてさえいれば、名店の一皿が予約なしで味わえます。カウンターで供されるのは、店内メニューの一部ですが、パパッと飲み食いして次の店へ移動するなら、それも好都合。手荷物を横丁内にあるロッカーに預けて身軽になり、粋なはしごを楽しんでください。孤食の時代と言われる今だからこそ、大切なのは共食。家族であれ、友人であれ、偶然席が隣りになった人であれ、人と共に食事をすることで、「美味しいね」と言い合いながら食べる喜びを分かち合い、そして互いの距離を縮める。食本来の楽しさを「虎ノ門横丁」で思い出してほしいですね。
 
 

はい、本当です。ジンの蒸留所のほか、クラフトビール専門店や横丁専用のワインセラー「HPW(Hand picking Wine)」を完備するなど「虎ノ門横丁」は、お酒が充実しているのが自慢。なぜって? それは、僕が酒好きだからに決まっています(笑)。これらのショップには立ち飲みスペースがあるので、横丁に着いたら、まずは角打ちで喉を潤しながら、どの店に行くかを考える。購入した酒を持ち寄れる「寄合席」も横丁内に数カ所あるので、そこで作戦を練ってもいいでしょう。角打ちや寄合席は、はしごの途中でも疲れたら自由に戻って来られるとあって、英気を養うのにもうってつけです(笑)。また、日本では珍しいBYO(Bring Your Own)ができるのも、ここならでは。HPWで買ったボトルワインは、各店に無料で持ち込めるんだから太っ腹。セラーには、ソムリエの大越基裕さんがセレクトした、各店の料理に合うワインを月替わりで用意しているので、オリジナルのペアリングも楽しめる。1軒1軒が独立した店舗でありながら、ひとつの集合体として機能している「虎ノ門横丁」だからこそできる試みだと思います。
 
 

焼鳥店としては初めてミシュランの星をとった「バードランド」や、昭和24年創業の焼きとん店「鳥茂」など、名だたる26軒が出店しています。支店などを出していないところが多く、そこに行かないと体験することのできない個性や特色を持っていること、また他にはない〝真実の味〞を提供している店を選びました。結局は、自分が行きたい店なんですけどね(笑)。ただ、せっかく出店するのであれば本店とまったく同じではつまらない。新業態の開発や限定メニューの提供など、各店とも工夫を凝らしています。各国のオイルと塩で味わう気鋭の寿司店「イル・フリージオ」なんて、山形県から職人ごと移転してきますから(笑)。面白いメニューと言えば、韓国居酒屋「KOREAN IZAKAYA ジャン」の看板商品チャルラ(茹でた牛モツと牛すじを塩やヤンニョムで味わう料理)や、僕がプロデュースする「築地銀だこ」の新業態「金だこ」のパリ風、ハノイ風といった世界のたこ焼きもオススメ。「バードランド」や「鳥茂」には、いつか知る人ぞ知る裏メニューを出してもらうよう、今から画策しています(笑)
 
 

「虎ノ門横丁」に入っている店舗と、それらの本店との大きな違いに予約システムがあります。横丁には専用サイトがあって、希望の日時と人数を入力すると、予約可能な店舗が一括して見られる仕組み。一軒ずつチェックしなくていいから、すごく楽ですよね。また、横丁内に設置されたQRコードを読み込み、LINEで横丁と友だちになるとモバイルオーダーも可能になる。具体的には、予約をとっていない店舗の行列に並ぶ代わりに順番が来たら教えてくれる行列待ち登録や、各店のテイクアウト料理の注文ができるように。テイクアウトしたメニューは、角打ちで購入したお酒とともに、寄合席で味わえるので、いろんな店のいいとこ取りをしたカスタマイズもできる(笑)。お昼に営業する店が多く、本店にはないランチメニューを味わえるのも魅力でしょうね。「虎ノ門横丁」の楽しみ方は人それぞれ。僕たちが提案するのとも、人とも違う、自分なりの方法を見つける面白さもある。そうして見つけた楽しみ方は、SNSなどでどんどん提案してほしいと思っています。僕も参考にしますから(笑)

※初出=プリント版 2020年3月1日号

マッキー牧元 タベアルキスト。1955年東京都出身。「味の手帖」編集顧問。立ち食いそばから各国料理、スイーツまで国内外で年間500食以上を外食。雑誌、テレビ、SNSなどで食の情報を発信するほか、飲食店のメニュー開発などにも携わる。近著に『東京最高のレストラン2020』(共著)。

虎ノ門横丁

虎ノ門横丁 営業時間 11:00~22:00 場所 虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー ※早朝、深夜営業など異なる店舗もございます。※虎ノ門ヒルズの各施設および各店舗では、新型コロナウイルスの感染拡大防止の予防対策を徹底し営業を再開しております。 また一部の店舗では営業時間を短縮、もしくは臨時休業を継続しております。ご来店の際には事前に各店舗にご確認ください。