忘年会や新年会で、カラダがずっしり重くなる年末年始。痩せたいと思いながらも、忙しい日々にダイエットはどこへやら。そんなオフィスワーカーのために、「TOTAL Workout(トータル・ワークアウト)」のパーソナル・トレーナー・池澤智さんが、絶対に痩せるメソッドを指南。来年こそ疲れ知らずの締まったカラダを手に入れよう!
TEXT BY MIHO MATSUDA
PHOTO BY TOMO ISHIWATARI
第一章 ダイエット前にやるべきこと
① 痩せたい理由を、ありったけ書き出す
「『なんとなく痩せたい』くらいの目標で始めると、続かないのは当たり前です」と言うのは、「トータル・ワークアウト」の代表取締役社長でありパーソナル・トレーナーの池澤智さん。
「痩せたい動機があってダイエットを始めたはずなのに、ダイエットの苦しさにばかり目が向いて、しんどい、やめたい、と挫折してしまう。ですから、ダイエットを始める前に、なぜ痩せたかったのかという理由と、痩せて手に入ることをありったけ書き出してください」
太りすぎて苦しい、疲れやすい、機敏に動けない、去年の服が入らない、着たい服がある、もっとバリバリ働きたい、モテたい……。年末に自分に向き合い、ダイエットを始める理由と目標を明確にしよう。
② 自分の体脂肪を把握する
「人間の重さは大まかにいうと、『脂肪』と骨や筋肉、血液などの『脂肪以外』で構成されています。ダイエットでは脂肪を落としたいわけだから、まず、自分にはどのくらい脂肪が付いているのか把握することが重要です」
大切なのは体重より、体脂肪を落とすこと。
「1kgの鉄と、1kgの綿を思い浮かべてください。同じ重さでも見た目が違う。同じ体重でも、筋肉の多い締まったカラダより、筋肉の少ないカラダは太って見えるのです」
標準の体脂肪率は男性が13〜17%、女性は20〜25%。まずは、自分の体脂肪を把握しよう。ただし、市販の体組成計(体脂肪計)は、水を飲んだだけでも体脂肪率の誤差が生じる可能性がある。
「毎朝、起きてトイレに行った直後に計測するなど、同じ時間・同じ条件で計測しましょう」
第二章 確実に痩せるメカニズム
① ダイエットは食事9割・運動1割
世間には星の数ほどダイエット方法が存在するが、忙しいオフィスワーカーが効率よく脂肪を落とすにはどうしたらいいのだろうか。
「脂肪を落とすには食事が9割です。ただし、脂肪を落として筋肉がつかなくては、逆に疲れやすくなったり体調を崩したりしていまう。健康を維持しつつ、効率よく脂肪を落とすために1割の運動が必要不可欠なんです」
② ランより筋トレで代謝アップ
運動にも、ランニングや筋トレと色々種類があるけれど、どれが効果的なのだろうか。
「脂肪を落とす運動と、筋肉を増やす運動は違います。脂肪を落とす運動はランニングですが、ランニングで脂肪を燃やすには、全速力の75〜85%の運動強度が必要です。だから、食事で脂肪を落としながら、筋肉をつけて代謝を上げ、食べたものをエネルギーに変えるほうが効率的に痩せられるのです。代謝は筋肉の量に比例します。運動をしなければ、27歳から筋肉は落ちると言われているので、オフィスワーカーには、筋肉量を増やす筋トレをおすすめします」
③ 糖質制限で脂質を燃やす
ここ数年、大流行しているのが糖質制限ダイエット。年末年始は年越し蕎麦やお雑煮など、糖質が美味しい時期だけど、やはり我慢すべき?
「食べ物の三大栄養素は、糖質・タンパク質・脂質。このうち、タンパク質は髪や爪、筋肉になり、エネルギーになるのは糖質と脂質です。日常的に使われるのは糖質で、こちらをメインタンクとすると、脂質はサブタンクに入り、非常時や、息が上がるほどの運動をしたときに使われます。そして摂りすぎた分はサブタンクに回されます。しかし、それがエネルギーとなって使われるわけではありません。反対にメインタンクの糖質が少なければ、サブタンクの脂質が燃え始めるわけです」
④ トレーニングとタンパク質は2つでひとつ
筋トレというとプロテイン(タンパク質)がセットでイメージされるが、ダイエットのためのトレーニングもタンパク質が必要なのだろうか。
「トレーニングをすると筋繊維が断裂します。それを修復するときに筋肥大が起こるのですが、ここでタンパク質が必要になります。トレーニングとタンパク質摂取は2つでひとつ。糖質を制限して脂質を燃やし、トレーニングで筋繊維を断裂させてタンパク質を足すから筋肉量が増えて、脂肪が減る。これがダイエットの道筋です」
⑤ 本気の「3週間」が未来を変える
ダイエットに挫折しがちなのは、ゴールが見えないとき。どのくらいの期間を目標にがんばればいいのだろう。
「運動生理学において、カラダが環境に順応する期間は3週間と言われています。きちんとした方法で頑張れば、3週間で効果が実感できるはずです。反対に同じことを3週間以上続けても、カラダは順応しているので効果は薄くなるので、トレーニング内容を変えて、同じ筋肉を異なる刺激で鍛えたり、トレーニングの強度を上げたりと工夫が必要です」
ここからは個人差が出てくるので、ジムのトレーナーに相談するのも手。自分にあったメニューで締まったカラダ作りを続けよう。
第三章 実践編! 基本のトレーニングと食事
① 鍛えるべきは、大きな筋肉
「大きなエネルギーを使うのは、カラダの中の大きな筋肉です。まずは、大腿四頭筋、広背筋、大胸筋。まずはこの3つを鍛えましょう」
そこで、すぐに実践できるトレーニングを3つ教えてもらった。重要なのはトレーニング中のフォーム。慣れるまでは鏡を見て、フォームを確認しよう。
大腿四頭筋を鍛える
広背筋を鍛える
大胸筋を鍛える
PERFORMANCE BY YOKO MAEKAWA(TOTAL Workout)
② 主食をやめて、「高タンパク質・低糖質・低脂質」
ダイエットに大きく影響する食事は、「高タンパク質・低糖質・低脂質」。まずは、主食と呼ばれる、ごはん、パン、麺類などをやめるだけでも効果が上がる。根菜やとうもろこしなどの糖質の多い野菜は避けて、鶏肉、牛ヒレ、魚などの高タンパク質・低脂質ものや、緑の葉物野菜を積極的に取り入れよう。会食の予定が入っていたら、その前後は食べる物に気をつけること。
「満腹もNG。会食のときは少しずつ食べて、満腹にならないようにしましょう。さらに理想を言えば、空腹も避けたいので、起きている時間は3時間ごとに少しずつ食事を摂ることが理想です」
プロテインを飲むことも1食にカウントできる。食事は腹八分目にとどめ、合間に高タンパク質のフードを少しずつ摂取しよう
③ 停滞期は効いてる証拠!
脂肪が順調に落ちてきたと思ったら、やってくるのは停滞期。これもダイエットに挫折しやすい時期だが、池澤さんによると、これはダイエットが効いている証拠なのだという。
「体重や体脂肪が落ちたら、ステイの時期がくる。これは当たり前のことです。例えば、ダイエットを続けて、3kgの脂肪が落ちたら一旦減少が止まりますが、これはカラダが順応している証拠です。この時期があるから、次のステップに移行することができるので、停滞期もトレーニングと食事制限を続けてください」
「健康的なダイエットに成功すると、人生の密度が濃くなります」と池澤さん。ダイエット成功が自信につながるし、疲れにくいカラダを手に入れたら仕事にも前向きに取り組めるようになり、それは同僚や部下にも影響する。オフィスワーカーのダイエットは脂肪を落とすことと、筋肉を増やすこと。2020年こそ成功させて、充実した毎日を過ごそう!
池澤智|TOMO IKEZAWA
トータル・ワークアウト プレミアムマネジメント株式会社代表取締役社長。パーソナル・トレーナー。日本におけるパーソナル・トレーナーの先駆けとなったケビン山崎に師事し、人気俳優・女優、モデルから指名が絶えない日本を代表するパーソナル・トレーナーとして活躍。アメリカで学んだトレーニング理論をもとに、独自に数々のトレーニングメソッドを考案。さらに自身が考案した美しいカラダをつくるために、高タンパク質、栄養の質にこだわった「TOTAL FOODS」も展開。
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