フランス革命は何年かご存知ですか? 知らなくても大丈夫。今日から忘れられなくなります。HFのInstagramの謎の部分を掘り下げ取材する連載の第31回! 2019年7月前半にポストされた画像からお届けします。
INSTAGRAM & TALK BY HIROSHI FUJIWARA
TEXT BY HF WATCHING COMMITTEE (HWC)
7月1日——しばらく寝かせてたld1000を開封。何年ものかな……
「『ジュンヤワタナベ』と『ナイキ』で13〜14年前くらいに出したやつ。一度も履かずに持っていたんです」(hf) なんか、今、いいですよね。「当時はあんまりピンと来なかったのかな。いま履いてみたら、割とピッタリいい感じだった。僕は、けっこう未来の買い物をするタイプ。いまは着なくても、いつか着るようになるだろうっていうものを買う」(hf) 出ました。ヒロシ名語録。問題はそれを保管しておく場所と記憶力だ。
「これも同じ時期のものです。ld1000っていうカタチです」(hf) このパープルはなかなかハードル高い。「えーこれいいじゃん。僕最近よく履いてますよ」(hf) そりゃ、ヒロシさんですから。
7月3日——ヒースローの空
「ロンドンですね。空の色もロンドンっぽい」(hf) でも羽田って言われれば羽田にも見えます。ミラノへのトランジットだったわけですね。
7月4日——鰯と烏賊
「で、ミラノに行き、イワシとイカを食べました」(hf) イカ…なんですね。「頭部なんじゃないですか?」(hf) ブルガリリストランテによる物体認識の再構築。
7月4日——street boutique
「街角。ストリートで洋服を売っていたりとか」(hf) 売っているんですか、これ。「売ってる。車で来てバーンって売ってバーンって帰るんじゃないですか」(hf) そこにビジネスチャンスを見たわけですね。半年後にやりますよ、ヒロシさんは。ストリートブティックを。未来の仕事を路上で発見するタイプだから。
7月5日——万国共通最高デザート
プリン。「『トレ・ディ・ピッツァ トラットリア・トスカーナ』のプリンです。プリンについて一つ文句言っていいですか」(hf) はい。どうぞ。「僕らが子どもの頃にプッチンプリンが現れたじゃないですか。人によってはプッチンってして食べる人もいれば、そのまま食べる人もいるけど。それで思うんですけど、そもそも普通に売っているプリンは、カラメルを上にするべきじゃない? そのままスプーンで食べるとき、最初の一口めは大抵カラメルなしで食べるじゃないですか。だったら最初から上にあった方がいいと思うんですよね」(hf) 作る工程で難しいんですよ、きっと。カラメルの方が比重が重いから。「はい。解決。でもコーヒーゼリーみたいに食べる時にミルクをかける、みたいにすればいいと思う。そうすれば自由に好きなだけかけられる」(hf) なるほど。崎陽軒のお醤油みたいなカラメル方式もあったりしますけど、そもそも容器に入れたまま食べることが多くなったというところにこのプリン問題の鍵があるような気がしますね。どっちが上なんだ、という。
7月5日——恒例行事
「一年で一番よく行くレストランは多分、ミラノの『ラ・ラッテリア』です。ミラノへ行ったら絶対2回は行く」(hf) それでレモンパスタも絶対食べている。「まあそんだけおいしいっていう」(hf) レモンパスタ、レシピがいろいろあるみたいなんですけど、こちらのはアンチョビとか入ってるんですか?「何にも入れないです。一回作ってるところを見ていたんですけど、ガーリックもほとんど入ってないと思います。塩濃いめに茹でた麺に、ハラペーニョを混ぜたオリーブオイルと絡め、調理後にレモン2個分くらいを上からかけるんです。仕上げにイタリアンパセリを散らします」(hf) 「本当に美味しいんで、みんなを連れて行きたいです」(hf) 連れて行かれたいです。「というわけで、『ラ・ラッテリア』は僕のmost visit restaurantです」(hf)「2枚目はトマトソースですね。スパゲッティ・アル・ポモドーロ」。これまたおいしそうです。「トマトがポモドーロ、マッシュルームがフンギ。レモンはリモーネ。これだけ覚えていれば、美味しいパスタをオーダーできます」(hf)
「本当にこういうメニューがあるのか、間違えて凍らせたのかわからないんだけど、『ラ・ラッテリア』のマリアさんに『美味しいデザート』ってお願いしたら、これ持ってきてくれたんです。マスカルポーネのタルトを間違えて冷凍庫に入れたらこうなったって。アイスクリームマスカルポーネ」(hf) どんどん間違えて欲しいですね。
7月6日——ベーコンさん!
「ロンドンを歩いていたらがGagosian(ガゴシアン)ギャラリーがあって、ぶらっと入ってみたらベーコンさんの作品がいっぱいありました」(hf) ガゴシアンって、ニューヨークだと思ってましたが、世界中にあるんですね。フランシス・ベーコンをさらっと販売中。
7月6日——さよなら “A”
「ゴミ箱に捨ててあった」(hf) Aさん、キラキラしてるのがまた涙を誘いますね。ゴミがいかにもゴミっぽくてアート作品かと思いました。っていうアート感もなんですが。
7月6日——わかりやすいパイナップルジュース
「普通はココナッツとかじゃないですか」(hf) でもパイナップルって内部液状化してないのに、これ成立するんですか?「液状化させてました。中をくり抜いてジュースを入れたものです」(hf) 容器としてのパイナップル。プラスチックゴミ問題に前向きでいいことです。「『プライド・イン・ロンドン・パレード』の日だったんですよ。パレードのために道路封鎖されていて、予約していたレストランに行けなかったんです。係員がタイミングをみて5人だけたまに通すみたいな。しばらく待っていたんだけど全然通れなくて。方法としては柵を乗り越えて、ゲイのふりをして男同士でキスしながら踊りながらちょっと歩いて向こうに渡るくらいしかなかったんです」(hf) それをしたくなかったから、高級レストランを諦めてのパイナップルジュースなんですね。ふふふ。
7月7日——初めてのロンドン、初めてのDr.Martens はこの店だった
「キャムデン・タウン(カムデン・タウン)駅の隣にある『ドクターマーチン』メインのお店。僕は1982年に初めてロンドンに行った時、初めての『ドクターマーチン』はここで買いました。だからすごい昔からあるお店。まだある」(hf) HFヒストリカルプレイスツアーには欠かせないスポットです。
7月7日——イギリス ヴァイブ
なんか、いかにもイギリスな。「イギリスの朝食ってこんな感じですよね」(hf) コンノート(一流中の一流ホテル)のジャン・ジョルジュ(そこのメインダイニング)で? 「別々にあったものを僕がいつものようにカスタムしました。豆は豆、トマトはトマトって別々に出てきたものを、ひとつのお皿に混ぜてブルーカラー風にアレンジ」(hf) 「インスタ映え用にちょっとやってみました」(hf) 映えを超えたエモいってやつですか。さすがのHFアルゴリズム。
7月7日——在宅ランチ贅沢ランチ
「友達の家に遊びに行きました。ロンドンから1時間半くらいのところにあって、庭がセント・ジェームズ・パークの2倍くらいある」(hf) ひええ。ピンと来ないですねえ。「『使用人、何人いるの?』って聞いたら『知らない、メニー』って言ってました」(hf) お城?「メインのお城と、同じ敷地内にもうひとつお城があってそこに住んでいます。まあとにかくお金持ちのお友達の裕福なバーベキューランチってことです」(hf) バックストーリーが物凄かったという1カット。芝もただ者じゃない感ありますね。ふさふさ。
7月8日——久しぶり
それで馬!「何頭もいるんです」(hf) 見つめ合う二人。ヒロシおぼっちゃま。
7月9日——lovely evening
これはまたムードが一変しましたね。「パンクディナーです。左から2番目の人は僕が初めてロンドンに行った時からお世話になっている友達のマイケル・コスティフ。『ドーバー ストリート マーケット』で『ワールドアーカイブ』とかやってる人です。右のシックスはプラハに住んでいる友達(4/5参照)。左の女の人はジョーダンっていうパンクのクイーンです(6/1参照)。終電に間に合わなくなるから』って22時30分に帰りましたよ」(hf) あー本出された方ですね。パンククイーンなのに終電で帰っちゃうんですね。「伝説的な人なんですけど、むっちゃいい人」(hf) これ、馬と同じ1日の出来事なんですね。すごいお金持ちとすごいパンクの人。交友関係の振り幅が、くらくらするくらい広いですよね。
7月9日——ネオ モンドリアン
「なんかカラフルじゃないですか?イギリスです。ザ・コンノートホテルです」(hf) 執事(バトラー)がいるホテル。「え、そうなんですか?」(hf) それぞれのフロアにおじいさんいませんでした?「何を言ってるのか分からないけどいいホテルですよ」(hf)
7月11日——ジョアンさんに寄り添う。真夜中に弾くギター2本
「で日本に帰ってきたのかな」(hf) これは以前オークションで2本買ったギターですね(3/6参照)。「修理から戻ってきたんです」(hf) 亡くなっちゃいましたね。「そうなんです。ジョアンさんへの追悼で撮りました」(hf) R.I.P.
7月13日——great show!
「(ギャラリーが複数入る六本木の)ピラミデの中にある(現代美術ギャラリー)『TARO NASU』です」(hf) 馬喰町から引っ越してきたんですよね。「はい。ダブルフジワラです。サイモン・フジワラがマリーアントワネットの展覧会を(8/10まで)やっていました。写真はギロチンと、マリーアントワネットの首なんです。これは当時、土産物として人気だったギロチンのイヤリングをレプリカで作って、それを大きくしたもの」(hf) ん? 「人の首がはねられたギロチンをお土産として喜んで買って行く心理がすごいってサイモン君は言ってました。本物はもうないんじゃないですか? ヒナワくすぶるだから1789年でしょ」(hf) え? 火縄? くすぶる? 「そうやって覚えなかったですか? 火縄燻るバスティーユ。フランス革命の年号の覚え方です」(hf) そんな覚え方したことないです。いいな役職フランス革命っていうのは聞いたことありますけど。
7月13日——メイソンのクマ
「フリーメイソングッズです。どれがマークか分からないけど、フリーメイソンの土産物屋で買ってきました」(hf) どこにあるんですか。それ。「グランドロッジはロンドンにあります。いろいろお土産ものがありました。僕以前、フリーメイソン×フラグメンツ×ベアブリックやりましたよ」(hf) ほんとだ。2017年に発売されていますね。背中にロゴ入り! 再発希望。
7月13日——ベルサイユのプラモデル、出てないかな?探そ
「これもサイモン・フジワラの展覧会です。ベルサイユの模型みたいのがありました。日本には銀閣寺とかのプラモデルとかあるじゃないですか。ああいうのでベルサイユとかノートルダム寺院のプラモデルとかあれば面白いのになあって」(hf) フジミ模型さんお願い!
「マリー・アントワネットです。マダム・タッソーにあった、昔からあるものを型取りして作ったそうです」(hf) ベルばら愛読家としては感慨深いものばかりです。
7月14日——@theconveni
「ヒナワくすぶるの7月14日Tシャツです。フランス革命記念日ですね。インフォメーションは特にしてないんですけど。『ザ・コンビニ』(の色って)今までCMYKだったのをフランス革命の日のものはトリコロールにしましょうって。だからしばらくトリコロールです。コンビニのラインをトリコロールに変えると床屋みたいだな〜って」(hf) ほんとだ。
「これは五月危機(五月革命)の時に、石畳の石を掘り起こして投げていたっていう有名な絵みたいで」(hf) そうだったんですね。
「これはケーキを食べればいいじゃないTシャツです。7/14に発売されました」(hf) パンがなければ、ですね。
7月14日——明日から始まるTABFで一年半ぶりの疾駆発売。とりあえず100部だけですが
アートブックフェアで発売されたんですね。「8月には一般発売されるそうですよ」(hf) 「疾駆/chic」は生活文化誌。「現代の生活に含まれる様々なものの関係性を紐解き、物事が持つ無数の魅力を明らかにしていきながら、豊かさの意味を検証し、拡大していきます」とホームページにあります。その第11号です。
7月14日——非常に珍しいツーショット
「立花ハジメ個展に行ってきました。代沢のPrefabに行ったら偶然小山田君がいて、初めて二人で写真を撮りました」(hf) 知り合い全員と写真撮ってるわけじゃないですもんね。今度から習慣にしましょう。個展は8/4で終了しました。
7月15日——found this in my closet
はと。「『ステイプル』ってところで作った昔のダンクが押入れから出てきました」(hf) 刺繍礼賛!!
7月15日——数年前にIDで作っておいた、この紺色靴をそろそろおろす時期
「これは2年前くらいに作ったものです」(hf) そろそろ!「そろそろ履こうと」(hf) 熟成されてますね。これは2年もの。「今も作れるかどうかわからない」(hf) IDで自分で作ったものだそうです。
藤原ヒロシ|Hiroshi Fujiwara
1964年三重県生まれ。DJ、音楽プロデューサー、ファッションクリエイター。英米で触れたクラブ文化を80年代の日本に持ち込むなど、音楽とファッションの両軸で日本のストリートカルチャーを牽引。現在、デジタルメディア「Ring of Colour」を運営する。京都精華大学ポピュラーカルチャー学部客員教授。
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