湿気も多く、汗もかきやすい夏。香りを纏っている自分自身だけでなく、周囲の人も心地よく感じる香水のつけ方のヒントを、香水のエキスパートの藤井裕子さんが懇切丁寧に解説します!
PHOTO by JOHN CHAN
TEXT by NAHO SASAKI
「夏におすすめの香調」や「香水をつける場所」など、知っているようで知らない香水使いのマナーとタブー。長年にわたり香水&美容業界でPRを手がけてきた香りのエキスパート、「レ・ムエット」代表の藤井裕子さんに、サマーフレグランスを楽しむコツを伺いました。
——夏に香水をつけるときに注意したい点、失敗しやすいポイントは?
藤井 汗の臭いをマスキングするために、香水をいつも以上にたくさんつける人がいますが、周囲の人に不快感を与えかねないので注意が必要です。臭いの原因は、汗が皮膚の垢や皮脂などの雑菌と混じり合うこと。夏場はなるべく朝シャワーで汗を洗い流してから、清潔な肌に香りをつけることが基本です。汗をかいたらこまめにふき、きれいな肌につけ直すのがベストです。皮脂や角質を溜めこまないよう、週1~2回ボディソルトなどでの角質ケアもおすすめです。
——夏には夏らしいフレグランスに着替えるのが、香りとのおしゃれな付き合い方。今の季節にマッチする香りを選ぶコツを教えてください。
藤井 トップノートといわれる香りの第一印象が、シトラス、マリン、アロマティック、グリーンなど清々しく透明感がある系統の香りを選ぶとよいかと思います。気を付けたいのが、ラストノートといわれる、香りをつけてから1時間以上経ったときに感じる残香。トップノートが爽やかでも、ラストノートが意外にもバニラやオリエンタルなど深みのある香りということもあるので注意して。ラストノートも軽やかで透明感があるものを選ぶといいでしょう。
また、香料の濃度が低いオーデコロンやオードトワレが夏はおすすめ。オードパルファムやパフュームは香料の濃度が高いので、香りの持続性というメリットはありますが、汗と混じり合った香水の匂いが長く続くため、不快に感じることもあるかもしれません」(藤井さん)
——香水に含まれるアルコールがシミの原因になる…と聞いたことがある人も多いのでは。手首、首筋、耳裏、デコルテ…諸説あるけれどどこにつけるのが正解?
藤井 直射日光があたる場所や汗をかきやすい場所、蒸れやすいところにつけないこと。肌荒れやシミの原因となります。内ももや腹部などにつけるのがいいでしょう。鼻とバストトップを結ぶ“三角ゾーン”も、香りに酔いやすくなるので、夏場は避けるのが無難です。
使用量も、夏場はいつもより少し控えめに。ワンプッシュ程度を1カ所にまとい、多くても2カ所ほどで十分です。朝、家を出る直前ではなく30分~1時間前に。汗をかく前に肌に香りをなじませて(こすると香気成分がつぶれるのでNG)、『自分の香り』にしてから外出しましょう。
——ビジネスシーンやヴァカンスなど、TPOに応じた香りのスマートな付き合い方があれば教えてください。
藤井 通勤や移動中はあえて香りをつけず、オフィスや建物に入って体をクールダウンさせてからつけるのもいいでしょう。点でつけるよりも、下半身に面でつけることを意識すると、芳香成分がきれいに立ち上がります。
ヴァカンス先でのアペロやディナー時には、センティッドボディローションなどを下半身につけて、柔らかく香りを漂わせるのも素敵な演出に。ヘアフレグランスを髪の毛の内側につけて、軽く香らせるのもおすすめです。
季節やTPOとのマッチングを考えた香水選びで、ファッションの一部のようにフレグランス遊びを楽しめればシメたもの!
藤井裕子|Hiroko Fujii
「レ・ムエット」代表、フレグランスエキスパート。フレグランス及び化粧品に特化したPRとして活動するとももに、フレグランスビジネスにおけるコンサルティング業務も担う。香水業界歴20年。
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