もうすぐ夏休み。海外へ旅に出る人もいるけれど、海外から友人を迎える人もいるはず。そして頭を悩ませるのは、東京のどこへ案内すればいいのかということ。そこで「TOKYO」の最新トレンドや訪日外国人の動向を、旅のスペシャリスト「エクスペディア」の焔理絵さんに聞いた。また今、ホットなデスティネーションを「グランド ハイアット 東京」「アンダーズ 東京」のコンシェルジュがピックアップ!
TEXT BY NAO KADOKAMI, MIHO MATSUDA
TOP IMAGE BY MORI BUILDING DIGITAL ART MUSEUM: EPSON teamLab BORDERLESS
「グランド ハイアット 東京」「アンダーズ 東京」のコンシェルジュが選ぶ、東京のおすすめベニュー
日本観光のキーワードは、やっぱり「SNS映え」
街を歩けば、海外からの観光客の姿が自然と目に入る。そう言えるほど、数多くのトラベラーが毎年世界中からやってきて、日本の旅を満喫している。2018年の訪日外国人観光客は約3,119万人、そのうち東京を訪れたのは1,424万人に上る。
2017年に東京都が行った「国別外国人旅行者行動特性調査」によれば、東京観光のエクスペリエンスの人気トップ3は「日本食を楽しむ」「日用雑貨等のショッピング」「高層ビル等の探索」。2013年に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたこと、2015年に“爆買い”というワードが話題となったこともあり、グルメやショッピングへの関心がうかがえる。
しかし、時の移り変わりとともに、旅のスタイルは変わりつつある。「エクスペディア」社首都圏第二事業本部の本部長である焔理絵さんは、次のように分析する。
「最近のトレンドは、SNSで見つけたスポットを目的地にして、都市を渡り歩く滞在型の旅行です。特にアクティブな観光を好む欧米の方には人気ですね。またデジタルネイティブである若年層の訪日観光客も多く見られます。写真映えするなら秘境でも足を運ぶという、機動力のある世代です。写真映えする人気スポットは、茨城県の国営ひたち海浜公園や宮城蔵王キツネ村、青島など国内に点在する“猫島”などです」。
また近隣諸国や東南アジアからの観光客も、日本観光の行動範囲は広がりを見せている。欧米など遠方の訪日観光客よりも日本に関する情報を得やすいため、“春=花見”など季節を感じられる旅のプランを組む傾向も多々見られるそう。
「LCCの増便もあり、数年前には大阪を拠点にする観光客が増えたことが話題になりました。しかし近年、成田・羽田ともに航路が増加したこともあり、旅の拠点として東京を選ぶ人が再び増えています」。
東京に求めるのは「ローカルな体験とカオスな風景」
東京を旅する訪日観光客が「行きたい」のは、一体どこのエリアなのだろうか。焔さんによれば、ホテル選びにおいても、まずは行きたい都市を決めてから、予算や立地、設備を見て決めるのが主流。
「『エクスペディア』で長年変わらずトップなのは新宿です。バスタ新宿ができたことで空港からのアクセスがより便利になりましたし、ホテルもたくさんある。交通のハブである渋谷も人気ですね。そして新規のホテルが増えていて、最近予約が増えているのは、浅草や上野界隈です」。
新宿、渋谷、浅草・上野は、その街の中でも見どころ巡りやグルメ、買い物などを幅広く楽しめるエリア。またそれぞれの人気スポットにおいて、共通するのは“ローカル感とカオス”だそう。
「新宿のゴールデン街、渋谷のスクランブル交差点、上野のアメ横などは、滞在先問わず、訪日観光客に人気が高いスポット。また浅草の浅草寺や仲見世通りも引き続きホットです。いずれもローカル感が満載ですし、コンパクトなエリアに店や人がひしめく光景は、アジア特有のカオスが漂うと訪日観光客は感じるようです」。
世界中から訪日客がやってくる2020年に向けて、観光資源の開発・発信を進める東京都が力を入れているのは「ナイトライフ観光」。夜間のライトアップやプロジェクションマッピング、都立施設の夜間延長などの取り組みを通して、ナイトライフをさらに盛り上げようという試みだ。
ローカルな体験を満喫したい訪日観光客が、日本人も足しげく通うゴールデン街や上野のせんべろ系居酒屋に多く見られることからも、今後ますます東京の夜が充実することは請け合い。
「ホテルのバーホッピングもおすすめです。他の国と比べて、日本には国際的な大会での受賞歴を誇るバーテンダーが所属するバーがあるホテルが実に多いです。グランドハイアット東京や帝国ホテル、東京ステーションホテルなどでも堪能できるオリジナルカクテルをゆったりと味わってみては?」
ゲストを笑顔にする、ヒルズエリアの過ごし方
六本木、表参道、虎ノ門。都内の各ヒルズが構えるエリアにゲストを招待するなら、どんなプランがおすすめなのだろうか。
「港区はとにかく美術館が充実しているので、アートを楽しんではいかがでしょう。六本木には最も有名な森美術館をはじめ、企画展・常設展ともに充実する国立新美術館にも歩いてアクセスできますし、南青山まで足を延ばして、日本美術や庭園が美しい根津美術館に行くのもいいですね。また虎ノ門ヒルズへ行くなら、個人的にもおすすめなのが智美術館。現代陶芸のコレクターである菊池智のコレクションは見応えがあります」。
表参道界隈に遊びに行くならショッピングが一番と焔さんは話す。ハイブランドのショップが軒を連ねるヒルズだけでなく、最近訪日観光客の間で注目が高まっているのは、旧渋谷川遊歩道にあたる約1kmの一本道、裏原宿。
「日本人が多く、竹下通りより奥まったところにある裏原宿は、個性的かつローカル感のあるお店が集まっていることもあり、昨今勢いがあるエリア。特にSNSで情報収集をして旅のプランを組み立てる訪日観光客の間では、すっかり知られています」。
日本の四季を感じられるスポットとして、変わらず評判が高いのは明治神宮。街並みからもトレンドや洗練を感じる表参道界隈から徒歩圏内に、森のような風情の明治神宮があることは、訪日外国人にとってはやはり新鮮なのだという。ぜひショッピングの前後にゲストを連れて行ってみよう。
「アンダーズ 東京」もある虎ノ門は、特にアメリカからの観光客に人気。近隣には大使館も多くある上に、町の再開発により、近年開放感のあるオープンカフェも増えてきているので、のんびりとコーヒーを飲むのも気持ちいい。また日本カルチャーである“居酒屋”が集まる新橋にも歩いていける立地なのが、訪日観光客にとっては魅力的に映るという。
ローカル感、カオス、SNS映え。今年はこれらのテーマを念頭に組み合わせるのが、充実した東京観光にはマストとなる。遊びに来てくれた外国人ゲストだけでなく、私たちもこの街の新しい魅力に出会えるに違いない。
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