RECIPES TO ADD A LITTLE MAGIC

麻布台ヒルズ マーケットの食材をクリスマス仕様に!料理家、長尾智子さんの優しいひと手間

おいしいもの好きの友人や家族とのクリスマス、今年はどんな料理を作ろうか? 「まずは鴨肉の燻製ソーセージや老舗鶏肉仲卸店の手羽先など、とびきりおいしい食材を〈麻布台ヒルズ マーケット〉で購入。そこに普段の食材と調味料で作れるポテト料理や野菜料理を添えて、ちょっと贅沢で気の利いた“クリスマスのごちそう”に仕上げましょう」。そう提案するのは、素材の味わいや食感を生かした優しい料理で知られる長尾智子さん。日本屈指の一流専門店が並ぶ〈麻布台ヒルズ マーケット〉でメインの食材を選びつつ、それらを引き立てるサイドメニューレシピを考案していただいた。凝ったことはしなくても、おいしく滋味深く仕上がること間違いなし。テーブルを囲む仲間がみな、幸せで温かな気持ちになるはずです。

PHOTO BY NORIO KIDERA
TEXT BY MASAE WAKO
EDIT BY KAZUMI YAMAMOTO

❶ ソーシスフュメとチーズマッシュポテト

芦屋の名店の燻製ソーセージにふわふわポテト。チーズの香り広がる素朴なひと皿。

● ソーシスフュメ(4人分)
〈クスダ シャルキュトリ メートル アルティザン〉の燻製ソーセージ4本(1本¥972)

● チーズマッシュポテト(4人分)
じゃがいも(キタアカリ)6個、〈フィオールディマーゾ〉のゴルゴンゾーラ・ドルチェ約100g(¥1,080/100g)、オリーブオイル大さじ2、牛乳約100ml、黒こしょう少々、塩少々。ゴルゴンゾーラ・ドルチェはイタリア・ヴェネト州のチーズメーカーが手がける専門店〈フィオールディマーゾ〉製。クセが少なく驚くほどクリーミー。


 じゃがいもは皮をむいてさっと水にさらして鍋に入れる。かぶるくらいの水を注ぎ、中火にかけて茹でる。火が通って柔らかくなったら、茹で汁を少し残して捨て、塩とオリーブオイルを加えて混ぜる。

 木べらでじゃがいもを潰しながら、中火で水気を飛ばすように混ぜ、じゃがいもがまとまってきたら牛乳を加える。さらに練って味を見て、少し薄めの塩味にととのえて火を止める。

 別の鍋に湯を沸かし、煮立ったらソーシスフュメを入れて火を止め、蓋をする。5分ほど経ったら、2のじゃがいもを弱火にかけ、ゴルゴンゾーラ・ドルチェを60gほど加えてよく混ぜる。

 皿にソーシスフュメを盛り、大きめのスプーンでマッシュポテトを添えて、残しておいたゴルゴンゾーラ・ドルチェを少しずつ乗せる。黒こしょうをたっぷり挽いて仕上げる。

脂の旨味と燻製の香りがギュッと詰まったソーシスフュメ。沸かしたお湯に入れたら火を止め、蓋をして加熱するとおいしく仕上がる。

肉汁たっぷりのソーシスフュメと、ゴルゴンゾーラの味わいが広がるチーズマッシュポテト。マッシュポテトには、とろとろの“追いチーズ”とたっぷりの黒こしょうを。

じゃがいも、チーズ、ソーセージは定番のおいしい組み合わせ。茹でただけで十分味わい深いソーセージに、軽く仕上げたマッシュポテトとゴルゴンゾーラを添えました。一見素っ気ないシンプルなひと皿が、上等なごちそうに変わります」と長尾さん。

メインの燻製ソーセージ、ソーシスフュメは、〈麻布台ヒルズ マーケット〉にある芦屋の名店〈クスダ シャルキュトリ メートル アルティザン〉で購入。店主の楠田裕彦は日本を代表するシャルキュティエ(食肉加工職人)だ。その作り立てが買えるのは、芦屋以外では麻布台ヒルズ店のみ。

じゃがいもは茹でると軽やかな食感になるキタアカリをチョイス。少し多めの水加減で茹でて、ふわっとさせるのが長尾さん流だ。「マッシュポテトはたっぷり多めに作っておき、ソーセージが温まるタイミングに合わせて仕上げるのがコツ。飾らずポテッと盛り付けて、素朴な雰囲気も楽しみたいですね

ひとくち噛めば脂の旨みと燻製の香りが溢れ出すソーセージもさることながら、マッシュポテトのおいしさと言ったら!「控えめにチーズを混ぜ込んだマッシュポテトに、とろとろクリーミーなゴルゴンゾーラをすくって“追いチーズ”する」という長尾さんのアイデアに感激。ほくほくの食感と、ちょっとクセのあるチーズの風味が口の中で混ざり合い、思わず頬がゆるんでしまうのだ。

❷ とり手羽先の赤ワインソテー
  りんごのソテー ローズマリー風味と紫玉ねぎの酢漬け

〈築地 鳥藤〉のジューシーな手羽先と甘酸っぱいソテー。この組み合わせに悶絶!

● とり手羽先の赤ワインソテー(4人分)
〈築地 鳥藤〉の「とり唐揚げ(手羽先)」8本(¥292/100g)、赤ワイン大さじ4、オリーブオイル大さじ1、塩少々。


 フライパンにオリーブオイルを温め、とり唐揚げの皮側を下にして並べ入れる。中火にし、蓋をして3分ほど蒸し焼きする。上下を返して1分焼いたら一旦火を止め、再び皮側が下になるよう並べ替える。

 赤ワインをまわしかけて蓋をし、中火で焼く。赤ワインを絡めるようにフライパンを軽くゆすり、全体にまんべんなく焼き色がついたらできあがり。仕上げにごく軽く塩を振り、火を止める。


● りんごのソテー ローズマリー風味(4人分)
りんご(紅玉)1個、ローズマリー2本、無塩バター 大さじ約1.5、塩少々。


りんごは4等分し、芯を取って皮を1/3ほど残してむく。放射状に3等分する。フライパンにバターの約半量を温め、りんごを並べ入れる。あまり動かさずに、下の面に焼き色がついて火が通って来たら上下を返し、ローズマリーを乗せる。バターを足して焼き上げたら、塩を振って仕上げる。


● 紫玉ねぎの酢漬け(4人分)
紫玉ねぎ大1個、イタリアンパセリ2、3本、赤ワインビネガー大さじ3、レモン果汁1/2個分、蜂蜜大さじ1、塩少々。


 玉ねぎは2等分して芯と皮を取り除く。切り口を下にしてまな板に乗せ、端から薄切り。切り終わったらボウルに入れ、赤ワインビネガー、レモンの果汁、蜂蜜、塩を加えて軽く混ぜておく。イタリアンパセリは粗みじんに刻む。

 玉ねぎを10分ほど置いて混ぜ、水気が出ていたら揉み込むように手で混ぜておく。食べる直前にイタリアンパセリを加え、全体を混ぜて水気を軽く絞って盛りつける。

「手羽先はその日に飲むワインを使ってソテーするのがおすすめ。無駄がなく、風味が同じだと自然と相性もよくなります」と長尾さん。

りんごのソテーは、一度にたくさん焼くより半分くらいに分けて焼いた方が、うまく水分が飛ぶ。

小ぶりの手羽先は、肉が骨からほろりとはがれて食べやすい。コクも旨味もあるソテーと、さっぱりした酢漬けのバランスが抜群。

とり手羽先は醤油やにんにくであらかじめ下味がつけられているもの。そのまま焼いてもいいのですが、醤油と相性のいい赤ワインの風味をつけて洋風の味に寄せてみました。和洋の境界がない料理だと、お酒の幅も広がりますね」と長尾さん。メインに選んだのは、創業明治40年・鶏肉専門の仲卸名店〈築地 鳥藤〉のとり手羽先だ。全国の地鶏や銘柄鶏を産地から直接仕入れるこの店は、プロの料理人たちからも篤く信頼されている。

脂を使ってこんがり焼いた鶏肉に添えるのは、りんごの甘味と酸味を生かしたバターソテー。おいしそうな焦げ目がつくよう、両面をじっくりしっかり焼くのがコツ(何度もひっくり返すのは逆効果)。焼いてすぐ食べても、冷ましてもおいしい1品だ。

もうひとつ合わせて食べたいのは、日常的な常備菜としても役に立つ酢漬けです。さっぱりしているので、肉料理や魚のグリルにたっぷり添えて、オリーブオイルをまわしかけてもおいしい。チリペッパーを少し入れたり、マスタードを加えたりしてアレンジするのもいいですね

コクがあってジューシーな鶏肉と、甘酸っぱいソテーにしゃきしゃき酢漬け。味や食感にメリハリがあって食べ飽きないし、どことなくクリスマスカラーを思わせる色合いも楽しい。

❸ カナールフュメのセージ風味
  カリフラワーとメイクイン、ポアトリーヌフュメのクリーム焼き

鴨胸肉のスモークと野菜のクリーム焼きで、とびきり豊かな燻薫を味わう。

● カナールフュメのセージ風味(4人分)
〈クスダ シャルキュトリ メートル アルティザン〉のカナールフュメ(鴨胸肉の燻製)約100g(¥2,312~/100g)、セージ2、3本、クリームチーズ、パン(カンパーニュなど)薄いスライス適宜、マスタード適量

オーブンペーパーにカナールフュメをのせ、セージの枝を上に乗せて包む。両端をねじっておく。カリフラワーとメイクインを焼いているオーブンに、途中で15分ほど入れて温める。一旦セージを取り除き、カナールフュメを薄めにスライス。軽くトーストしてクリームチーズを塗ったパンにのせる。セージを添える。


● カリフラワーとメイクイン、ポアトリーヌフュメのクリーム焼き(4人分)
〈カリフラワー1/2株、じゃがいも(メイクイン)3個、にんにく小3、4片、〈クスダ シャルキュトリ メートル アルティザンの〉ポワトリーヌフュメ(皮つきバラ肉の燻製ベーコン)約80g(¥1,620~/100g)、生クリーム約150ml、オリーブオイル約大さじ2、塩少々。


 カリフラワーは根元を切って小房に分ける。茎が長いようなら切り落とし、根元の部分は、繊維の硬い皮を厚くむいて適当に切り分ける。じゃがいもは皮をむいて縦に2等分。横にして4、5等分に切り分けて軽く水にさらす。

 鍋に多めの湯を沸かし、じゃがいもを茹でる。硬めに火が通ったらカリフラワーを加え、柔らかくなるまで茹でて水気を切っておく。にんにくは皮をむく。大きければ2等分して芯を取る。

 ポアトリーヌフュメを2cmくらいの幅に切り分ける。オーブンを190度に温める。耐熱容器にオリーブオイルの半量をまわししかける。2のカリフラワーとじゃがいもを並べ入れる。間にポアトリーヌフュメを挟み込むように散らし、にんにくも同様に散らす。全体に塩を振り、生クリームをまわしかける。残りのオリーブオイルを振ってオーブンへ。15分ほど焼き、210度に上げて軽めの焼き色がつくまで10~15分で焼き上げる。

硬めに下茹でしたカリフラワーとじゃがいもに、生クリームをたっぷりかけてオーブンで焼く。にんにくとともに散らしたポワトリーヌフュメ(燻製ベーコン)は、皮つきの豚バラ肉を塩漬けした後、3昼夜掛けてレンガの窯でいぶし、ゆっくりと旨みを凝縮させた逸品だ。

鴨の胸肉を熟成させてじっくりスモークしたカナールフュメは、セージをのせて香りづけ。

手をかけすぎずシンプルに味わうカナールフュメと、野菜をたっぷり使ったクリーム焼き。クリーム焼きは皿に残るソースも絶品なので、おいしいパンも忘れずに!

まずは軽く温めた〈クスダ シャルキュトリ メートル アルティザン〉のカナールフュメをつまみに、おいしいワインを一杯。時間差で出すのは、燻製ベーコンを加えた野菜のクリーム焼き。こちらは熱々だ。「温度差も楽しみつつ、2種類の燻製香を味わう組み合わせです」と長尾さん。

1品目のカナールフュメは、燻製した鴨の風味にセージの香りを控えめにプラスしました。冷蔵庫から出し立てよりも常温のほうがおいしいので、セージを加えて〝ゆるめる〟感じに軽く温めます。そのままでもいいし、パンに乗せれば特別感も出ます

2品目は白い野菜のオーブン焼き。ごくシンプルだけれど、ベーコンの燻製香を感じる部分、にんにくが利いている部分、カリカリっと焦げた部分、ちょっとしょっぱい部分……と場所によって味わいが変わる。オーブンで焼いただけなのに、なんでこんなにおいしいんだろう。

にんにくやポワトリーヌフュメ(燻製ベーコン)は野菜の間に差し込み、全体が表面に出ないようにして焼くのがコツ。ベーコンやにんにくの風味を料理の内側に潜ませる感じです」と長尾さん。食べ終わるころには燻製&にんにくフレイバーのソースが皿に残る。これをパンにつけて食べるのもたまらない!

❹ T., Collection《5 紅 Beni》の飲み方 食前から食後まで

日本茶専門店〈SABOE TOKYO〉の香り高いブレンド茶を、さまざまな淹れ方で味わう。

【用意したお茶】
日本茶専門店〈SABOE TOKYO〉のブレンド茶《5 紅 Beni》(¥3,240/茶葉35g)。


● 食前の冷たいお茶として
ポットに入れたティースプーン2杯の茶葉に、700mlほどのお湯を注ぎ入れ、約2分蒸らす。別の容器に注ぎ、あら熱を取ってから冷やす。しっかり冷たくした状態で小さめのグラスに注ぎ、アペリティフとして楽しむ。

●食後のデザートティーとして
ティースプーン2杯の茶葉をポットに入れ、400mlのお湯を注いで1分蒸らす。グラスに注ぎ分け、色の濃いお茶となじみやすい和三盆糖シロップを好みの量加える。お茶は温かいままでも、あらかじめ淹れて冷やしておいても。

※ 和三盆糖シロップは鍋に水500mlとふるった和三盆糖30gを入れ、中火にかける。煮立ったら火を弱めて2、3分煮詰めて火を止め、シナモンスティック3cmくらいを加える。冷めたらレモンの皮を削いで加える。

左は《5 紅 Beni》をシンプルに淹れて冷たく冷やしたアペリティフ。中央は和三盆糖シロップを入れたデザートティー。右は和三盆糖シロップ。

香りのいい日本茶を使って、クリスマスの食事に合うお茶の楽しみ方を考えました」と長尾さん。選んだのは〈麻布台ヒルズ マーケット〉1階に店を構える日本茶専門店〈SABOE TOKYO〉のブレンド茶だ。

さまざまな日本茶と果実や穀物を合わせた十種類のブレンド茶「T., Collection」のうち、長尾さんが「繊細できれいな味。完璧なブレンドですね」と話すのは、紅茶、烏龍茶、黒葡萄葉を使った《5 紅 Beni》。芳醇な香りの紅茶や、深い渋味をもつ烏龍茶、黒葡萄の葉や赤紫蘇を合わせたもので、ワインを思わせる味わいも特徴だ。

淹れる温度や濃さを工夫すると、一つのお茶でも雰囲気の変化を楽しめると思います。最初はよく冷やしてそのまま飲む。少し薄めに淹れても香りが立っておいしいです。その後はノンアルコールの食中茶としていただき、食後は和三盆糖のシロップで甘みをつけて温かいデザートティーに。冷やしてデザートカクテルにするのもいいですね

シロップに和三盆糖を使ったのは、和三盆糖のような、まろやかで少しコクのある甘みのほうが、このお茶の個性に合う気がするので……と長尾さん。確かに、飲んだ瞬間に品のいい香りが立ちのぼり、味わったことのない風味にびっくりする。

そのままでも十分おいしく飲めるけれど、少し工夫すると味わいも楽しみ方も広がります。料理も同じ。上等な鴨の燻製ひと切れや、マスタードを付けたスモークソーセージ1本でも、もちろんおいしい。でも簡単な野菜料理やマッシュポテトをプラスすれば、見た目もよくて満足感も高い一品料理として成立します。それに、“プラスする時のレシピ”をいくつか覚えておくと、クリスマスだけでなく普段の食卓ももっと楽しくなりますよ

長尾智子|Tomoko Nagao 料理家。素材を大切に考えた料理を軸に、書籍や雑誌でのレシピ提案、商品開発などを行う。今回料理を盛り付けた白いオーバル皿やリム皿など、オリジナルの器や食卓まわりの道具を紹介するECサイト〈SOUPs〉も運営。『ティーとアペロ お茶の時間とお酒の時間 140のレシピ』(柴田書店)、『料理の時間』(朝日新聞出版)など著書も多い

麻布台ヒルズ マーケット

「食を通して暮らしと未来を豊かにしたい」と、34の専門店が集まった「麻布台ヒルズ マーケット」。青果、精肉、鮮魚から惣菜やワイン、パンにスイーツまで、それぞれの専門分野で日本一を目指す志の高い名店が並ぶ。

住所=東京都港区麻布台1-3-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザ C 1F、B1F

〈クスダ シャルキュトリ メートル アルティザン〉B1F
  電話=03-5797-8625 営業時間=10:00~20:00
〈フィオールディマーゾ〉B1F
  電話=03-6435-5570 営業時間=10:00~20:00
〈築地 鳥藤〉B1F
  電話=03-6441-0817 営業時間=10:00~20:00
〈SABOE TOKYO〉1F
  電話=03-6441-0310 営業時間=11:00~20:00

CHRISTMAS HILLS 2024

「CHRISTMAS HILLS 2024」では、六本木ヒルズをはじめ、麻布台ヒルズ、虎ノ門ヒルズ、表参道ヒルズ、アークヒルズが一体となりクリスマスが展開されます。ヒルズ全体に広がる美しい装飾と心温まるイベントが、この季節を彩ります。今年のクリスマスは、ヒルズで心に残るひとときをお楽しみください。

※2024年12月現在の情報です。
※表示価格は全て税込価格です。