FLAVORS OF PROVENCE

ワインに料理にスイーツまで、ヒルズで体感する南仏“プロヴァンス”の味わい

過ぎゆく夏の和らいだ日差しに、薄紅色のグラスを傾ける。そんな南仏プロヴァンス流の休日を楽しんでみませんか? 自然派志向のライフスタイルを実践する方々が増える中、人気を集めるオーガニックなプロヴァンス産ロゼワイン、素材の力を活かした素朴な味わいで勝負する料理、スイーツ——いずれもヒルズの店舗で購入、体感することが可能です!

EDIT BY TM EVOLUTION.INC

❶ プロヴァンスのロゼをはじめ、フランスワインのトレンドを全網羅——フランスワイン専門店 ラ・ヴィネ

南仏プロヴァンスのロゼワインを再びスターダムに押し上げたのが、この「MIRAVAL ROSE 2022」¥4,950。白ぶどう品種をブレンドすることで、アロマティックな仕上がりとなっている。専用ボックスも用意され、ギフトにもぴったり。

「Le Baux de Provence Rose Tradition 2021 Mas de Gourgonnier」¥3,190は、プロヴァンスでも山間エリアで収穫されるアペラシオン。オリーブとブドウしか育たないような、荒涼としたテロワールが特徴である。厳しい環境で、強い太陽の日差しを浴びたことによるスパイシーさ、アルコール度数の高さが際立ち、飲み応えのある芳醇さを持ち味とする。

平間店長をはじめ、スタッフ全員がソムリエ有資格者という体制が素晴らしい。料理とのマリアージュ、ワイン会への持参アイテムなど、あらゆる相談に対応していただける。

プロヴァンスは、フランス国土南東の土地。紀元前6世紀、このプロヴァンスからワイン造りが伝えられ、フランス全土へと広がっていったという歴史がある。

フランス人にとってのロゼワインとは、バカンスを想起させるトリガーアイテム。グラスに注がれた稀有なピンク色の液体により、優雅な気分へとスイッチが入る。中でも、そのピンク色は自然光のもとでこそ美しい輝きを帯びる。グラスを傾ける際に絵になる、“映える”飲み物なのだ。つまりロゼワインは、昼飲みの“免罪符”。エレガントで色の淡い、軽やかなタイプをしっかりと冷やして、白ワインのように味わいたい。そして少しずつ温度が戻るに連れて、赤ワインのような果実味・タンニンが現れる変化までも楽しむのがお薦めだ。

その“淡色ロゼ”というトレンドを作ったとも言われているのが、俳優ブラッド・ピットがプロヴァンスに所有する「MIRAVAL」。ローヌ地方ですでに名声を博しているファミーユ・ペラン家が醸造を手掛けたこともあり、これまではカジュアルさが際立っていたプロヴァンスのロゼワインにクオリティの変革をもたらした銘柄だ。

そして、プロヴァンスのロゼを求めるならば、フランスワイン専門店の『ラ・ヴィネ』へ。パリの三つ星レストラン、『タイユバン』の世界唯一のワインショップの支店として26年前に恵比寿で開業。その後にサッポロビールの直営となり、名称を変更したものの、優れたネットワークは変わらず譲り受けている。この店はプレミアムクラスのみならず、2,000〜5,000円台の比較的カジュアルなボトルも大得意。展示スペースのおよそ半分は、このレンジのワインが並び、スタッフが自ら買い付けしてきたお値打ち銘柄も多数存在する。スタッフは全員、ソムリエ有資格者。分からないことは臆することなく、何でも聞いてみるといい。

フランスワイン専門店 ラ・ヴィネ
住所=東京都港区虎ノ門1−17−1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー 1F 電話=03-5157-1377 営業時間=平日10:30〜19:30(土日祝11:00〜19:00) 定休日=無休 ※各種QRコード決済、交通系IC、クレジットカード利用可
 
TEXT BY TAKASHI TSUCHIDA
PHOTO BY KIPPEI MITSUYA

❷ 去りゆく夏の思い出を、南仏香るひと皿とワインに託して——ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション

「兵庫県明石産 真ダコのカルパッチョ パプリカとギンディージャのサルビコンを添えて」¥3,500(サービス料別)。ロブション氏推奨のスペイン産地中海沿岸のオリーブを用いたエキストラ・ヴァージン・オリーブオイル「マシア・エル・アルテット」とシェリービネガーで仕上げた酸味、辛み、カラフルな色合いのバランスが絶妙な冷たい前菜。

フランス語で「星」と名付けられた「メゾン・ミラボー」の「エトワール ロゼ」グラス¥2,000、ボトル¥12,000(共にサービス料別途)。グルナッシュ主体の淡いピンク色のロゼの味わいは、フレッシュなリンゴ、採り立ての赤いスグリの実、お花などの香りを感じ、軽快ながらも複雑さが楽しめる。プロヴァンスのロゼの中では高級感があり洗練された味わいが特徴だ。

モダンフレンチの大家、ジョエル・ロブション氏は夏になるとスペインによくバカンスに訪れたという。そうしたエピソードから察するにロブション氏は、陽光降り注ぐ南フランスやスペインへ憧憬を抱いていたのかもしれない。ここ『ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション』では、ロブション氏の思い出に寄り添い、オマージュした「兵庫県明石産 真ダコのカルパッチョ パプリカとギンディージャのサルビコンを添えて」を提供。夏の夕暮れ、都会でふとどこかから漂う潮の香りを感じたことがないだろうか。そんな記憶を想起させる冷たい前菜だ。新鮮な明石の真ダコに、スぺイン産唐辛子の酢漬「ギンディージャ」とパプリカのピクルス、そしてオリーブオイルとシェリービネガーを添え、カラフルなカルパッチョ仕立てにしたもので、パリやモナコの『ロブション』でも同じスタイルの料理を提供している。

さて、ロゼワインには不思議な魅力がある。お祝いの時、恋人達の語らいの時、シーンを演出し、彩る。このプロヴァンスのワインは秋へと移ろう時季の楽しい夏の思い出を惜しむような、少しセンチメンタルな気分にもぴったりだ。南仏の造り手「メゾン・ミラボー」はロゼワインの可能性を感じ、イギリスからプロヴァンスへ移住したクロンク夫妻がオーナー。サステナブルにも力を入れ、ヨーロッパでは大変人気の生産者で、UKセールスでナンバー1にもなったことがあるロゼブランドだとか。中でも今回セレクトしていただいた「エトワール ロゼ」は「メゾン ミラボー」こだわりの高級ライン。一般的にプロヴァンスのロゼは軽やかな味わいが特徴。こちらも南仏の明るい陽光を彷彿とさせ、ピクニックなどにもふさわしいキュベだ。軽い前菜などに合わせていただけば、海の近くのワインによくあるクリーンなミネラル感が溢れ、南仏の爽やかな風を感じるはずだ。

ロブションの名が冠された『ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション』は、コースをいただくイメージが強い。けれど、通の中にはグループで来てコースをいただく方もいれば、アラカルトでオーダーするという方もいるのだとか。また、仕事終わりに前菜を2種ほどとグラスワインで気負いなく夕食を楽しむスマートな方も。日々早まる、暮れ行くテラスを眺め、晩夏のリリカルな雰囲気と共に上質な一品料理とワインを。過ぎ行く夏の思い出の1ページに添えたい。

ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション
住所=東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ ヒルサイド2F 電話=03-5772-7500 営業時間=ランチ12:00〜16:00(L.O.14:30)/ディナー18:00〜L.O.20:30  定休日= 無休 ※各種QRコード決済、交通系IC、クレジットカード利用可
 
TEXT BY AKITRA TANAKA
PHOTO BY TAKUYA SUZUKI

❸ 南仏プロヴァンスの素朴で自然な甘味。ナチュラル派にぴったりの高級菓子——La maison JOUVAUD

アーモンドにメロンコンフィ(シロップ漬け)や、オレンジピールを混ぜ込み、丁寧に練り上げた南仏プロヴァンスを代表する伝統菓子。白い部分は砂糖がけ。キャラメルのような柔らかな食感ながら、素材の風味が詰まっていて、噛みしめるほどに自然な甘みが広がる。諸説あるが、一説では1454年の王室婚礼の際に、プロヴァンスの菓子職人が手掛けたそうで、今でも結婚式のお祝いとして人気がある。「Callison(カリソン)」4個入り¥1,264。

アーモンドを原料とする一般的なカラーマカロンとは異なり、ヘーゼルナッツを使ったプロヴァンスマカロンは、パウダーにする前に一度ローストしているため、香ばしいナッツの香りを楽しむことができる。プロヴァンスらしい素朴な見た目だが、サンドしたクリームの驚きのある秀逸な味わい。「アールグレイショコラ」「シトロン」「ガナッシュショコラ」「キャラメルショコラ」の4種類各¥346。

鮮度の高いフルーツピューレを煮詰めて固めた「パット・ドゥ・フリュイ」。果実味がギュッと詰まっていて、ひと粒で、果物を丸ごとかじったかのよう! 味の展開は10種類あるが、日本ではブルーベリーやグリオットチェリーのような、濃色の果物が味わいも強く、好評だ。10粒入り¥1,836、5粒入り¥864。

店舗内の喫茶スペースのほか、店舗前にもテラス席が用意され、各種スイーツと、ソフトドリンクを楽しめる。

フランス有数のバカンス地として栄える南仏プロヴァンスでは、パリ近郊で育まれた王侯貴族のためのフランス菓子とは異なる菓子文化が独自に発展。両者の際たる違いは、素材使いだ。プロヴァンスのパティスリーでは、素材そのものの風味を生かした、素朴な味わいが特徴。それゆえ見た目は生成り系の生地が多く、やや地味な印象を持つかもしれないが、その分、ナッツの香ばしさやアーモンドの旨味が全面に出た、豊かな風味・甘みを楽しめる。

中でも『メゾン・ジュヴォー』は、南仏出身のジュヴォーファミリーが、地元南仏の素晴らしさを表現するべく出したお店で、現在は3代目ピエール・ジュヴォーが、良き伝統を継承しつつも新たなお菓子作りを続けている。虎ノ門ヒルズ店をはじめ、日本国内に5店舗が展開されているが、本国との交流が深く、ジュヴォーブランドの味わいは、日本でも的確に再現されている。

柑橘フルーツの酸味と甘み、ナッツが効いた香ばしさは、実は軽やかなロゼとの相性抜群。真夏のスイーツ&ワインを楽しむなら、“プロヴァンス産”というキーワードでマリアージュを楽しむ——バカンスを知る彼の地の人々ならば自然と身についている、ハズしようがない“常識”なのである。

La maison JOUVAUD
住所=東京都港区愛宕1−1−1 虎ノ門ヒルズレジデンシャルタワー 2F 電話=03-6897-2975 営業時間=月〜金11:00〜19:00(L.O.18:30)、土日祝11:00〜18:00(L.O.17:30) 定休日=無休 ※価格は全て8%税込価格 ※各種QRコード決済、交通系IC、クレジットカード利用可
 
TEXT BY TAKASHI TSUCHIDA
PHOTO BY KIPPEI MITSUYA

※2023年9月現在の情報となります。
※表示価格は全て税込価格です。