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暑さ厳しい毎日、今夜は、喉越し爽やかなカッペリーニを作ってみませんか? それも、ちょっと個性的な、「冷製カルボナーラ」に「マンゴーの冷製パスタ」。その極意を、六本木ヒルズの『Hills DAL-MATTO』徳永翔平シェフに伝授してもらいました。
TEXT BY TAKASHI TSUCHIDA
PHOTO BY HIDEHIRO YAMADA
EDIT BY TM EVOLUTION.INC
❶ チーズとクリームのコクが食欲をそそり、ひんやりして食べやすい——「冷製カルボナーラ」
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ソースは旨味たっぷり。しかも重た過ぎず、スルスルと喉を通っていく不思議食感! 夏バテ知らずの元気パスタだ。こちらは『DAL-MATTO』のグランドメニューには載っていないものの、常連客はひっそり注文している裏メニューとなっている。
「冷製カルボナーラは、ソース作りが肝心!」と、徳永料理長。卵黄、生クリーム、粉チーズ、塩をひとつまみ。これらのソース材料を湯煎に当てながら、じっくりと時間をかけて丁寧に火入れしていく。湯煎は一回沸騰したところから火を止めて、その湯煎をそのまま使う。熱が材料に移るにしたがって、お湯の温度が低下していくが、それでちょうどいいそうだ。熱が入らなさすぎると、生卵の臭みが取れず、逆に熱が入りすぎるとボソボソとした食感になってしまう。一瞬のトロっとした状態を逃さず、その時点で湯煎から引き上げ、すぐに冷水で締めるのがポイントだ。
少し熱すぎるな、と思ったら湯煎を一旦外しながら、ソースを混ぜ続け、お湯の温度が落ち着いてきたところで再度、湯煎することを繰り返すのでもOK。その方が時間はかかるが、失敗する確率が低くなる。最初から大人数分に挑戦するのではなく、少量で作るほうが要領を得やすいそうだ。
また、パスタにソースを絡めるときには、氷水をボウルに当てる。時間をかけるとその分、室温でパスタの温度が上昇するので、アツアツのものを手早く調理するのと同じく、氷水に当てながら手早く調理を進行させる。冷たいものは、調味料が溶けにくいことを意識しつつ、入念に混ぜることを心がけたい。
シェフのアドバイス「通常の温かいパスタならば、茹で汁の塩分でパスタの下味がついていますが、冷製の場合は一度氷水でパスタを洗いますので、その時に塩分が落ちてしまいます。なので下味として、パスタに改めて塩を軽く振って、下味をつけています」(徳永料理長)
❷ 鼻を通り抜けていく、トロピカルな風。マンゴーのエキゾチックな甘みに包まれる。——「マンゴーの冷製パスタ」
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お店で出している一番人気メニュー「桃の冷製パスタ」を、家庭用にマンゴーへとアレンジ。マンゴーならば、桃ほど繊細な扱いを必要としないので、失敗しにくいのだ。スペアミントの爽やかな香りは、まるでリゾート気分。パッションフルーツのトッピングも、マンゴーの甘みと見事に調和している。
このパスタは、マンゴーとトマトのポテンシャルが命。徳永料理長は「完熟したマンゴー、糖度の高いフルーツトマトを奮発してください」と話す。逆に、美味しいマンゴーとトマトさえあれば、このレシピは間違いがない。季節感たっぷりで、夏の暑さを吹き飛ばしてくれるはずだ。
ちなみにこのレシピの場合は、茹で上げた後のパスタにエキストラバージンオリーブオイルを加える。それは、ソースと繋げて、乳化させていくための油分を補うためだ。ちなみに「冷製カルボナーラ」の場合は、生クリームの油分などもあり、もともとソースがつながっているので油分の追加は必要なし。果実と野菜のみのレシピだと食材から補えるのは水分だけなので、追加の油分が必要となる。
「もしもフルーツトマトが酸っぱい、あるいはマンゴーの酸味が強い場合は、砂糖を少々加えてください。そうすることで酸の角が丸みを帯びます」と、徳永料理長。ただし、くれぐれも使うのは少量に抑え、砂糖の甘さが前面に出てこないようにしたい。
シェフのアドバイス「マンゴーを塩とレモン汁でマリネするのは、マンゴーの甘みを引き立たせるため。スイカに塩を振るのと同じです。マンゴー単体だと、料理としてはどうしても甘さが強調されすぎてしまうので、それを引き締めるにも、レモンの酸味で引き締めています」(徳永料理長)
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今回のレシピを教えてくれた徳永翔平料理長。『Hills DAL-MATTO』の様々なクリエイションを統括する。
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Hills DAL-MATTO 住所 東京都港区六本木6−10−1 ウェストウォーク5F 電話 03-6804-1644 営業時間 11:00〜L.O.15:00/17:30〜L.O.21:00 定休日 無休 ※QRコード決済、交通系IC、各種クレジットカード利用可
※2023年8月現在の情報となります。
※表示価格は全て税込価格です。
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