TEPPAN-YAKI IS ENTERTAINMENT

究極の肉汁ショーが開幕! 匠が繰り出す至高の鉄板焼

目の前で繰り広げられる、焼き手の手技も楽しい、鉄板焼。それは、調理する音や香りも含め、感覚をフルに刺激してくれる食のエンターテインメントです。今回は、そんな中でも、圧倒的な肉のクオリティーに秀でた、王道鉄板焼の名店2軒をご紹介します。

EDIT BY TM EVOLUTION.INC

❶ 鉄板料理を“劇場型エンターテイメント”に昇華——六本木うかい亭

鳥取と兵庫の県境にある指定牧場で生産される「田村牛」。美しいマーブリングながら、脂の融点が低く、赤身の美味しさが感じられ、軽やかにいただける。

熟練したシェフの焼き上げる肉は、外はカリッと、中はジューシーに。写真を見ても分かる通り、月並みながらこうした表現がふさわしい。口に運ぶと滋味豊か。口福へと誘われる。

肉の下に敷いた円形のパンは、保温性や肉の余分な肉汁を吸収する目的が。肉を食べ終わったら、これをサンドに用いる。実に美味しくて食の大切さを実感できる活用法に感動。

鉄板は焼くだけにあらず。水分を含んだ赤穂の塩を盛り、フランスの白アスパラガスと日本のグリーンアスパラガスを蒸し上げる。アスパラの下にはその皮を。こちらも美味しさを求め、食を大切にする心が息づいている。

鉄板の上に、オーバル鍋を置き、あさりと潰したトマトをにんにく、エシャレット、ケッパーと共に煮込む。かけているのは、貝の出汁。キッチンでシェフの料理のデモンストレーションを見ているような見事な美技にただ、ただ感心。

アスパラガスにあさりのソースをかけて「アスパラガスのヴァプール」が完成。盛り付けは有田焼の名窯で作られた器に。全てが一流のひと品。

シェフの手技をつぶさに見られる個室は、まさに肉焼きの“劇場”

草木が薫る自然と、都会的な洗練を共に感じられる六本木・けやき坂通りに面した建物の2階に『六本木うかい亭』はある。ホールウェイを挟んだ割烹料理『六本木kappou ukai』と並び、鉄板料理を通して空間と料理、もてなしの三位一体を叶える“美食の空間”との呼び声高いレストランだ。都内数店舗ある『うかい亭』の中でも、全てが半個室、しかも全体で100坪ものフロアにわずか6室。日本の美を意識したラグジュアリーな空間が広がる店内は異空間でラビリンスに迷い込んだような印象。いやおうなく期待感や高揚感が高まる。けやき坂に面した個室からは、窓から新緑やイルミネーションが。窓のない個室には毛利庭園で育まれる草木をモチーフにしたアート作品が飾られ、静謐な空気が流れる。個室に入ると目を引く、日本の伝統色である緋色のカウンターと美しく磨き抜かれた鉄板のシェフズテーブルが非日常へと誘ってくれる。

こちらの料理は「鉄板焼」ではなく「鉄板料理」。鳥取県と兵庫県の県境、指定牧場で生産される「田村牛(うかい極上牛)」を中心に、旬の野菜や魚介を25ミリの厚さの鉄板を用いて蒸す、焼く、温めるという様々な調理方法で流れるように料理が提供されていく。1組につきひとりのシェフが担当し、気負いない会話もごちそうだ。料理のお供にワインはもちろん、割烹を隣接しているため日本酒も充実。上質な料理と好みのドリンクとのマリアージュはまさに至極のひと時を約束してくれるはずだ。ランチは3コースで¥9,900(¥9,900コースは平日のみ)〜、ディナーは2コースで¥33,000〜。

旬の料理では鉄板の上に水分を含んだ塩を置き、野菜を蒸し焼きにし、鉄板の上にオーバル鍋を置いて魚介を煮込だ料理なども。また、お客様に焼き上がった肉を、丸くくり抜いた食パンにのせて提供することも。肉を食べ終わったあと、旨味が凝縮された肉汁が染み込んだパンに、新鮮野菜と脂身をカリカリに焼いてベーコン状にしたものを挟んだサンドを作ってくれる。こうした次々と繰り広げられるエンターテイメントにドキドキ、ワクワク。個性に満ちた美しい空間で食の極上エンターテイメント“うかい劇場”を堪能してはいかがだろうか。

六本木うかい亭
住所=東京都港区六本木6-12-4 六本木ヒルズ 六本木けやき坂通り2F 電話=03-3479-5252 営業時間=平日12:00~L.O.14:00/17:30~20:00(最終入店)、土・日・祝11:30~L.O.14:30/18:00~20:00(最終入店) 定休日=月 ※各種クレジットカード利用可
 
TEXT BY AKIRA TANAKA
PHOTO BY KIPPEI MITSUYA

❷ 広々とした“市場”とサステナブルな食材をイメージした鉄板焼——けやき坂

使う食材をお客様に説明して、調理を。食の安全や安心をきちんと納得いただいてスタート、この店の誠実さが窺える。自然とシェフとの会話も弾む。

地産地消を掲げた店自慢の「けやき坂 ビーフ」は、脂の融点が低く、サーロインもテンダーロインもさっぱりとして肉の深い味わいが感じられる。見事なシェフの手さばきについつい見とれてしまう。

長いカウンターでひと組のお客様に対して、ひとりのシェフが担当。食材が料理になるプロセスを目や、耳、会話を通して体感。シェフの後ろには、新鮮な野菜がディスプレイ。“市場”で野菜を選ぶような感覚で食べたいものをオーダーすることができる。

「けやき坂 ビーフ」が食べられるランチコースは前菜、魚、肉(サーロイン90g)、ガーリックライス、デザートとコーヒーか紅茶がついて¥11,110〜。肉は10g刻みで分量を調整できる。あまりの美味しさに肉だけをアラカルトでオーダーする外国のお客様も少なくないとか。

東京・秋川産の和牛の中でも「けやき坂 ビーフ」は、試行錯誤によって編み出されたキヌア、カカオ、ブルーベリー、海藻といったスーパーフードを配合した飼料を与えることでさらに上質な肉が得られる。スタッフも常に牧場に赴き、チェックを欠かさない。

デザートは趣の異なるラウンジでゆったりと。吹き抜けに昼は陽光降り注ぐカンフォタブルなスペース、夜はうって変わってロマンティックな雰囲気に。

店に入った瞬間広がるシックで開放的な空間、そして香ばしく焼いた馥郁たる肉の香りに包まれる鉄板焼『けやき坂』。ホテルの鉄板焼というと、いくつかのブースに店内が分かれ、ひとりのシェフが数組のゲストにサービスを提供するというイメージがあるが、こちらは重厚な長いくるみ材のカウンターに、道のように長い約6メートルのクリーンな鉄板で料理が提供される。“お客様が実際に見て素材を選べるマーケット型の鉄板焼”を謳っているように、オープンキッチンのセンターには、全国各地から集められた瑞々しい野菜が木箱に入ってディスプレイ。こうした野菜をはじめ、全ての食材に生産者のこだわりや生産過程などのストーリー、スタッフが生産地や農家に行って体感したエピソードを食材に込め、ダイナミックかつ、繊細にお客様に届けてくれるのがこの店の大きな特徴だ。

鉄板焼の主役のひとつ、和牛においても食の安心・安全を提供するのはもちろん、環境やローカル・コミュニティーにも配慮し、地域の活性化を心がけているそうだ。また、貴重な和牛を無駄にせぬよう、提供しない部位はテイクアウトで購入できる「けやき坂 ビーフ レトルト ビーフカレー」¥1,944として販売している。そして厳選された和牛の中で、是非試してみたいのが店名を冠した「けやき坂 ビーフ」だ。地産地消を目指し、東京・秋川市で生産される東京唯一のブランド牛で、その中でもこの店だけのために育てられた年間約140頭のみ出荷される上質な個体を提供。スーパーフードを餌とし、柔らかく、深い中にも、さっぱりとした味わいが特徴だ。

お客様1組に、ひとりのシェフが1名担当するので、食材や調理のことなどシェフとの会話を楽しみながら非日常のひと時を堪能できる。お客様は、ホテルという場所もあり7割が外国のお客様だとか。ここでして食せない極上の味わいとホスピタリティ。食の安全や安心、そしてライブ感。それを目当てに国内外のお客様が様々な楽しみに心踊らせ食事という時間を楽しむのだ。

けやき坂
住所=東京都港区六本木6-10-3 グランド ハイアット 東京4F(ホテル6F経由または六本木ヒルズ ウエストウォーク4F経由) 電話=03-4333-8782 営業時間=ランチ11:30〜14:30(土・日・祝〜15:00)/ディナー18:00〜21:30 定休日=月(当面の間) ※サービス料別途 ※各種クレジットカード利用可
 
TEXT BY AKIRA TANAKA
PHOTO BY HIDEHIRO YAMADA

※2023年4月現在の情報となります。
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