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友人を招いたり、家族が揃って食卓を囲んだりする機会が増えるホリデーシーズンに、自宅で簡単に作れて、しかもワインとベストマッチングなレシピを料理家の渡辺康啓さんに教えていただいた。
RECIPE BY YASUHIRO WATANABE
PHOTO BY KEIICHIRO MURAGUCHI
EDIT & TEXT BY MARI MATSUBARA
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「料理に使う具体的な食材を伝えていただくと、ワインをお薦めしやすい」と店長の鈴木さん。そこまで決まっていなくても、スパイシーな料理、鍋料理、などできるだけ情報を伝えるといい。
ワインが大好きな渡辺康啓さん、まずはワインを選びに〈ワインショップ・エノテカ 六本木ヒルズ店〉に足を運んだ。相談に乗っていただくのは、店長の鈴木文博さん。具体的な料理を決める前に、なんとなく料理のイメージを伝えて、おすすめを選んでもらうことに。そのお題とは、「揚げものに合うワイン」「鍋を囲むシーンに合うワイン」「スパイス料理に合うワイン」「肉料理に合うスパークリング」「デザートに合うワイン」。それぞれに1本ずつを選んでもらった。
持ち帰った5本のワインに合わせて渡辺さんが提案するホリデーシーズンにぴったりの料理5品をご紹介。レシピ付きです!
《バイ・オット・ロゼ》と楽しむのは……
「百合根のフリット バルサミコとピンクペッパー」
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[材料・2人分]
百合根=2玉、薄力粉=40g、炭酸水=60g、塩=ひとつまみ、揚げ油=適量、結晶塩、ピンクペッパー、バルサミコ
[作り方]
① 百合根はばらばらに剥がしてよく洗い、泥などを落とす。茶色く変色している部分は、包丁で切り落としておく。
② ボウルに百合根を入れて薄力粉(分量外)を振り入れ、全体に薄くまとわせる。
③ 別のボウルに薄力粉、塩を入れ、炭酸水を注ぎ、衣を作る。そこへ百合根を合わせ、よく衣を絡めておく。
④ 揚げ油を180℃に温め、百合根を入れて揚げる。
⑤ 油を切って器に盛り、結晶塩、ピンクペッパーを散らし、バルサミコをかける。
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衣はしっかりとまとわせ、揚げる時にゆり根を1枚1枚ではなく、ある程度まとまって油に落とすといい。そうするとホックリと仕上がる。
渡辺さんコメント
「見た目よりしっかりした味わいのロゼなので、油ものを受け止めてくれます。ピンクペッパーの爽やかな香り、バルサミコの甘さにもバッチリ合います」
《ランゲ・アルネイス》(白)と楽しむのは……
「鶏団子、芹、焼き油揚げの鍋」
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[材料・2人分]
鶏ひき肉=200g、生姜のすりおろし=小さじ1、長葱のみじん切り=大さじ2、花椒=小さじ1、塩=小さじ1/2、片栗粉=小さじ2、卵=1個、芹=2束、油揚げ=2枚、昆布=10cm角1枚、塩、柚子など柑橘のしぼり汁
[作り方]
① 鍋に水をはり、昆布を入れて5時間以上置く。
② 花椒はフライパンなどで空炒りし、香りが立ったらすり鉢に取り、潰しておく。
③ 鶏ひき肉をボウルにとり、生姜、長葱、花椒、塩、片栗粉、卵を合わせてよく混ぜ合わせ、つくね種を作る。
④ 芹はよく洗い、根をつけたまま15cm長さに切る。
⑤ 油揚げは、トースターなどで表面に香ばしい焼き色をつけ、食べやすく切っておく。
⑥ 昆布の入った鍋を火にかけ、細かな泡が上がったら昆布を引き上げる。
⑦ つくね種をスプーンなどですくって鍋に落とす。油揚げを鍋に入れる。つくねが浮いてきたら、芹を加えてサッと火を通す。
⑧ 各々の器に柚子などを絞り、塩を適量加え、鍋のスープで伸ばしてポン酢にして食べる。
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「鍋料理は食材を2〜3種に絞った方が素材の味が引き立ち、美味しくいただけます。芹はぜひ根っこの美味しさを味わって」(渡辺さん)
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2つのスプーンを使ってつくね種を鍋に落とすのがコツ。
渡辺さんコメント
「ワインと醤油はそれほど相性がよくないので、醤油ベースのポン酢を使うよりは、柑橘と塩を入れた取り皿に鶏肉と昆布から出た出汁を注いで、さっぱりといただきます。熱々の鍋の合間に、キリッと爽やかな白ワインが合いますね。花椒のしびれる絡みもほんのりと良い仕事しています」
《トルチコーダ》(赤)に合わせるのは……
「牛肉のスパイス煮込み」
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[材料・2人分]
煮込み用の牛肉=300g、玉葱=1/2個、人参=小さめ1本、パプリカ=1/2個、にんにく=1片、トマト水煮=200g、水=100cc、クローブ=2粒、シナモンスティック=1本、ローリエ=1枚、オリーブ油、塩、クスクス=160g、カシューナッツ=30g、レーズン=20g、イタリアンパセリ=4本、パプリカパウダー
[作り方]
① 牛肉は一口大に切る。
② 玉葱と人参は5㎜の薄切りにし、パプリカは種を取り除いて薄切りにする。にんにくは芽を取り除き、潰す。
③ 鍋ににんにく、シナモンスティック、ローリエ、オリーブ油を入れて中火にかける。香りが立ってきたら玉葱、人参、パプリカを入れて塩をし、炒める。
④ しんなりとしてきたら牛肉を加えて、表面の色が変わるまで炒める。
⑤ クローブ、トマト水煮、水を加え、沸騰したら蓋をずらして乗せ、弱火で1時間煮込む。肉が柔らかくなったら塩で味を調える。
⑥ クスクスをボウルに入れ、レーズン、塩ひとつまみ、オリーブ油を小さじ1加え、160ccの熱湯を注ぎ、軽くかき混ぜたらラップをしてクスクスを戻す。荒めに刻んだカシューナッツと、みじん切りにしたイタリアンパセリを加え、よく混ぜてクスクスをほぐす。
⑦ 牛肉の煮込みを器に盛り、クスクスを添える。パプリカパウダーをふりかける。
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「クスクスの代わりに生のピーマンをみじん切りにして混ぜ込んだ白ごはんを合わせても美味しいです」(渡辺さん)
渡辺さんコメント
「フルーティな甘味も感じる赤ワインに、クローブやシナモンが絶妙に合いますね。牛肉はスーパーで売っているカレー・シチュー用の肉でOK。ほろっと柔らかく仕上がります」
《カルテット・アンダーソン・ヴァレー ブリュット》(スパークリング)と合わせるのは……
「鶏のバターアーモンドソース」
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[材料・2人分]
鶏もも肉=1枚、ローリエ=1枚、にんにく=1/2片、粗刻みアーモンド=30g、バター=20g、ローズマリー=1枝、レモン、オリーブ油、塩
[作り方]
① 鶏もも肉を濃いめの塩水で洗い、余分な脂肪やスジを取り除く。水分をキッチンペーパーで拭き取り、常温に戻しておく。
② フライパンに芽を取って潰したにんにく、ローリエ、オリーブ油を入れて弱火にかけ、香りが出るまで熱する。
③ にんにく、ローリエを取り出し、鶏肉を入れる。塩、胡椒をして両面とも香ばしく焼けたら取り出す。
④ 鶏肉を出した後のフライパンに粗刻みアーモンド、バター、ローズマリーを入れて弱火で炒める。アーモンドが香ばしく焼けたら火を止める。
⑤ 鶏肉を適当な大きさに切り分けて皿に載せ、アーモンドソースを上からかけ、レモンを絞る。胡椒を挽き、結晶塩をふる。
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鶏肉を焼く時、あまり動かさないでじっくり待つと綺麗な焼き目がつく。フライパンに残った肉汁や焦げにバターとローズマリー、アーモンドを加えてソースにする。
渡辺さんコメント
「鶏肉はもともと白ワインや泡と相性が良いですが、このスパークリングと合わせることで、口の中に残る脂分を洗い流してくれるようです。食べる前にレモンをたっぷり絞って、爽やかさをプラス」
《レゼルブ・ムートン・カデ・ソーテルヌ》に合わせるのは……
「焼き林檎のザバイオーネ」
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[材料・2人分]
林檎(紅玉)=1/2個、無塩発酵バター=10g、グラニュー糖=小さじ1、メープルシロップ=小さじ2、卵黄=2個、グラニュー糖=10g、白ワイン=20g
[作り方]
① 林檎は芯を取り、くし形にごく薄切りにする。
② 天板にオーブンシートを敷き、林檎を並べ、グラニュー糖小さじ1をふり、バターを乗せ、メープルシロップをかける。
③ 180℃のオーブンで10分程度、焼き色を見ながら焼く。
④ ボウルに卵黄とグラニュー糖10gを入れ、ハンドミキサーで白っぽくもったりするまで攪拌する。白ワインを加えて混ぜる。
⑤ 鍋に湯を沸かし、④を湯煎しながら常に混ぜ続け、火を入れる。硬めのメレンゲくらいになったら、湯煎から下ろす。ザバイオーネが完成。
⑥ 器に⑤のザバイオーネを流し、上に焼きあがった林檎をのせる。
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ごく薄く切った林檎を天板の上に、少しずつずらして重ね並べる。
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ザバイオーネを作る過程で入れる白ワインに、このソーテルヌを使ってもOK。味わいにより深みが増す。
渡辺さんコメント
「ザバイオーネは空気をたっぷり含んでいて、とても軽い口当たり。ソーテルヌワインはそれだけだとかなり甘いですが、甘いデザートと合わせることでちょうど良くなるから不思議。紅玉林檎の酸っぱさが絶妙に引き立ちます」
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渡辺康啓|Watanabe Yasuhiro
1980年生まれ。2007年に料理家として独立。イタリア料理を中心に、素材を生かしたシンプルなレシピを提案。各地で料理教室をひらく他、YouTube「せせチャンネル」でも活動中。最新刊に『毎日食べる。家で、ひとりで。』(アノニマ・スタジオ)。
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ワインショップ・エノテカ 経験豊富な専門スタッフと相談しながらお気に入りのワインを探す豊かなワインライフを提案する。住所 東京都港区六本木6-12-3 六本木けやき坂通り 3F TEL 03-5786-7706 営業時間 11:00〜21:00 ※六本木ヒルズ営業時間に準ずる
※2022年12月現在の情報となります。
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