
素材の力がダイレクトに伝わる天ぷらで、日本の旬を感じませんか? 魚介類ばかりでなく、野菜も美味しい天ぷら屋さん3軒をご紹介します。
EDIT BY TM EVOLUTION.INC
❶ 季節の滋味を、丁寧な手仕事で仕上げる
——天婦羅 天蒼々 六本木ヒルズ店(テンプラ テンソウソウ ロッポンギヒルズテン)
店名の“天蒼々”とは、中国に伝わる詩の一節から。スッキリとして雑味がなくキリッとした天ぷらを、澄み渡った晴空の情景になぞらえて、運営会社「際コーポレーション」の社長が命名した。
料理長を務めるのは、天ぷらの名店で研鑽を積んできた佐藤啓太氏。佐藤氏の隙きのない手さばき、揚げに対する真摯な姿勢をカウンター越しに目にするのも、同店を訪れる楽しみのひとつだ。
夜のメニュー構成は、「おすすめ」(先付、強肴、活車海老2本、魚5種、野菜5種、食事※天丼、天茶、うなぎ天丼から選択、水菓子)¥15,000、または「軽め」(活車海老2本、魚4種、野菜4種、食事※かき揚げ天丼、かき揚げ天茶から選択、水菓子)¥8,800のふたつ。別途、アラカルトでお好みの天ぷらを追加可能だ。
また『天蒼々』では、スイス産の白ワインを天ぷらに合わせたい。女将のツテでインポーターから特別に買い付けた選りすぐりの銘柄は、フランスワインほど余韻が口内に残らず、さっぱりとして天ぷらの油切れがいい。かといって味わいが弱々しいわけではなく、飲んだ時のパンチもしっかりと効いているのだ。
TEXT BY TAKASHI TSUCHIDA
PHOTO BY CHISATO NOGUCHI(NDPP.)

天婦羅 天蒼々 六本木ヒルズ店(テンプラ テンソウソウ ロッポンギヒルズテン) 住所 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ ウエストウォーク5F 電話 03-3478-5525 営業時間 11:00〜15:00(L.O.14:00)/17:00〜23:00(L.O.21:30)、土曜・日曜・祝日11:00〜23:00(L.O.21:30) 定休日 施設休業日 ※カード使用可 ※価格は税・サービス料別 ※六本木ヒルズ等各施設では、新型コロナウイルスの感染拡大防止の予防対策を徹底し営業を再開しております。また一部の店舗では営業時間を短縮、もしくは臨時休業を継続しております。ご来店の際には事前に各店舗へお問い合わせください
❷ 細部にまでこだわった職人技による風流な天ぷら
——天ぷら 逢坂(テンプラ オオサカ)
清楚で品のいい天ぷらを提供している『逢坂』のご主人、大坂彰宏氏。天ぷらは揚げる前の仕込みに手間暇がかかる。「素材は天ぷらにした方が、より美味しくいただけるものを仕入れるようにしています」と大坂氏。「そして素材の大きさや特性によって、揚げ衣のつけ方を厚くしたり薄くしたりと調整します」。
例えば穴子は捌きたての方がふっくらと仕上がる。一方でアオリイカは3、4日寝かしてから使った方が甘みが出る。素材ごとの特性をひとつ一つ丁寧に見極めて、天ぷらに仕上げている。さらに揚げ衣には粉を冷やして使い、液体にしてからさらに冷やし、なるべく作りたての衣を使う。長年培った勘を頼りに、素材ごとに適温と適した揚げ加減で、客の進み具合を見ながら胡麻油で揚げていく。
天ぷらには天つゆ、塩、レモンの3種が添えられる。大坂氏はあらゆる塩を吟味した結果、サラサラしていて天ぷらにつけやすいパキスタンのピンク岩塩を使っている。初夏の訪れや秋の気配など、食べながら季節の変化を感じられるのも天ぷらの魅力。その魅力がふんだんに詰まったコースは1人前 ¥16,500(夜)。
TEXT BY YOSHIKO NAKASHIMA
PHOTO BY SHIGEYASU GUSHIMA

天ぷら 逢坂(テンプラ オオサカ) 住所 東京都港区西新橋2-13-16 多田ビル1F 電話 03-3504-1555 営業時間 11:00〜14:00(月曜~土曜)/17:30〜23:00(最終入店21:00)、土曜17:00~23:00(最終入店21:00)、昼は予約のみの営業 定休日 日曜・祝日・第3土曜 ※クレジットカード使用可 ※昼は税別、夜は税・サービス料別 ※新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、営業時間は前後する可能性があります。ご来店の際には事前に店舗へお問い合わせください
❸ 素材の形を美しく留めて揚げる天ぷら
——カブ西麻布(カブ ニシアザブ)
西麻布の住宅街の中にある隠れ家的な天ぷら専門店。食材は高級店並みのものを使いつつ、価格は抑え気味のコースを提供している。
「毎朝、魚介は刺身でも使える新鮮なものを仕入れて天ぷらにしています。そして旬の食材を使うことを心がけています」と料理長の菅原辰弥氏。菅原氏はこれまでより美味しい天ぷらを作るため、様々な研究を重ねてきた。まず揚げ油は和紙で漉した胡麻油に、綿実油をブレンドしたものを使う。ブレンドすることにより胡麻油100パーセントよりも香りがマイルドになる。衣は食材にとても薄くつくように調整し、揚げ上がった時に野菜の形がそのまま分かるほどの薄さに仕上げている。
食べた時の食感が天ぷらとは思えないほど軽く、コースで食べた後も胃にもたれないと客からも評判。その他、先付けなどで使われる出汁などにも、36年のキャリアで培った技術が生かされている。季節を感じられる天ぷらはコースのみの提供で¥9,000(天ぷら8品)、 ¥12,000(10品)、¥15,000(料理長のお任せ)の3コース。全てに先付け、箸休め、食事、デザートが付く。
TEXT BY YOSHIKO NAKASHIMA
PHOTO BY FUMIAKI ISHIWATA(NDPP.)

カブ西麻布(カブ ニシアザブ) 住所 東京都港区西麻布1-9-7 B1F 電話 03-5772-1395 営業時間 18:00〜23:00(最終入店21:00)定休日 日曜、不定休 ※クレジットカード使用可 ※価格は税・サービス料別 ※新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、営業時間は前後する可能性があります。ご来店の際には事前に店舗へお問い合わせください
SHARE