フランス料理の真価は、ビストロにあり! 今も息づく伝統料理の数々をアラカルトでオーダー、それに好みのワインを合わせる悦楽……。パリ仕込みのエスプリが光る、心躍るヒルズエリアの3軒をご紹介。
EDIT BY TM EVOLUTION.INC
❶ 質の高い本格派フレンチを、つまめる小皿としてカジュアルに提供
——bar à vin PARTAGER(バール ア ヴァン パルタージュ)
1/8「フォアグラと宮崎牛のロッシーニ」¥1,800。宮崎牛のタタキは柔らかくそれだけでもコクがあるが、その上に黒トリュフのソースとフォアグラをかけて、深い味わいを構築している。2、3人でシェアするのにちょうどいいサイズ。
2/8手前は「フォアグラのマカロン」(1個 ¥400)。フォアグラを塩とポルトワインでマリネして、マカロン生地で挟んだ一品。奥は「豚のリエット」(1個 ¥300)で、フランボワーズビネガーをかけたビーツに、乾燥させたパウダーをリエットにかけている。ほのかなフルーツの酸味とサブレのサクサク感が、それをより美味しく仕立てている。
3/8「仔羊のコンフィと豆の煮込み タスマニアマスタードソース」¥2,400。真空パックに入れて低温で長時間火入れしたオーストラリア産の仔羊はクセがなく柔らかで、とても食べやすい。付け合せには、白インゲン豆とひよこ豆を仔羊の骨とミンチで煮込んだものを。タスマニア地方のマスタードを使うソースがアクセントに。
4/8ガラス張りで、夜は楽しそうに談笑する人々の様子が外から伺える。コースの説明や飲み放題プランの説明が貼られているので、入店前に確認できるのも嬉しい。
5/8カウンター席に座ると、オープンキッチンで腕を揮う料理人たちの姿が見られる。ほかのゲストに出される料理を見て、同じものを注文する人もいるとか。
6/8テーブル席が20席、カウンター席が20席。カウンターの席数が多いので、ひとりでも入りやすい雰囲気の店内。仕事帰りに、ひとりで訪れる女性客も多いという。
7/8ワインはフランス、イタリア、ドイツ、スペインなどヨーロッパからと、オーストラリアやチリなどのニューワールドに加え、インドや中欧など珍しい地域からも積極的に取り入れている。
8/8「供し方はカジュアルだけれど、フランス料理ならではの丁寧で細やかな仕込みはしっかりしています」と話すシェフの桺澤裕樹氏。「うちの店はスタッフ自身が楽しみながらお客様と接しています。おひとりでも、是非気軽にいらしてください」
ここ『bar a` vin PARTAGER』の料理は、”つまめるフレンチ”がコンセプト。コース料理仕立てではなく、スペイン料理のタパスの様に、料理を小皿に盛ってシェアするスタイルで提供している。グループ向けのコースや飲み放題プランも用意。気軽にフレンチのおつまみを楽しみつつ、仲間とワイングラスを傾けるひと時を過ごせる。
提供の仕方はカジュアルな一方、料理はフレンチの基本が丁寧に守られた本格派。例えば写真の「フォアグラと宮崎牛の冷製ロッシーニ」は、牛肉のタタキに黒トリュフのソース、さらにテリーヌにしたフォアグラを冷凍し、それを上から削ってかけるという手の込んだ一品。トリュフとフォアグラの二重の味わいを赤ワインと共に楽しめる。
フォアグラをマカロン仕立てにした冷菜、豚のリエットをサクサクとした自家製サブレにのせた冷菜は、いずれも程いい旨味と塩みが効いている。ワインは50ccのハーフグラスも用意しているので、料理に合わせて色々試してみるのも一興だ。「日本とフランスを初めとする海外の質のいい食材、季節の食材をしっかりと取り入れています」と桺澤シェフ。料理のプレゼンテーションも愛らしく、女性客が詰めかけているのも頷ける。
TEXT BY YOSHIKO NAKASHIMA
PHOTO BY ATSUMI ODATE(NDPP.)
bar à vin PARTAGER(バール ア ヴァン パルタージュ) 住所 東京都渋谷区神宮前4-12-10 表参道ヒルズ本館3F 電話 03-6434-9091 営業時間 11:00〜23:00(L.O.22:00)、日曜・祝日 〜22:00 (L.O.21:00) 定休日 無休 ※クレジットカード使用可 ※価格は税別、夜はテーブルチャージ¥300 ※予約をした方がベター
❷ 職人の手仕事が詰まった、フレンチビストロの王道
——Bistrot Quotidien(ビストロ コティディアン)
1/7豚トロ、背脂、赤身に加え、鶏の白レバーを混ぜ合わせた「パテ・ド・カンパーニュ」¥1,300。寝かせ具合いを見極め、ポテンシャルを引き出した、絶妙な旨みが味わえる。
2/7トロトロな豚のほほ肉、コリコリとした耳周り、異なる食感を楽しめる「フロマージュ・ド・テット」¥1,600は、表面をカリッと焼くのがこの店の流儀。酸味が効いたラビゴットソースをたっぷりと絡ませていただきたい。
3/7香ばしい皮面とホロホロの肉が楽しめる鴨肉のコンフィに合わせて、豚肉の旨味をたっぷり含ませた白いんげん豆と自家製ソーセージを煮込んだカスレをアソート。ひと皿で2度美味しい「フランス産 鴨モモ肉コンフィのカスレ」¥3,200。
4/7真っ白なテーブルクロス、赤いベンチシート、ウッディな設えは、パリの古き佳き時代を思わせる正統ビストロの雰囲気。
5/7ガレット・デ・ロワで使用されたフェーブがゲストをお出迎え。取材当日は、フランスの新年で用いられるこの小さな伝統アイテムが大切に飾られていた。
6/7ディスプレイ棚に置かれたヴィンテージの『ミシュランガイド』。なんと、第2次世界対戦以前の1935年版を発見!
7/7オーナーシェフ須藤亮祐氏。昔ながらのレシピを、忠実に、丁寧に繰り返す、職人的美学を尊ぶシェフだ。
『ビブグルマン』の常連である『ビストロ コティディアン』は、シャルキュトリー(肉料理の仕込み)を極めれば、例え高級食材でなくても、こんなにも楽しめるんだ! ということを改めて実感させてくれる店である。店内は気取らず、カジュアルな雰囲気。1999年から2004年までの5年間、フランスのレストランで修業を積んだ須藤シェフが、温かな雰囲気の中でお酒を楽しめる昔ながらのビストロの雰囲気に憧れ、麻布十番の地にそれを再現した。
そして、身近で手に入る食材を一級レベルに磨き上げるのがこの店らしいところ。豚肉は岩手県から半頭買いして解体し、各メニューに使い分けている。ビストロメニューの代名詞「パテ・ド・カンパーニュ」は、仕入れた肉質の個体差を見極め、肉の旨味を最大限に引き出すために部位の配合、寝かせる日数を調整している。「これだけ変化の激しい現代において、今なお生き残っているレシピ、愛されているレシピには必ず理由がある」。そう考える須藤シェフの真摯な姿勢は、全メニューに通底している。
ワインリストはフランス全域をカバーする、およそ80種類。そのほかグラスワインでも赤と白3種類ずつ、シャンパーニュが1種類、計7種類が揃う。その料理はもちろん、ワインだけの利用も楽しめる使い勝手のいい店だ。
TEXT BY TAKASHI TSUCHIDA
PHOTO BY CHISATO NOGUCHI(NDPP.)
Bistrot Quotidien(ビストロ コティディアン) 住所 東京都港区麻布十番3-9-2 タモン麻布2F 電話 03-6435-3241 営業時間 ランチ12:00〜15:00/ディナー18:00〜22:30(日曜〜22:00) 定休日 月曜、第1・第3火曜 ※価格は税抜き ※ディナーのみ別途、パンとテーブルクロス代として¥600のテーブルチャージが必要 ※クレジットカード使用可
❸ 150種類を揃えるワインセラーから選んだ1本を、ビストロ料理と共に
——BiSTRO ViNO(ビストロ ヴィーノ)
1/7「ブイヤベース」¥1,980。ワタリガニ、エビ、ムール貝、白身魚、イカで構築。魚介類をサフランと香味野菜で煮込んだフランスの伝統的家庭料理。スイスチーズのトーストが2個付く。
2/7「本日の生牡蠣」1ピース ¥580。ソースはオリジナルカクテルソース、ポン酢、フレンチビネグレットから選べる。この日は、宮城からの生牡蠣。大粒で食べ応えがあり白ワインがすすむ。
3/7「牛ほほ肉の赤ワイン煮込み」¥2,580。牛ほほ肉をフォンドボーと赤ワインでじっくりと煮込んだ人気の料理。牛肉はトロトロの食感でとても柔らかい。マッシュポテトを添えて、食べ応えのあるひと皿に。
4/7レストラン併設のワインセラーには150種類ものスパークリング、白、赤ワインが揃う。フランス、イタリア、スペイン、オーストラリア、アメリカなど、リストは広範囲に及ぶ。セラーで購入したボトルは、追加料金1,000で、レストランで飲むことができる。
5/7レストランにはカウンター席とテーブル席がある。スタッフには外国人が多く、店内も外国人観光客で賑わう。
6/7地下鉄六本木駅から徒歩3分、六本木ヒルズ至近の場所。ランチ営業もしており、バーガーやサンドウィッチ、サラダ、パスタ、グリルチキン、ステーキフリットなど、外国人も好きな料理がオンメニュー。
7/7「日本ソムリエ協会」認定のソムリエ、ダミアン ボルギさん。フランスのマルセイユ出身で、英語とフランス語が堪能な上、ワインについては日本語でも相談に乗ってくれる。
店内に一歩足を踏み入れると、壁いっぱいにボトルが並んだワインセラーが出迎えてくれる。ここ『BiSTRO ViNO』は、世界各国から150種類ものワインを取り揃えたワイン好きにはたまらない店だ。ボトルで3,000円台からと手が届きやすい価格も嬉しく、購入して持ち帰ることも可能。好みの1本を選び、持ち込み料1,000円を払い、店内で飲むこともできる。
レストランでは、ソムリエにアドバイスをもらいながら選んだワインを、より美味しく飲める様々な料理が揃う。生牡蠣やブイヤベース、牛ほほ肉の赤ワイン煮込みなどフレンチの人気メニューは、現地のレシピをそのまま再現したもの。魚介の出汁がよく出てサフランの効いたブイヤベースは、旨味たっぷりだ。
その他、ジャンボシュリンプカクテル、カラマリフリット、フレンチポテトなど、シャンパンや白、赤ワインを美味しく飲める料理が揃う。おつまみだけでなく、牛ヒレやリブロースステーキ、各種パスタなど、しっかりと食事ができるメニューも並ぶ。通し営業なので、ちょっとひと息つきたい時や、早めの一杯にも立ち寄れる稀有なお店だ。
TEXT BY YOSHIKO NAKASHIMA
PHOTO BY CHISATO NOGUCHI(NDPP.)
BiSTRO ViNO(ビストロ ヴィーノ) 住所 東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル1F 電話 03-5785-3671 営業時間 11:00〜23:30(日曜・祝日〜23:00) 定休日 無休 ※クレジットカード利用可 ※価格は税別
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