年間500軒食べ歩き食べたスイーツは5,000種類以上という、よしもと所属のスイーツ大好き芸人・スイーツなかのさん。そんな彼が、六本木ヒルズ、表参道ヒルズの数あるクリスマス限定スイーツの中から、8種類を選んで試食! スイーツマスターのイチオシとは?
TEXT BY MIHO MATSUDA
PHOTO BY ayako masunaga
2018年クリスマスケーキのトレンドは
「チョコレート」「クラシック回帰」
連日スイーツを食べ歩く、スイーツ芸人・スイーツなかのさん。2018年のクリスマスケーキのトレンドは、ずばり「チョコレートケーキ」。
「2017年に、スイスのバリーカレボー社が新種の〈ルビーチョコレート〉を発売しました。着色料や果汁パウダーを使わず、ルビーカカオ豆から作られています。ダーク、ミルク、ホワイトに続く新しいチョコレートの出現によって、チョコレート界が沸き立っている影響のためか、今年のクリスマスは、チョコレートケーキが多く発表されています」
そして、もうひとつのキーワードは「クラシック回帰」。
「去年は『インスタ映え』など、見た目が華やかなものがピークでした。今年も引き続きその流れはありますが、ショートケーキやチョコレートケーキなど、クラシックなものをアップグレードした親しみとプレミア感のあるケーキが多かく登場している印象があります」
では、これらのトレンド踏まえて、スイーツなかのさんが気になったヒルズのクリスマスケーキを試食! 8つのケーキの特徴を解説します。
ヒルズのクリスマス限定スイーツの特徴をチェック!
❶ ル・ショコラ・アラン・デュカス 六本木
「ル・ショコラ・アラン・デュカスの日本で初のクリスマスケーキです。このブッシュ・ド・ノエルはとにかく食感がいい。表面のチョコレートは厚めでしっかり、中はサクっとしたプラリネ・フィアンティーヌ、クレームショコラ、なめらかなキャラメルとビスキュイショコラが層になっています。ル・ショコラ・アラン・デュカスは、カカオ農園まで足を運んで素材を選び、カカオ豆の焙煎からチョコレートになるまで全てを自社工房で作っていますが、そのこだわりも十分に感じられます。カカオのまっすぐな味わいが伝わってきて、チョコレート好きも大満足。本格派の大人向けということで、お笑いで例えたら博多華丸・大吉さんでしょうか」
❷ ローラズ・カップケーキ 東京
「バタークリームはこってり、という先入観があるかもしれないけれど、こちらのバタークリームはなめらかで、後味がすっきりしているのが特徴です。今回、試食した〈ジンジャーマン〉と〈サンタ〉は、しっとりしたチョコレート生地がベース。〈ジンジャーマン〉のクリームチーズも美味しい。ひとつでも十分食べ応えがあるし、なんと言っても、見た目がかわいいので、ホームパーティや女子会の手土産にぴったり」
❸ イルブリオ
「イルブリオというと、土日のドルチェ〈ペルファボーレ(デザートビュッフェ)〉が大人気で、デザートにも力を入れているレストランです。クリスマスの〈ムースショコラ アグリューム〉は、チョコレートとヘーゼルナッツのプラリネが濃厚です。それ負けずパッションオレンジのジュレが爽やか。パクパクといくらでも食べてしまいそうです。甘いものが得意でない男性や、クリスマスディナーをたっぷり楽しんだあとにも、美味しく食べられるケーキです。お笑いで例えたら、老若男女に人気がある千鳥さんや和牛さんです」
❹ ジャン=ポール・エヴァン
「まず、トンネルから出てきた、小さな列車をモチーフにした形が楽しいですね。味わいはザ・チョコレートケーキ。まっすぐなチョコレートの味わいを堪能していると、最後にスパイシーな余韻を感じます。これはネパール原産の、柑橘系の香りがするという〈ティムットペッパー〉を使っているから。これは今、注目の食材なんですよ。さすが、チョコレートの料理の仕方を知っているショコラティエ! このビュッシュをお笑いで例えたら、ジャルジャルさん。ストレートに面白くて、技が効いています」
❺ クレーム デ ラ クレーム
「シュークリーム専門店の作るプロフィットロールは、それだけでテンションが上がりますね。こちらのお店は、瑞穂たまごを使ったカスタード以外にも、いくつもカスタードの種類があるほどこだわりがあります。チョコレートカスタードクリームも濃厚で、プチシューひとつひとつがとにかくおいしい。フルーツもたくさん乗っていて、お子さんも一緒に家族みんなで楽しめます」
❻ ブリコラージュ ブレッド アンド カンパニー
「今年オープンしたブリコラージュ ブレッド アンド カンパニーの、初のシュトーレンです。ブリコラージュは、大阪のブーランジェリー〈ル・シュクレ・クール〉とオスロの〈FUGLEN〉、東京のフレンチ〈レフェルヴェソンス〉の3店がコラボレートしているのですが、〈ル・シュクレ・クール〉の岩永さんが東京に来て最初のシュトーレンを焼いたそうなので、かなり力が入っていますね。まず、シュトーレンの断面が緑ということが驚きです。これはピスタチオを練りこんでいるからなのですが、他にもイチジクなどのドライフルーツやナッツの食感も効いていています。スパイスの香りも良く、進化系のシュトーレンです」
❼ ジャン=ジョルジュ・トウキョウ
「こちらは一見、チョコレートケーキですが、カットすると、ミルクチョコレートムースの中からフランボワーズムースとピスタチオガナッシュというカラフルな2層が現れます。これは、サプライズのあるケーキですね。周りのキャラメリゼしたナッツやベースのもっちりしたスポンジもアクセントになっています。チョコレートムースも軽やかで、フランボワーズムースの酸味など味に変化があるので、ディナーの後に食べても重くならないケーキです。デコレーションの食用バラが大人の雰囲気です。おしゃれでサプライズもあるという点をお笑いに例えると、オリエンタルラジオさん」
❽ ユーゴ アンド ヴィクトール
「通常のパティスリーでも人気の〈ジョルジュ アマド〉のクリスマスバージョンです。ジョルジュ アマドとは、ブラジルの小説家で、カカオ農園の労働問題を書いたジョルジェ・アマードの名前に由来します。ブランド自体も、『レ・ミゼラブル』のヴィクトル・ユーゴーに由来するなど、文学の香りがしますね。〈ビッシュ ジョルジュアマド〉は、グラサージュのビターチョコレートは大人の雰囲気ですが、中のバニラとショコラのムースは優しい味わいで、どなたにも喜ばれるケーキです。ちょっと背伸びしたい世代のお子さんとも一緒に楽しめると思います」
総評! ヒルズのクリスマスは
都会的で洗練された大人のスイーツ
スイーツなかのさんが食べた、ヒルズのクリスマススイーツの印象は?
「どれも華やかでスタイリッシュ、味も美味しくて、東京らしい都会的なクリスマスケーキでした。六本木ヒルズ、表参道ヒルズは、ワングレード上のクリスマスケーキが手に入るスポットですね。それから、グランド ハイアット 東京のクリスマスケーキも注目です。特に、クリスマスの〈ストロベリーショートケーキ〉は、オーソドックスなケーキに見えるかもしれないけれど、スポンジに自家製のベリーのシロップが染み込んで、口溶けがよくとても美味しい。8層の断面が美しい〈スプレンドーレ〉は、一口の中に味わいの変化があって、さすがスイーツ界のエリート集団が集まるグランド ハイアット 東京です」
では、最後にスイーツなかのさんオススメのスイーツは?
「どれも美味しくて甲乙つけがたいハイレベルなものばかりでしたが、これはすごいぞと唸ったのが、ブリコラージュ ブレッド アンド カンパニーのシュトーレン。僕が試食させていただいたのは、作りたてのシュトーレンですが、時間が経ち美味しさを増したものも食べてみたいです。シュトーレンはシャンパンやワインと合わせても美味しいし、スライスしたチーズを載せるのもおすすめです。ぜひ、絶品スイーツで楽しいクリスマスをお過ごしください。よろスィーツ!」
スイーツなかの|Sweets Nakano
よしもと所属のピン芸人。早稲田大卒。トレードマークは大きなパンケーキハット。スイーツ好きが高じて、5,000種類以上のスイーツを食べ歩いている。日本スイーツ協会認定スイーツコンシェルジュ会員。雑誌、WEBサイトでもスイーツ連載を持つ。SNSでは、日々スイーツ情報を発信中。キメの言葉は「よろスィーツ!」 Instagram:(@yorosweets)
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