IKUKO’S METHOD

夏の技ありワンピース2025!—— 地曳いく子のおしゃれメソッド99

ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のテーマは夏のワンピースです。

STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA

日々の気候に頭もおしゃれも混乱中

前日は夏日で半袖でも暑いぐらいかと思っていたら、翌日は急に冷え込みパーカーを羽織ってもまだ寒いなんていう日もあり、日々寒暖差が激しい5月でした。しかも梅雨!?かと思いきや、亜熱帯地方のような土砂降りの日もあり。私は動物並みに低気圧に弱い体質なので、気持ちも低気圧に圧され気味。そうなると、「おしゃれを考えるのってどうなの?」というモードに入ってしまいます。とはいえ、夏がやってきたら今度は暑さにやられて「おしゃれって?」という状態になるので困ったものです。本来なら、5月、6月はアウターから解き放たれ、コーディネイトで色々とおしゃれを楽しめる季節なのに……。まだ春と夏が交互でやってくるこの気候に頭は混乱中です。そんなとき、私の強い味方となるのがワンピース。以前にもテーマにしましたが、ワンピースは基本的に一枚着てしまえばそれだけでスタイルが完成する優れもの。今回は2025年夏のワンピースをテーマに、今年らしさやコーディネイト活用法を考えてみました。

ブランドのヘリテージである《スペード フラワー》が印象的なケイト・スペード ニューヨークのレースのシャツドレス。スカートはくるぶし前後のかなり長め。同系色のバッグと合わせ、足もとは白のフラットサンダルでカジュアルな抜け感を。シャツドレス¥73,700、バッグ¥51,700、サンダル¥31,900(以上ケイト・スペード ニューヨーク/六本木ヒルズ ヒルサイドB1F

一枚で着ても素敵なリネンワンピース。今年はタンクトップとショートデニムに重ね、コート代わりに羽織ってもおしゃれ。1枚で着るならベルトでウエストマークしたり、個性の強いエスニックなジュエリーを重ねたりして。街中だけでなく旅行先でも何かと活躍してくれる一枚。ワンピース¥50,600(ドゥーズィエム クラス)、タンクトップ¥17,600(アニン・ビン)、ショートパンツ¥42,900(マザー/以上ミューズ ドゥーズィエム クラス ロッポンギ/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F

スカート部分に切り替えが入ったデンハムのシャツドレス。一枚で着てもかわいいのですが、ワイドデニムの上にレイヤーしても素敵。ウエストあたりまでボタンをはずして着こなしてみても。シャツドレス¥41,800、デニムパンツ¥53,900(ともにデンハム/六本木ヒルズ ウェストウォーク4F表参道ヒルズ 本館B1F麻布台ヒルズ タワープラザ2F

インディゴブルーのシャンブレー風ドレス。袖口の切り替えやポケットのステッチにデニムパンツのディテールを取り込んだデンハムらしい一枚。今年なら、白いワイドデニムかショートパンツとのコーディネイトも楽しみたい。ドレス¥69,300(デンハム/六本木ヒルズ ウェストウォーク4F/表参道ヒルズ 本館B1F麻布台ヒルズ タワープラザ2F

一見は白のシンプルなシャツドレスですが、実はバックサイドが一部開いていて、後ろに立体的なドレープを描くデザイン。チノの技ありドレスなのです。コーディネイトで遊ぶなら、カラーのブラトップをインナーにしてデニムを穿いて。シャツドレス¥55,000(チノ/表参道ヒルズ 本館2F

チノのマキシ丈スカートのTシャツドレス。プレーンなデザインに見えますが、絶妙な長さの袖丈や落ち感のきれいなドレープ、光沢のある素材と、只者ではないドレス。茅野さんのデザイン力を感じるシンプルな一枚です。エレガントにミュールでも素敵ですが、オニツカタイガーとのダブルネームスニーカーで大人のカジュアルを楽しんでも。ドレス¥33,000、スニーカー¥22,000(ともにチノ/表参道ヒルズ 本館2F

白いパイピングがあしらわれたバイカラーのエレガントなワンピース。避暑地に出かけたくなります。上品な一着ですが、カジュアルに着崩すのであればスニーカーやフラットサンダルを合わせても。ドレス¥46,200(エストネーション/六本木ヒルズ ヒルサイド1F・2F

構築的なショルダーとアームが印象的なデコラティブなドレス。この一枚で完璧なスタイルが作れます。クラシカルなようで、ボディコンシャスにならないゆるさ加減がコンテンポラリーなシルエットに。長いベルトもハズしのデザインポイントに。ドレス¥121,000(エストネーション/六本木ヒルズ ヒルサイド1F・2F

エンパイアドレスの変形で、胸下からウエストがシャーリングになったケイト・スペード ニューヨークのワンピース。マリリン・モンローを連想させるクラシカルなワンピースですが、今年らしくスカート丈は長め。リボン付きのストラップサンダルを合わせたレトロモダンなコーディネイトで、ロマンティックな世界に没入したいです。ドレス¥68,200、バッグ¥75,900、サンダル¥57,200(以上ケイト・スペード ニューヨーク/六本木ヒルズ ヒルサイドB1F

今年欲しいアイテムはティアードのワンピース。しなやかなデニムなので、重さもなくすっきりと着こなせるデザイン。ブラックキャップとラフィアのバッグで、軽快さのあるスポーティーなスタイルがおすすめ。ティアードドレス¥33,990、キャップ¥8,910、バッグ¥16,940(以上ユナイテッドアローズ/ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F

かなりロングなポロワンピース。首もとが詰まり過ぎない襟元のデザインが秀逸。長い丈との絶妙なバランスとシルエットを作っています。左サイドだけに入ったスリットも技あり。ポロワンピース¥35,200※6月展開予定(ダブルスタンダードクロージング/ソブ ダブルスタンダードクロージング/六本木ヒルズ ヒルサイドB1F

胸元から広がるボリュームにロマンティックな雰囲気が漂う夏ワンピ。厚底やフラットサンダルはもちろんのこと、スニーカーと合わせても。足もとを変えるだけでもスタイルの幅が広がります。ワンピース¥77,000(ダブルスタンダードクロージング/ソブ ダブルスタンダードクロージング/六本木ヒルズ ヒルサイドB1F

メゾン ミハラヤスヒロのシグネチャーともいうべきスーパーレイヤードドレス。ブルゾン、シャツ、ドレスが一体に。タンクトップ+デニムの上に、コートのように羽織ってもおしゃれ。足もともアイコニックなポインテッドスニーカーで。ドレス¥107,800、スニーカー¥41,800(ともにメゾン ミハラヤスヒロ/メゾン ミハラヤスヒロ トウキョウ/表参道ヒルズ 本館B1F

胸元から広がるゆったりとしたシルエットと、贅沢なスカートのボリュームがエレガントなマリハのドレス。着るだけでウルトラ優雅な気分になれる一枚。ドレス¥45,100(マリハ × デミルクス ビームス/ビームス/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F・3F

爽やかな夏のストライプドレス。ティアードのフルレングスワンピは、今年手に入れたい一枚。これを着てビーチテラスでのんびりとした時間を過ごしたいですね。グレーや白のキャップを合わせて。ドレス¥28,600(ヌキテパ/ビームス/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F・3F

ビーチリゾートへと行きたくなるモダンなカラーブロックドレス。一枚で着ても、ブラキャミをレイヤーしても素敵。ビーチサイドなら水着の上に着たいです。ドレス¥22,000、サンダル¥35,000(ともにバナナ・リパブリック/虎ノ門ヒルズ グラスロックB2F

軽やかなピンクのワンピースはシンプルに見えますが、バックのウエスト部分がオープンになった技ありデザイン。ブラキャミをレイヤーして見せても。ドレス¥19,000、バッグ¥30,000(ともにバナナ・リパブリック/虎ノ門ヒルズ グラスロックB2F

百合モチーフの刺繍のデザインとパフスリーブがかわいいブルードレス。アーティストのフリーダ・カーロが着ていそうな、このタイプのドレスが個人的にも好き。以前はふくらはぎぐらいがスタンダードでしたが、こちらは今年らしくかなり長めです。存在感のあるシュシュなどでアクセントをつけて。ドレス¥30,910、シュシュ各¥5,940(以上ユナイテッドアローズ/ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F

地曳いく子が指南する
2025年夏ワンピースのススメ

❶ 時代はフルレングス

リースの際、ワンピースはシワにならないようにロケバスのハンガーパイプに吊るすのですが、今回気になるものを集めてみたらどれもフルレングス。通常なら吊るしの下のスペースに小物類を詰めたバッグを置くのですが、それが重なって置けないぐらい丈が長くなっています。皆様もご自身のクローゼットで薄々気がついているとは思いますが、数年前のものと比べてみると同じようなデザインでも、5㎝、10㎝、ものによっては20㎝も異なってきています。特に今年気になるのは、シャツドレスやティアードのワンピース。同じようなタイプを持っているわと言う人もいらっしゃると思いますが、フルレングスになるだけで、こんなにも印象やバランスが変わるの!?と驚くぐらい。写真では伝わりにくいかもしれませんが、この長さこそ今年らしさの指標。似て非なるものなのでアップデートをしていきましょう。

❷ ワンピースも合わせ技で楽しむ

一枚でスタイルが決まるのがワンピースの利点とお伝えしましたが、合わせ技を楽しむのもじわじわ浸透中。フルレングスのワンピースにおすすめはワイドデニム。以前であれば、スリムなデニムやレギンスを合わせることが多かったかもしれませんが、今年ならワイド。また、フルレングスになったからこそ、思い切ってデニムのショーパンをコーディネイトしても。ロマンティックなティアードワンピースは、ストローハットも素敵ですが、今年はカジュアルにキャップと合わせてみてください。

❸ 完璧なバランスを求めない

フルレングスのロングワンピースに抵抗がある方もいらっしゃると思います。高身長の人じゃないと着こなせないのでは?という質問を受けることもありますが、心配ありません。今は多様性の時代。完璧なバランスなんて必要ありません。私は身長158㎝ですが、ガンガンにフルレングスを着ています。かつては、8頭身や9頭身バランスなんて言っていましたが気にする必要なし。少しでも足を長くしてバランスを取ろうとヒールや厚底サンダルを履いていたと思いますが、今年はフラットなサンダルやスニーカーで。フルレングスだからこそ、軽やかさやカジュアルさが着こなしのポイントになるのです。階段を上がるときは、お姫様気分で前をギュッと持ち上げてください。踏んづけ防止かつ、見た目も優雅になるので。

❹ 過去の非常識は今日の常識!?

私が10代の頃は、フルレングスのワンピースは憧れの世界(少女マンガのお姫様)でした。当時尖っていた私は、洋裁をしていた親戚のお姉さんにフルレングスのワンピースを作ってもらい遊びに行っていましたが、周りからは「いく子ちゃん、今日は昼間からどうしちゃったの?」なんて目で見られたものでした。ファッションは本当に面白いですよね。当時エッジィ過ぎたものが、時代の意識の変化とともに、いつの間にか一般化するのですから。そして、また新たなトレンドが生まれてという風に繋がって。それからワンピースについてもうひと言。以前本にも書いたのですが、日本人は着物というフルレングスのワンピースをずっと着こなしてきた民族。だからこそ、私たちの中にはそれを着こなすDNAがあるはず!この夏はフルレングスのワンピースを楽しんでいきましょう!


profile

地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、女優や著名人のスタイリングも数多く手がける。大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評を持ち、執筆も多く手がける。現在は、ファッションアイテムのプロデュースほか、テレビやラジオに出演するなど多方面で活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)『おしゃれは7、8割でいい』(光文社)『大人の旅はどこへでも行ける 50代からの大人ひとり旅』(扶桑社)など多数。最新刊に『ババアはツラいよ! 番外編 地曳いく子のお悩み相談室 2』(集英社文庫)。

※ 2025年5月現在の情報となります。
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