IKUKO’S METHOD

着たもの勝ち!秋から冬へのニューセットアップ——地曳いく子のおしゃれメソッド92

ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のテーマは、ファッション迷子の季節を解決するセットアップです。

STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA

何を着たらいいのか問題2024秋冬

異常気象が続くと、不思議なことにそれが通常なのだと感じてきてしまいます。夏日というのが25℃以上だと、実は今年初めて気がつきました。この原稿をまとめている今日は10月半ば過ぎ。でも東京都心は30℃に迫る勢い。ということは、私たちはまだ夏日にいたんですね。ショールームに服をお借りしに行ってもプレスの方との会話は、そんな話題ばかりです。でも、朝起きるまで暑いのか寒いのか全くわからない。つい先日も、急に寒くなり16℃なんていう肌寒い朝もありましたから。暑いだけではなく、寒暖差も油断なりません。私の場合、気力も体力も寒暖差にすごく削られます。このミックス気候時代では、かつての季節感の常識のままでいると服装計画も大きく狂ってしまいます。それを解決してくれるのが“セットアップ”です。今季の“問題解決”第2弾、「何を着たらいいのか問題2024秋冬」は、セットアップからまずは考えてみませんか?(配信日はもっと涼しくなっていると願いつつ…)

ジップアップのスポーティーでカジュアルなスタイルとディテールを、スペシャルな生地でレトロエレガンスに仕立てたチノの逸品。程よい丈のスカートはロングブーツと合わせたい。ジャケット¥110,000、スカート¥55,000(チノ/表参道ヒルズ 本館2F

テントラインのフランネルのコートシャツとおそろいのパンツは、今の時代の気候にぴったりな素材と形。コンバットブーツを履いても素敵。上下それぞれ単体でも今の時季から活躍します。シャツ¥60,500、パンツ¥67,100(ワイスリー/表参道ヒルズ 本館B1F

コンパクトなショート丈ジャケットに、サイドポケットがユニークなスカート。セットで着るとY-3の世界にどっぷりと浸かれます。コンサバなアイテムと合わせて着ても素敵なのが耀司さんのなせる業。スカートは、シンプルなクルーネックのコンパクトなニットと組み合わせてもクール。ブルゾン¥60,500、スカート¥79,200(ワイスリー/表参道ヒルズ 本館B1F

オプティカルな柄が印象的なジャカードニットの3ピース。インパクトのある柄のカットソーやニットはトレンドのひとつ。トレンド色の強い難度の高いアイテムこそセットアップで着てみてください。カーディガン¥39,600、ノースリーブトップ¥28,600、パンツ¥35,200(キャバン/麻布台ヒルズ タワープラザ 2F

ヘリンボーンツイードのプリントをあしらったフリースジャージー素材のジャケットとパンツ。見た目だけではプリントとは思えないハイテク技術の逸品。肌触り&着心地がよく、きちんと感が得られるセットアップです。ジャケット¥79,200、パンツ¥45,100(チルコロ/ビームス/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F・3F

細部にこだわったイレギュラーなボリュームとヘムラインがきれいなジャケットとロングスカート。フランネルのあたたかな素材感は、それほど厚みがなくても季節感をアップさせ、冬まで長く楽しめます。ブラウス¥37,400、スカート¥33,000(エーケー ワン/ビームス/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F・3F

上質なカシミヤニットのセットアップ。着ている人だけが感じられる贅沢はまさに“クワイエットラグジュアリー”。ロングネックレスをアクセントにしてさらりとコートを羽織り、颯爽と着こなしたいです。ニット¥165,000、パンツ¥176,000(オスロー/ソブ ダブルスタンダードクロージング/六本木ヒルズ ヒルサイドB1F

独特な色合いとしなやかさがおしゃれな大人のシャツ&ワイドパンツ。流れるようになびくワイドパンツの揺らぎがとても上品。ディナーのときは前をタックインしたりと様々なスタイルを楽しめ、旅にも大活躍してくれそうな一組です。ブラウス¥75,900、パンツ¥75,900(オスロー/ソブ ダブルスタンダードクロージング/六本木ヒルズ ヒルサイドB1F

ハイネックのボリューム感とスカートのフレアのバランスが絶妙なセットアップ。少し寒くなってきたらダウンベストを合わせてもかわいい。ニットトップ¥97,900、スカート¥97,900(ドゥーズィエム クラス/ミューズ ドゥーズィエム クラス ロッポンギ/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F

切りっぱなしのディテールがモード感をアップさせるロングジレとワンピース。ロンTや薄手のニットと合わせてカジュアルに着こなしても素敵ですし、ポインテッドトゥのショートブーツやニーハイブーツでパーティーへお出かけというのもおしゃれ。ロングジレ¥50,600、ワンピース¥42,900(エディション/表参道ヒルズ 本館2F

トラッドな印象の素材をフェミニンな立体感で仕上げたセットアップ。エレガントな印象ですが、ジップアップのディテールなどスポーティーなカジュアルさもあり、デイリーなワードローブとして活躍してくれそう。ブルゾン¥55,000、パンツ¥38,500(ソブ/ソブ ダブルスタンダードクロージング/六本木ヒルズ ヒルサイドB1F

レザーライクな光沢感が上品。同素材のシャツとスカートはセットで着用も可能。シャツをオーバーに着てもいいですし、スカートにタックインしても。インナーに白のタンクトップやTシャツ、寒くなってきたらハイネックのニットに合わせても。シャツ¥39,930、スカート¥29,920(ユナイテッドアローズ/ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F

パフスリーブの立体感がロマンティックなジャケットとパンツ。寒くなってきたら、薄い色のグレーのニットや淡い色系の薄手のインナーと合わせると品よくまとまります。ジャケット¥44,000、パンツ¥33,000(エストネーション/六本木ヒルズ ヒルサイド1F・2F

艶のあるウールサテンで仕立てたオーバーサイズのジャケットとパンツ。フロントボタンの留め方は2WAY。美しいテーラーリングにひねりをきかせたハンサムな一着は、エレガントに個性を引き立ててくれます。ジャケット¥68,200、パンツ¥46,200(エディション/表参道ヒルズ 本館2F

淡い色がきれいなニットのセットアップ。極細のラムウールとカシミヤのブレンドによって、ソフトな風合いと程よいカジュアル感を演出。ジャケットはデニムに合わせても素敵。ジャケット¥56,100、スカート¥47,300(エブール/六本木ヒルズ ウェストウォーク3F

セットで着用できるニット素材のパーカーとラインフレアパンツ。ロックTシャツを中に合わせ、ダウンベストで私は着こなしたいです。フーディー¥49,940、パンツ¥42,900(ユナイテッドアローズ/ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F

地曳いく子が指南する
ニューセットアップのススメ

❶ 難しく考える必要なし! コーディネイトはおまかせ

一枚着れば様になるワンピースは、迷ったときのお役立ちアイテム。そんなことを以前に書きましたが、セットアップも何を着たらいいのか問題を解決するワードローブです。今のトレンドは素材とボリュームで決まります。でもボリュームの絶妙な足し引きのバランスや完璧なコーディネイトは意外と難しいものなのです。でも、セットアップであれば全体のバランスがある程度完成されているので、とりあえず着てしまえばOK。トレンドのシルエットを手に入れることができます。また、インパクトのある柄もセットアップがおすすめ。上下で着れば、難しいと思っていた柄もスッキリまとまります。トレンドチャレンジアイテムにはぴったり。セットで買うだけで色々な問題を一気に解決してくれるセットアップ。今年何かを足すなら絶対おすすめです。

❷ 寒暖差ミックス気候の万能アイテム

寒暖差の激しい季節、だからこそ上下を別々に着られることも重要。汗ばむ日はトップスだけ半袖Tシャツや薄いブラウスに。反対に寒くなってきたらハイテクインナーをレイヤーしたり。温度差に対応できるということは、スタイルの幅も広がるということ。ただし、それぞれで着ても素敵に単品で使えるというアイテムを選ぶ基準にしてください(もちろんアバンギャルドに攻めたい方は別ですが)。

❸ セットアップも多様性

セットアップというと、ひと昔前はスーツなど、ちょっとかしこまったエレガントなイメージでしたが、今はさまざま。スポーティーなトラックスーツもあれば、ストレッチのきいたジャージー素材のスーツもあります。素材のハイテク化も進んで、セットアップも多様化しているので、自分のライフスタイルに合ったタイプを見つけてみましょう。上下揃っているだけで、カジュアルなルックもおしゃれにきちんと感がアップします。

❹ リラックスした大人の余裕を

大人は、リラックスしたセットアップこそラグジュアリーなものを選びたい。目指したいのは、昨年トレンドにも浮上した“クワイエットラグジュアリー”な逸品です。カシミヤニットの上下など、着ている人だけがわかる贅沢さをさらりと着こなしている姿に憧れます。


profile

地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、女優や著名人のスタイリングも数多く手がける。大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評を持ち、執筆も多く手がける。現在は、ファッションアイテムのプロデュースほか、テレビやラジオに出演するなど多方面で活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)『おしゃれは7、8割でいい』(光文社)『大人の旅はどこへでも行ける 50代からの大人ひとり旅』(扶桑社)など多数。最新刊に『ババアはツラいよ! 番外編 地曳いく子のお悩み相談室 2』(集英社文庫)。

※ 2024年10月現在の情報となります。
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