ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のテーマは、ファッション迷子の季節を解決するセットアップです。
STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA
何を着たらいいのか問題2024秋冬
異常気象が続くと、不思議なことにそれが通常なのだと感じてきてしまいます。夏日というのが25℃以上だと、実は今年初めて気がつきました。この原稿をまとめている今日は10月半ば過ぎ。でも東京都心は30℃に迫る勢い。ということは、私たちはまだ夏日にいたんですね。ショールームに服をお借りしに行ってもプレスの方との会話は、そんな話題ばかりです。でも、朝起きるまで暑いのか寒いのか全くわからない。つい先日も、急に寒くなり16℃なんていう肌寒い朝もありましたから。暑いだけではなく、寒暖差も油断なりません。私の場合、気力も体力も寒暖差にすごく削られます。このミックス気候時代では、かつての季節感の常識のままでいると服装計画も大きく狂ってしまいます。それを解決してくれるのが“セットアップ”です。今季の“問題解決”第2弾、「何を着たらいいのか問題2024秋冬」は、セットアップからまずは考えてみませんか?(配信日はもっと涼しくなっていると願いつつ…)
地曳いく子が指南する
ニューセットアップのススメ
❶ 難しく考える必要なし! コーディネイトはおまかせ
一枚着れば様になるワンピースは、迷ったときのお役立ちアイテム。そんなことを以前に書きましたが、セットアップも何を着たらいいのか問題を解決するワードローブです。今のトレンドは素材とボリュームで決まります。でもボリュームの絶妙な足し引きのバランスや完璧なコーディネイトは意外と難しいものなのです。でも、セットアップであれば全体のバランスがある程度完成されているので、とりあえず着てしまえばOK。トレンドのシルエットを手に入れることができます。また、インパクトのある柄もセットアップがおすすめ。上下で着れば、難しいと思っていた柄もスッキリまとまります。トレンドチャレンジアイテムにはぴったり。セットで買うだけで色々な問題を一気に解決してくれるセットアップ。今年何かを足すなら絶対おすすめです。
❷ 寒暖差ミックス気候の万能アイテム
寒暖差の激しい季節、だからこそ上下を別々に着られることも重要。汗ばむ日はトップスだけ半袖Tシャツや薄いブラウスに。反対に寒くなってきたらハイテクインナーをレイヤーしたり。温度差に対応できるということは、スタイルの幅も広がるということ。ただし、それぞれで着ても素敵に単品で使えるというアイテムを選ぶ基準にしてください(もちろんアバンギャルドに攻めたい方は別ですが)。
❸ セットアップも多様性
セットアップというと、ひと昔前はスーツなど、ちょっとかしこまったエレガントなイメージでしたが、今はさまざま。スポーティーなトラックスーツもあれば、ストレッチのきいたジャージー素材のスーツもあります。素材のハイテク化も進んで、セットアップも多様化しているので、自分のライフスタイルに合ったタイプを見つけてみましょう。上下揃っているだけで、カジュアルなルックもおしゃれにきちんと感がアップします。
❹ リラックスした大人の余裕を
大人は、リラックスしたセットアップこそラグジュアリーなものを選びたい。目指したいのは、昨年トレンドにも浮上した“クワイエットラグジュアリー”な逸品です。カシミヤニットの上下など、着ている人だけがわかる贅沢さをさらりと着こなしている姿に憧れます。
地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、女優や著名人のスタイリングも数多く手がける。大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評を持ち、執筆も多く手がける。現在は、ファッションアイテムのプロデュースほか、テレビやラジオに出演するなど多方面で活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)『おしゃれは7、8割でいい』(光文社)『大人の旅はどこへでも行ける 50代からの大人ひとり旅』(扶桑社)など多数。最新刊に『ババアはツラいよ! 番外編 地曳いく子のお悩み相談室 2』(集英社文庫)。
※ 2024年10月現在の情報となります。
※ 表示価格は全て税込価格です。
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