ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のテーマは秋ブラウスです。
STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA
おしゃれ再起動気温は28℃!?
ようやく最高気温が30℃近くで落ち着き、朝や晩はそれを下回るようにもなってきました。朝起きて、28℃だったりすると、「今日は何を着ようかな」という気持ちになり、おしゃれ意欲にスイッチが入ります。35℃を超える猛暑日には、半袖すら見たくも着たくなかったですから。私の場合、この夏はほとんどノースリーブ一択で過ごしていました。二の腕&脇汗問題なんて、もうよしとしましょうという夏でした。どうやら私にとってのおしゃれ再起動気温は28℃のようです。やっとおしゃれ心が復活し始めたと思ったら、もう8月も終わり。季節は夏から秋へ。ですが暑さはまだ続きそうです。でも、ちょっとは秋らしいおしゃれがしたい! そんな今こそ、ブラウスです。ハーフスリーブからロングスリーブまで、レースあり、コットンありの初秋ブラウス(&シャツ)で、おしゃれ心を取り戻しましょう。
地曳いく子が指南する
秋ブラウスのススメ
❶ 気持ちの切り替えスイッチ
二の腕を出しながらずっと夏を過ごしてきましたが、そろそろ袖や襟があるものを着てみたい乙女心が戻ってきました。かつてアメリカでは9月のレイバー・デー(9月の第1月曜日)を過ぎたら、白い靴を履いてはいけない、ノースリーブもパーティー以外では着てはいけない、なんていう鉄のおしゃれルールがあったみたいです。つまり、9月になったらもう夏物は着るべからずということです。地球の気候事情が変わってきたこともあるので、そこまで厳しい必要はないのですが、やっぱり気持ち的にも秋物が着たいですよね。だったら、お袖がある秋色のブラウスです。9月になっても残暑は厳しいです。それは重々承知しています。でも、その1枚を着れば秋を感じる、そうした気持ちの切り替えスイッチこそが大事なのです。
❷ シアーな素材とゆったりシルエット
今回紹介するブラウス&シャツたちは、どれも薄さと軽さのあるものとなりました。なぜなら、私の手がそれしか選べなかったから。手先センサーが暑すぎて厚手素材は無理!となり、シアーなものしか掴めなかったのです。でも、その感覚こそ正しいのでは、と最近思っています。先取りするのがファッションの醍醐味ですが、今の気持ちを一番に考えることも大切。だってせっかく素敵な服を買っても、そのときの気持ちに合わなかったら、結局着ないままになってしまいますから。それに、シアーな素材やレースのものは、意外と長く使える便利アイテムでもあるのです。残暑が厳しい今はブラキャミの上に着て、季節が進んだらグレーや白のハイネックのインナーの上にレイヤーすれば、旬なスタイルに。さらに、この時季なら、お袖はゆったりとしたものを選びましょう。ぴったりシルエットは薄くても、まだこの暑さではその気分にならないので(私の場合ですが)。ノースリーブワンピやタンクトップにレイヤーもできますしね。もちろん一枚でさらりと着こなしても。
❸ シンプルなものほど着こなしで差がつくも
ブラウスは、同じものでも着こなし次第でかなり印象が変わります。初秋は、軽やかさ涼しさが大切。今の時季なら、前を開けて、後に引っ張り襟を抜いて着こなしてください。シンプルなものほど、“着っぱなし”はNG。ボタンの開け方、襟の抜き方、タックインの仕方ひとつでおしゃれ度が変わってきます。ゆるシルエットのタックインのコツは、①親指と4本の指でおへそ辺りの真ん中を上につまむ、②下の余った部分を4本指ごと内側へキュッと入れる、③上のつまんだ部分を被せて整える。バランスは人それぞれなので、自分のちょうどを見つけてください。最後にボトムについてひと言。秋の気持ちを取り入れたいのであれば、ボトムをベージュやネイビー、グレーにすると、より一層気分が上昇します。
地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、女優や著名人のスタイリングも数多く手がける。大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評を持ち、執筆も多く手がける。現在は、ファッションアイテムのプロデュースほか、テレビやラジオに出演するなど多方面で活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)『おしゃれは7、8割でいい』(光文社)『日々是混乱』(集英社)など多数。最新刊に『大人の旅はどこへでも行ける 50代からの大人ひとり旅』(扶桑社)。
※ 2024年8月現在の情報となります。
※ 表示価格は全て税込価格です。
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