IKUKO’S METHOD

初秋への一歩はブラウスから——地曳いく子のおしゃれメソッド90

ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のテーマは秋ブラウスです。

STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA

おしゃれ再起動気温は28℃!?

ようやく最高気温が30℃近くで落ち着き、朝や晩はそれを下回るようにもなってきました。朝起きて、28℃だったりすると、「今日は何を着ようかな」という気持ちになり、おしゃれ意欲にスイッチが入ります。35℃を超える猛暑日には、半袖すら見たくも着たくなかったですから。私の場合、この夏はほとんどノースリーブ一択で過ごしていました。二の腕&脇汗問題なんて、もうよしとしましょうという夏でした。どうやら私にとってのおしゃれ再起動気温は28℃のようです。やっとおしゃれ心が復活し始めたと思ったら、もう8月も終わり。季節は夏から秋へ。ですが暑さはまだ続きそうです。でも、ちょっとは秋らしいおしゃれがしたい! そんな今こそ、ブラウスです。ハーフスリーブからロングスリーブまで、レースあり、コットンありの初秋ブラウス(&シャツ)で、おしゃれ心を取り戻しましょう。

一見レディでクラシカルなリボン付きブラウスですが、サイドに切り替えが入ったドルマンスリーブのゆったりシルエット。ドレープ性のあるなめらかな質感は、暑さの残る秋に最適。ハイウエストのワイドデニムに合わせるとかわいいです。ブラウス¥31,900(エッフェ ビームス/ビームス/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F・3F

張り感のあるシアーなオーガンジー素材のブラウス。タンクトップの上に着たり、季節が進んだら薄手のグレーや黒のハイネックのインナーとレイヤーしたり。白いシャツやシャンブレーのシャツに重ねてもかわいい。デザイン性のある一着は、シンプルなインナーとの組み合わせで、意外と汎用性があります。ブラウス¥24,200(ユナイテッドアローズ/ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F

秋の気分を足してくれるベージュのシャツ。5分袖ぐらいのちょっと長めの半袖は、今すぐ活躍するはず。一枚で着るなら、上のボタンを開け、少し後ろに引いて着ても。ブラウス¥36,300(エブール/六本木ヒルズ ウェストウォーク3F))

繊細なふわふわとした糸のフリンジが包み込むアートピースのようなチノのシャツ。オーバーで着ても、タックインしても素敵。シャツ¥39,600(チノ/表参道ヒルズ 本館2F

3つボタンの長めカフスにバルーンシルエットがロマンティックなシャツ。ヘムラインが絞られているので、ほどよい量感がありバランスがとりやすいです。シャツ¥39,600(チノ/表参道ヒルズ 本館2F

コード刺繍のレースが美しいフレアブラウス。袖の立体的なボリュームがエレガント。グレーや白のハイネック、またはクルーネックのインナーと合わせても。着こなし次第で、長く楽しめます。ブラウス¥74,800(ボーヴェット/デザインワークス ドゥ・コート六本木ヒルズ店/六本木ヒルズ ウェストウォーク3F

シャキッとした白のスキッパーシャツ。今の時季は後ろに抜いて、首もとを涼しげにして着こなしたい。デニムにも似合いますが、夏には暑くて無理だったレギンスと合わせて着たいです。シャツ¥30,800(バグッダ/ビームス/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F・3F

パターンの異なるチェックの切り替えが素敵な透け感のあるブラウス。細かいピンタックとフリルをあしらった甘さを、ネイビーのボウタイが引き締めてくれます。ボウタイはラフに垂らしても、もちろんリボンに結んでも。ブラウス¥38,500(ソブ/ソブ ダブルスタンダードクロージング/六本木ヒルズ ヒルサイドB1F

共布のスカーフ付きの白いシャツ。ボタンをきちんと締めればエレガント、ラフにスカーフを結び開けて着れば爽やかな印象に。シンプルですがプレーンなホワイトシャツではないところがミソ。シャツ¥22,000(エディション/表参道ヒルズ 本館2F

鳥のグラフィックを背中にあしらったスーパーモダンなY-3のシャツ。ジャケットのように羽織ってもおしゃれ。シャツ各¥42,900(ワイスリー/表参道ヒルズ 本館B1F

爽やかな張り感のあるショート丈のシャツ。スリーブにほどよいボリュームがあり、この時季に着こなしやすい一枚。シャツ¥45,100(マッキントッシュ/ミューズ ドゥーズィエム クラス ロッポンギ/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F)

ショルダーの切り替えやボリューミーな袖のデザインが素敵なショート丈シャツ。ボレロ感覚で羽織れる一枚。ボトムは、ベージュやグレー、ネイビーなど秋を感じさせる色とコーディネイトをして。シャツ¥35,200(ダブルスタンダードクロージング/ソブ ダブルスタンダードクロージング/六本木ヒルズ ヒルサイドB1F

ねじれ捲れ上がったかのような遊びのあるデザインが印象的なチェック柄のシャツ。おしゃれ再起動気温の28℃前後になったら、デザイン性があるものが着たくなります。本格的な秋へのブリッジとして一枚持つだけで秋へと気分が変わります。シャツ¥86,900(リトコフスカ/エストネーション/六本木ヒルズ ヒルサイド1F・2F

ゆったりとした透け感のある黒のブラウス。バックサイドのボウはリボン結びにしたり、垂れ下げたままにしたり、いろいろな着こなしを楽しんで。ブラウス¥52,800(コラム/エストネーション/六本木ヒルズ ヒルサイド1F・2F

ボリューミーな袖がロマンティックなコットンブラウス。ルームのあるゆったりとした感じがこの季節にぴったりな一枚。ブラウス¥24,200(エディション/表参道ヒルズ 本館2F

素材感のあるモーヴピンクのシャツは、秋を感じさせるくすみのある色ですが、光沢感がシックでエレガントに。前をきちんと留めて着てもかわいいですし、開けてジャケットのように着こなしても。ボトムにアスレチックパンツを合わせてもクール。シャツ¥42,350(ワイスリー/表参道ヒルズ 本館B1F

地曳いく子が指南する
秋ブラウスのススメ

❶ 気持ちの切り替えスイッチ

二の腕を出しながらずっと夏を過ごしてきましたが、そろそろ袖や襟があるものを着てみたい乙女心が戻ってきました。かつてアメリカでは9月のレイバー・デー(9月の第1月曜日)を過ぎたら、白い靴を履いてはいけない、ノースリーブもパーティー以外では着てはいけない、なんていう鉄のおしゃれルールがあったみたいです。つまり、9月になったらもう夏物は着るべからずということです。地球の気候事情が変わってきたこともあるので、そこまで厳しい必要はないのですが、やっぱり気持ち的にも秋物が着たいですよね。だったら、お袖がある秋色のブラウスです。9月になっても残暑は厳しいです。それは重々承知しています。でも、その1枚を着れば秋を感じる、そうした気持ちの切り替えスイッチこそが大事なのです。

❷ シアーな素材とゆったりシルエット

今回紹介するブラウス&シャツたちは、どれも薄さと軽さのあるものとなりました。なぜなら、私の手がそれしか選べなかったから。手先センサーが暑すぎて厚手素材は無理!となり、シアーなものしか掴めなかったのです。でも、その感覚こそ正しいのでは、と最近思っています。先取りするのがファッションの醍醐味ですが、今の気持ちを一番に考えることも大切。だってせっかく素敵な服を買っても、そのときの気持ちに合わなかったら、結局着ないままになってしまいますから。それに、シアーな素材やレースのものは、意外と長く使える便利アイテムでもあるのです。残暑が厳しい今はブラキャミの上に着て、季節が進んだらグレーや白のハイネックのインナーの上にレイヤーすれば、旬なスタイルに。さらに、この時季なら、お袖はゆったりとしたものを選びましょう。ぴったりシルエットは薄くても、まだこの暑さではその気分にならないので(私の場合ですが)。ノースリーブワンピやタンクトップにレイヤーもできますしね。もちろん一枚でさらりと着こなしても。

❸ シンプルなものほど着こなしで差がつくも

ブラウスは、同じものでも着こなし次第でかなり印象が変わります。初秋は、軽やかさ涼しさが大切。今の時季なら、前を開けて、後に引っ張り襟を抜いて着こなしてください。シンプルなものほど、“着っぱなし”はNG。ボタンの開け方、襟の抜き方、タックインの仕方ひとつでおしゃれ度が変わってきます。ゆるシルエットのタックインのコツは、①親指と4本の指でおへそ辺りの真ん中を上につまむ、②下の余った部分を4本指ごと内側へキュッと入れる、③上のつまんだ部分を被せて整える。バランスは人それぞれなので、自分のちょうどを見つけてください。最後にボトムについてひと言。秋の気持ちを取り入れたいのであれば、ボトムをベージュやネイビー、グレーにすると、より一層気分が上昇します。


profile

地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、女優や著名人のスタイリングも数多く手がける。大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評を持ち、執筆も多く手がける。現在は、ファッションアイテムのプロデュースほか、テレビやラジオに出演するなど多方面で活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)『おしゃれは7、8割でいい』(光文社)『日々是混乱』(集英社)など多数。最新刊に『大人の旅はどこへでも行ける 50代からの大人ひとり旅』(扶桑社)。

※ 2024年8月現在の情報となります。
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