ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のテーマは、初夏から楽しむサンダルです。
STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA
隠れテーマは多様性
春を通り越して、一気に初夏の気温へと上昇した4月でした。となると、さっそく気になったのがサンダルです。今は多様性の時代。ファッションの世界も、人それぞれの価値観が主軸となってきています。それはサンダルひとつ取っても同じ。ひと昔前は、“こうあるべき”とか“これさえあれば”なんて言葉がファッション誌に飛び交い、絞り込んだ提案がなされてきました。それさえ買って、それさえ履けば、トレンド感が保証されてきたわけです。でも、気づいてしまったんです。みんなが一緒ではないということを。車移動の人、電車での移動の人、また脚力によっても履けるサンダルは異なってきます。多様性を尊重する今、“これさえ”というのは、ガラガラと音を立てて崩れ去り、ワンシーズンでも幅広いレンジの中から選べる時代になったのです。もちろん、自由に選べる楽しさが増えた分、迷子になることもあります。そこで今回は、自分のお好みで選べるスポーティーなカジュアルサンダルと、エレガントなシンデレラサンダルを集めてみました。初夏の風に誘われ、今年らしさを添えてくれる素敵サンダルで、街へバカンスへと繰り出しましょう。
地曳いく子が指南する
サンダル選びの心得
❶ カジュアルなサンダルがラグジュアリーに進化
ラグジュアリーブランドのラインナップに、スポーティーかつカジュアルなサンダルが並ぶのはもう当たり前のこと。20年ほど前の話ですが、ニューヨークでコスメのカジュアルなランチパーティーに招待された時、グッチのスーツにスポーティーなサンダルを合わせて行ったことがあったんです。そのときはまだ時代が早すぎたようで、まわりから白い目で見られ、居心地が悪かったのですが、今やどうでしょう。すっかり、このタイプのサンダルも、ラグジュアリーなおしゃれアイテムとしても市民権を得てきました。時代が変わるって、こういうことなんだなと、改めて実感するこの頃です。選べる時代。カジュアルな足もとでラグジュアリーを取り入れるのもひとつです。
❷ 変わらないようで変化している
毎年さまざまなテクノロジーが詰め込まれ、進化し続けているサンダル。ウェッジソールやプラットフォームサンダルは軽やかになり、歩ける厚底へと進化。以前の厚底とは比べ物になりません。ハイテクノロジー=ラグジュアリーが今なのです。また、忘れてはいけないのが、素材の進化やバランス感の変化。服と同じで、以前持っていたものと同じ形に見えて、ストラップの素材やデザインバランスが時代とともに変わってきています。同じタイプのサンダルだからと昔のものを引っ張り出すと、どこか時代遅れな足もとをつくってしまうこともあるので気をつけて。
❸ シンデレラサンダルはディテールで遊ぶ
パーティーに履きたいエレガント系サンダルは、多様化したヒールの形に注目。ウェッジソールやチャンキーヒールに加え、構築的なヒールなど、アートピースのようなデザインものが登場。ラインストーンのアクセントなど、遊びのあるディテールもトレンド。足にかわいい素敵を足すあなただけのシンデレラ靴を探してください。
❹ 多様なデザインだからこそ試し履きは必須
バッグとは異なり、靴は足との相性が合ってこそ。ときどき、片足だけ試し履きする人を見かけますが、必ず両足で。また、立つだけでなく、数歩は歩いてみてください。ニューヨークコレクションに通っていた頃は、高級デパートで靴をよく購入していましたが、ソファのあるサロンのような売り場ではラグジュアリーな皆様が2、3メートルはガンガンと歩いて試していました。そこまではできないとしても、人それぞれに重心のかけ方があるので、デザインだけで決めるのではなく、必ず数歩は歩いて試し履きをして、しっくりくるヒールを選んでください。体型とのバランスもあるので、履いた時の全身を鏡でチェックするのも忘れないように。それが、この多様性時代のサンダル選びの必勝法です。
地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、女優や著名人のスタイリングも数多く手がける。大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評を持ち、執筆も多く手がける。現在は、ファッションアイテムのプロデュースほか、テレビやラジオに出演するなど多方面で活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)『おしゃれは7、8割でいい』(光文社)『日々是混乱』(集英社)など多数。最新刊に『大人の旅はどこへでも行ける 50代からの大人ひとり旅』(扶桑社)。
※ 2024年4月現在の情報となります。
※ 表示価格は全て税込価格です。
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