ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のテーマは、素材やかたちにひねりのきいた技ありパンツです。
STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA
今買い足すなら個性派パンツ
9月も終わりに近づき、ようやく秋らしい涼しさを感じるようになってきました。ですが、週間天気予報をみると、東京の昼間はこの先も30度を超える日もあり、まだ少し暑さともお付き合いがあるようです。とはいえ、さすがにもう夏物にはお世話になれない気分。でも暑い。何を買って、何を着ていいのか分からない迷宮の季節の到来です。そこで、今年はまず技ありパンツを手に入れることをおすすめ。デザインや素材、シルエットに凝った個性派パンツを選んでみてはどうでしょうか。秋らしいカーキやダーク系にカラーをおさえておけば、暑い日にはシンプルなノースリーブや半袖を合わせても違和感なく、時には足もとにサンダルを持ってきてもOK。もちろん寒い季節になればカシミアセーターと合わせても。上半身はシンプルに温度調整、ウエストから下で秋の気分を投入していきましょう。
地曳いく子が指南する
技ありパンツのススメ
❶ ボトムスでトレンドを取り入れる
かつては、春夏秋冬でファッションを考えていましたが、季節が曖昧となってきた今、秋だから秋物ではなく、今の自分の気持ちや感覚で服を楽しむべきではないかと思います。導入文にも書きましたが、まだ暑い日もあるので、全身秋冬物というにはまだ早い。だからこそ、秋のはじまりはボトムスからおススメしたいのです。トップスで温度調整、ボトムスで季節感を取り入れる。今年は、クラッシュドベルベットやデニムライクなウールなど、ユニークな素材も登場しています。季節の気分をファッションに取り入れるなら、トレンドの素材感をパンツで足すだけで、ぐっと気持ちも変わります。
❷ 気分で変えるシルエット
裾をスナップで留めるとサルエル風、外したままならワイドシルエット。そんな技ありパンツを数年前に《チノ》で購入し、お気に入りでずっと穿いています。今季の展示会で、そうした技ありパンツがあちこちで目に飛び込んできました。裾にドローストリングがついたものや、インサイドにジッパーが施されたものなど。トップスとのバランスで裾を絞ったり、気分でボリュームを変化させて穿いたり、1本で2つのシルエットが楽しめるデザインです。シンプルなパンツはすでにお持ちだと思いますので、この秋は技ありパンツで変化をつけてみてください。
❸ 個性派デザインでスタイルを完成させる
穿いてみてはじめてシルエットが分かる個性的なデザインパンツも今季ならでは。ウエストのタックでつくる”ボンタン”のような(笑)ユニークなボリュームや、円を描くようなパターンなど、ハンガー面(づら)だけではわからないラインのパンツが多く登場しています。美しいシルエットで足長にみせる「コンサバきれい」なシルエットは、もう20世紀の遺物。ゆるみやたるみを利用して、個性でスタイルを完成させるのが、今年らしさのポイントです。
❹ パンツのサイズは腰とお尻に聞くべし
パンツは腰から落ちるラインが大事。購入するときは、いつものサイズにプラスして上下の大きさのものもあわせて試着してみましょう。デザインが入るとサイズも変わってくるので、ウエストで一概にサイズ選びはできません。パンツは腰で穿くものですからね。今の自分の体型に馴染むデザインとサイズを見つけていきましょう。
地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、女優や著名人のスタイリングも数多く手がける。大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評を持ち、執筆も多く手がける。現在は、ファッションアイテムのプロデュースほか、テレビやラジオに出演するなど多方面で活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)『おしゃれは7、8割でいい』(光文社)『日々是混乱』(集英社)など多数。最新刊に『60歳は人生の衣替え』(集英社)。
※ 2023年9月現在の情報となります。
※ 表示価格は全て税込価格です。
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