ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のテーマは、プレフォールで取り入れたい透け感です。
STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA
いま必要なのはエアリーな感覚
まさに夏本番という今日この頃ですが、ファッションの世界ではプレフォールがすでに立ち上がっています。なかでも今季注目したいのが、透け感のある素材。秋冬の展示会ではプレフォールでも、シフォンをはじめ、チュールやレース、メッシュなど多種多様なシースルーアイテムが登場していました。実はこのテーマ、夏に向けての企画でと思っていたのですが、むしろこれからが本番なのでは!? と思い、8月デリバリーのプレフォールで取り上げてみることに。最近の気候は暑い期間が長く、秋を感じはじめたと思ったら、即冬に突入というような気がします。いわゆる秋は2週間ぐらいしかないのでは?と思うのは私だけでしょうか?でも、透け感素材なら、今からでもガンガン着倒すことができ、涼しくなってきたらレイヤーするなど、季節のブリッジものとしても長く活躍してくれます。夏ものとは異なり、モノトーンやシックな色が揃うので、気分の切り替えにもぴったり。エアリーで軽やかな一枚を手に入れ、暑さを乗り切り、トレンドのシアー先取りで気分は秋も楽しんでいきましょう。
地曳いく子が指南する
透け感プレフォールのススメ
❶ ブラキャミという最強の相棒がいるので
透け感のあるアイテムというと、かつては「どうやって着るのか?」問題が先に頭をよぎっていました。ライナー付きであっても、ライナーとブラ紐の二重問題が勃発したり、ライナーの襟ぐりと本体のフィット感がいまいちだったり(これは、あくまでも私の経験ですが)。すっきりと着こなすのが難しく、シースルーは、おしゃれ上級者だけが着こなす高度なアイテムでした(もしくは、夜にクラブへ行く時!? )。でも今は、胸元が美しく開いたブラキャミなど、進化したカップ付きインナーの台頭のおかげで、そんな問題も緩和されつつあります。お陰で攻めたモード系だけでなく、ボウタイブラウスやコンサバなシャツなど、取り入れやすいアイテムも多く登場しています。普段使いの透け感トップス+ブラキャミでおしゃれをアップグレードしてみませんか。
❷ 気負わず気楽に、自由な心意気で
時代のカジュアル化志向とともに、透け感素材のおしゃれも自由度がアップしています。ラブリーな透け感ワンピースも、スニーカーやスポーティーなサンダルを合わせれば、いつものおしゃれにも投入可能。それだけで、こなれた感がアップします。以前だったら、ラブリーな同系の靴やエスパドリーユを合わせ、リゾートオンリーなムードに偏りがちでした。軽い気持ちで毎日のスタイルに取り入れるのが今年。涼しくなってきたら、ジャケットを重ね、透け感を覗かせてみるのも素敵です。
❸ おうちケアもOKなさらっと感
とにかく素材の進化がとまりません。かつての透け感の代表格といえば、シルクシフォン。ですが、一回着たら即クリーニングへ直行。出すのも面倒、取りに行くのも面倒。お金もかかりました。今のシアー素材は、ネットに入れて洗濯機のおしゃれ着コースでOKなものも増えています。機能性だけでなく質感もしなやか。しかも、汗をかいても乾きやすく、背中のべとつきも軽減(コットンなどの天然素材はそうはいかない! )。見た目も自分も涼しげなプレフォール、トライしてみる価値はありますよ。
❹ タグは切るの切らないの!?
透け感素材についてまわるタグ問題。私はというと、タグは切る派です。基本的に洗濯情報なので、自分が知っていれば要らないですから。でも、転売する予定があるなら、タグが付いていないと売れないのでご注意を(笑)。そんなときは、小さく折り畳んで、両面テープでくっつけてしまうと目立たなくなります。撮影の時の対処法ですが、タグの面積が半分になっただけでも印象は異なってきますので、試してみてください。
地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、女優や著名人のスタイリングも数多く手がける。大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評を持ち、執筆も多く手がける。現在は、ファッションアイテムのプロデュースほか、テレビやラジオに出演するなど多方面で活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)『おしゃれは7、8割でいい』(光文社)『日々是混乱』(集英社)など多数。最新刊に『60歳は人生の衣替え』(集英社)。
※ 2023年7月現在の情報となります。
※ 表示価格は全て税込価格です。
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