IKUKO’S METHOD

透け感で軽やかに、ひと足お先にプレフォール——地曳いく子のおしゃれメソッド77

ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のテーマは、プレフォールで取り入れたい透け感です。

STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA

いま必要なのはエアリーな感覚

まさに夏本番という今日この頃ですが、ファッションの世界ではプレフォールがすでに立ち上がっています。なかでも今季注目したいのが、透け感のある素材。秋冬の展示会ではプレフォールでも、シフォンをはじめ、チュールやレース、メッシュなど多種多様なシースルーアイテムが登場していました。実はこのテーマ、夏に向けての企画でと思っていたのですが、むしろこれからが本番なのでは!? と思い、8月デリバリーのプレフォールで取り上げてみることに。最近の気候は暑い期間が長く、秋を感じはじめたと思ったら、即冬に突入というような気がします。いわゆる秋は2週間ぐらいしかないのでは?と思うのは私だけでしょうか?でも、透け感素材なら、今からでもガンガン着倒すことができ、涼しくなってきたらレイヤーするなど、季節のブリッジものとしても長く活躍してくれます。夏ものとは異なり、モノトーンやシックな色が揃うので、気分の切り替えにもぴったり。エアリーで軽やかな一枚を手に入れ、暑さを乗り切り、トレンドのシアー先取りで気分は秋も楽しんでいきましょう。

袖にボリュームのあるチュールのブラウス。天使の羽衣のようなエアリーな一枚ですが、襟元が黒で締めてあるので甘くなり過ぎず、パンツでもスカートでも合わせやすいです。ブラウス¥40,700(エッフェ ビームス/ビームス/六本木ヒルズ ウェストウォーク 2F・3F

ニットとシアーな素材とのコンビネーションに、秋先取り感が漂うユニークなベスト。暑い時季は、ノースリーブのトップにレイヤーして。少し涼しくなってきたら、ボウタイブラウスや黒のシャツに重ねてもかわいいです。ベスト¥49,500(ユナイテッドアローズ/ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店/六本木ヒルズ ウェストウォーク 2F

程よくエレガントなボウタイブラウス。暑い日は、リボン結びをせず、一回通しで長く流して着ても。ハイウエストのワイドパンツと合わせたいです。ブラウス¥29,700(ユナイテッドアローズ/ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F

大きな胸ポケットがアクセントになったシンプルなシアーシャツ。スタンダードな形だからこそアップデートしたい一枚。インでもアウトでも様々な着こなしができる万能アイテム。シャツ¥53,900(オスロー/ソブ ダブルスタンダードクロージング/六本木ヒルズ ヒルサイド B1F

張り感と光沢が美しいグリーンのブラウス。一枚あるだけで気分があがります。今年、色を取り入れるならグリーンがおすすめ。ブラウス¥26,400(エストネーション/六本木ヒルズ ヒルサイド 1F・2F

ハードなウエストまわりにチュールのレイヤーを組み合わせた甘辛なチノのスカート。チノのスタイルブックでは、膝丈ぐらいのシャツやワンピースをスカートの中に合わせた技ありスタイリングを披露。真似したくなるアイデアです。スカート各¥66,000(チノ/表参道ヒルズ 本館2F

立体的なフラワーモチーフの装飾がラブリーな白のセットアップ。スポーティーなサンダルやスニーカーで合わせ、足し引きのあるスタイルで。トップ¥35,200、スカート¥47,300(ソブ/ソブ ダブルスタンダードクロージング/六本木ヒルズ ヒルサイド B1F

シアー感がきれいな薄手のドルマンスリーブ型のカーディガン。コンパクトになるので、旅行のときに一枚持っていると便利。室内の冷房対策としても活躍。羽織るだけで気分も変わります。カーディガン¥14,300(デミルクス ビームス/ビームス/六本木ヒルズ ウェストウォーク 2F・3F

上品なレースをカジュアルに取り込んだジップアップブルゾン。電車の移動中など、暑いのに寒いという状況に、ぜひ持っていたい逸品。高原でバカンスを過ごすときも、夜は肌寒くなるので一枚あると便利。ブルゾン¥41,800(ソブ/ソブ ダブルスタンダードクロージング/六本木ヒルズ ヒルサイド B1F

袖にチュールのフリルが幾重にもデザインされたブラックシアードレス。今年なら黒のタンクトップと白のショートパンツに重ねたいです。軽やかでゴージャスな雰囲気が漂う一着をカジュアルに着こなし、おしゃれ心復活の起爆剤にしてはどうですか?ドレス¥60,500(マージ/エストネーション/六本木ヒルズ ヒルサイド 1F・2F

柔らかなヌードカラーが印象的な透け感のあるニットトップ。パフスリーブやウエストの切り替えでつくるふわりとしたボリュームがかわいい。トップ¥18,700(ユナイテッドアローズ/ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店/六本木ヒルズ ウェストウォーク 2F

動きとともに裾のフリンジが揺れるノースリーブワンピース。同じくノースリーブの黒か白の膝丈ワンピースに重ねて着こなしたい。リゾートなら、ビキニとショートパンツにレイヤーしても。ワンピース¥30,800(エストネーション/六本木ヒルズ ヒルサイド 1F・2F

落ち着いた色味のガーデンプリントが上品なエブールのワンピース。ボウタイは取り外し可能。ウエストに巻いて雰囲気を変えたスタイリングもおすすめ。ワンピース¥108,900(エブール/六本木ヒルズ ウェストウォーク 3F

全体にパンチングが施してあるため、程よく透けるY-3のTシャツ&タンクトップ。スポーツはもちろん、普段使いにも。速乾性は抜群。Tシャツ¥21,450、タンクトップ¥17,600(ワイスリー/表参道ヒルズ 本館B1F

番外編ですが、ソールまでメッシュになったハイテクスニーカー。ソールは3Dプリントにより作られた構造で、見た目の軽やかさだけでなく、クッション性も追求したデザイン。足もとから軽やかに。スニーカー¥66,000(ワイスリー/表参道ヒルズ 本館B1F

地曳いく子が指南する
透け感プレフォールのススメ

❶ ブラキャミという最強の相棒がいるので

透け感のあるアイテムというと、かつては「どうやって着るのか?」問題が先に頭をよぎっていました。ライナー付きであっても、ライナーとブラ紐の二重問題が勃発したり、ライナーの襟ぐりと本体のフィット感がいまいちだったり(これは、あくまでも私の経験ですが)。すっきりと着こなすのが難しく、シースルーは、おしゃれ上級者だけが着こなす高度なアイテムでした(もしくは、夜にクラブへ行く時!? )。でも今は、胸元が美しく開いたブラキャミなど、進化したカップ付きインナーの台頭のおかげで、そんな問題も緩和されつつあります。お陰で攻めたモード系だけでなく、ボウタイブラウスやコンサバなシャツなど、取り入れやすいアイテムも多く登場しています。普段使いの透け感トップス+ブラキャミでおしゃれをアップグレードしてみませんか。

❷ 気負わず気楽に、自由な心意気で

時代のカジュアル化志向とともに、透け感素材のおしゃれも自由度がアップしています。ラブリーな透け感ワンピースも、スニーカーやスポーティーなサンダルを合わせれば、いつものおしゃれにも投入可能。それだけで、こなれた感がアップします。以前だったら、ラブリーな同系の靴やエスパドリーユを合わせ、リゾートオンリーなムードに偏りがちでした。軽い気持ちで毎日のスタイルに取り入れるのが今年。涼しくなってきたら、ジャケットを重ね、透け感を覗かせてみるのも素敵です。

❸ おうちケアもOKなさらっと感

とにかく素材の進化がとまりません。かつての透け感の代表格といえば、シルクシフォン。ですが、一回着たら即クリーニングへ直行。出すのも面倒、取りに行くのも面倒。お金もかかりました。今のシアー素材は、ネットに入れて洗濯機のおしゃれ着コースでOKなものも増えています。機能性だけでなく質感もしなやか。しかも、汗をかいても乾きやすく、背中のべとつきも軽減(コットンなどの天然素材はそうはいかない! )。見た目も自分も涼しげなプレフォール、トライしてみる価値はありますよ。

❹ タグは切るの切らないの!?

透け感素材についてまわるタグ問題。私はというと、タグは切る派です。基本的に洗濯情報なので、自分が知っていれば要らないですから。でも、転売する予定があるなら、タグが付いていないと売れないのでご注意を(笑)。そんなときは、小さく折り畳んで、両面テープでくっつけてしまうと目立たなくなります。撮影の時の対処法ですが、タグの面積が半分になっただけでも印象は異なってきますので、試してみてください。

 

profile

地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、女優や著名人のスタイリングも数多く手がける。大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評を持ち、執筆も多く手がける。現在は、ファッションアイテムのプロデュースほか、テレビやラジオに出演するなど多方面で活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)『おしゃれは7、8割でいい』(光文社)『日々是混乱』(集英社)など多数。最新刊に『60歳は人生の衣替え』(集英社)。

※ 2023年7月現在の情報となります。
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