IKUKO’S FASHION METHOD

心踊るプリントとレトロチェック——地曳いく子のおしゃれメソッド63

ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のテーマは、プリント&レトロチェックです。

STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA

弾ける気持ち一歩手前のワンステップを

世の中が動き出し、閉じこもっていた心も身体も、少しずつ外に向かいたい今日この頃(もちろん気を付けながらですが)。そんなときは、てっとり早く形から入ります。まずは、“ちむどんどん”するアイテムの投入。気がつけば黒ベースの服ばかりの私ですが、ぽかぽか陽気とともに急に黒以外のものが着たくなり、先日、フルレングスのカラフルな総花柄ワンピースで外出してみました。もう、それだけでウキウキ気分に。そうです、ファッションは、楽しい気持ちになるためのもの。まだ燦々とした太陽の下で「ウェーイ」という気持ちまで全開とはいきませんが、心を動かす準備段階をしておきましょう。今回は、ファッション心復活のお助けアイテムとして、この夏はトロピカル&ボタニカルなプリントと、どこか懐かしいレトロな色調のチェックに注目してみました。今回は豪華2本立てでお送りします。

一枚着るだけで華やいだ気持ちになるライム×ネイビーのチェック柄ワンピース。お袖にボリュームがありますが、前合わせが深いVなのですっきりとしてみえます。サンダルを履いてリゾート、ミュールでパーティー、スニーカーと合わせて普段着にしても。色々な顔をしてくれる万能な一着。ワンピース¥55,000 ※六本木ヒルズ店限定(ユナイテッドアローズ/ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F

今夏に注目したいのは、シックな色合いのレトロチェック。60年代のフランス映画に登場しそうなこのノスタルジックな雰囲気のワンピースを着て、海辺を歩きたくなります。ドレス¥46,200(ダブルスタンダードクロージング/ソブ ダブルスタンダードクロージング/六本木ヒルズ ヒルサイドB1F

マルチカラーのジオメトリックなプリントが印象的なセットアップ。上下でワンピース風にしてもいいですし、ブラウスをデニムにコーディネイトしてもかわいい。スカートだけなら、柄から一色とったカラーTシャツを合わせて。ボウタイブラウス¥30,900、スカート¥37,400(ソブ/ソブ ダブルスタンダードクロージング/六本木ヒルズ ヒルサイドB1F

大きなつばの帽子を被り、海や高原に行きたくなる花柄ワンピース。もちろん、犬の散歩などデイリーにも着たいです。フーディーを重ねてカジュアルに、白いジャケットを羽織れば少しかしこまった感じに。サマードレス¥53,900 ※デザインワークス別注商品(デミキッテ/デザインワークス ドゥ・コート/六本木ヒルズ ウェストウォーク3F

ゆったりとした直線的なシルエットを彩るのは、レモンイエローの淡い色の花々。全身総柄フルレングスに躊躇する方もいるかもしれませんが、着物や浴衣を着る感覚でトライしてみてください。ドレス¥119,900(クリスチャン ワイナンツ/ビームス/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F・3F

無地のキャミドレスから今年は一歩踏み出してプリントものをぜひ試しあれ。さらにハッピーな気持ちになれます。ボタニカルな柄もこのぐらいシックなら、リゾートだけでなく都会でも活躍します。キャミドレス¥24,200(ユナイテッドアローズ/ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F

ポケットにクシュクシュとしまうことができ、しかもそれがポーチに変身するというポケッタブル ウインドブレーカー(写真中央がウィンドブレーカーで、左が変身後のポーチ)。アーティスティックなプリントは、Y-3の20周年を記念し、これまでにアーティストとコラボレーションをしてきたモチーフをコラージュしたもの。今年は開催が多く予定されているフェスに持っていきたいですね。ポケッタブル ウインドブレーカー¥71,500、キャップ¥10,450(ワイスリー/表参道ヒルズ 本館B1F

落ち着いた色合いのチェック柄シャツでも、透ける素材なので軽やか。オーバーサイズなので、ワンピースに重ねたり、キャミソールと細身のパンツの上にふわっと着たり。レイヤーして楽しめます。ロングシャツ¥69,300(テルマ/エストネーション/六本木ヒルズ ヒルサイド1F&2F

ヴィンテージ感のある60sレトロなフラワープリントが素敵。きちんと着こなしてもいいですが、Tシャツと合わせてカジュアルに着るのが今年のスタイル。スカート¥69,300(ラ プレスティック ウィスティン/エストネーション/六本木ヒルズ ヒルサイド1F&2F

一見するとウールのタータンと思うかもしれませんが、実は無地のインナーにシアーなシルク素材のチェック生地を重ねたレイヤースカート。歩いたときにふわりと透けるチェックの柄が涼しげな印象に。スカート¥97,900(エブール/六本木ヒルズ ウェストウォーク3F

ボタニカルプリントが気分をあげてくれるチノのパンツ。スポーティーなライン入りのゴムバンドが、光沢のあるエレガントなパンツに今年らしい抜け感を演出。スリットが入ったようなひねりのきいたデザインもさすがです。パンツ¥49,500(チノ/表参道ヒルズ 本館2F

トロピカルプリントもグリーンの濃淡で描かれれば、派手になり過ぎずシックな雰囲気に。ウエストがゴムなのも嬉しい要素。イージー&エレガントで今年はプリントものを楽しみたいです。パンツ¥50,600(コルピエロ/ミューズ ドゥ ドゥーズィエム クラス ロッポンギ/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F

気分をあげたい夏は、やっぱりトロピカルプリント。でも華やかな柄が苦手という方は、黒ベースのものを選ぶと入りやすいです。パンツ¥24,200(ユナイテッドアローズ/ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F

柄物の洋服はどうしてもハードルが高くてという方は、トロピカルなムードのスカーフを取り入れてみても。首もとやバッグに巻くだけでも、十分に気分が上がります。スカーフ¥23,100(ディエッフェ キンロック/ビームス/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F・3F


 

地曳いく子が指南する
プリント&チェックのススメ

❶ 呼び覚ませ着物文化のDNA!

昨年、フライングでフルレングスをテーマにしましたが、今年のワンピースもますますロングになっています。無地のカジュアルなスリップドレスなら、持っている人も多いのではないでしょうか。今年は、さらに一歩気持ちを上げて、花柄やトロピカルプリントに挑戦してみてください。総柄フルレングスというと、一瞬抵抗を感じる人もいるかもしれません。でも思い出してみてください。日本人は、着物や浴衣をずっと着てきたではないですか。DNAとして総柄フルレングスに慣れているはず!(笑)。そんな気持ちで着てみると、身長や体形に関係なく、意外と着ることができてしまうのです。少し派手過ぎと思ったら、ロングカーディガンで縦線を強調して柄部分を減らしてみたり、ダブルジップフーディーを胸元と下だけ開けて前を締めカジュアルに着こなしても。今年はぜひ、プリントものにトライして、ファッション心をリブートしましょう。

❷ 苦手意識はボトムスで解決

プリントものにトライしたい、でもやっぱり苦手という方は、ボトムスに取り入れてみてください。顔から離れているので、華やかな柄でも顔と喧嘩することもなく、今年の気分へとあげてくれます。その際のトップスの色選びの一番簡単な方法は、プリント柄の一色を取ること。そうすれば、絶対失敗しません。チェックも同じ法則でいけます。

❸ 目指すはイージーでエレガント

今年は、ウエストゴムのプリントスカートやパンツが豊富。ゆったりとしたシルエットで、素材は軽やかなものや光沢のあるものなど、動きとともに揺れるデザインに注目です。楽ちんなのにエレガントが、今年の大人のプリント。フラワーやトロピカルプリントはリゾート感が強いのではと思う人は、ダークトーンやブラックベースのものを選べば、都会で着ていても馴染みがいいです。普段から穿いて、お外をヒラヒラ歩いてください。

❹ 気分は60年代フランス映画

今夏注目したいチェック柄は、パキッとした色ではなく、落ち着いた色調のもの。60年代のフランス映画に出てくるような海辺で着たい、どこか懐かしい感じがするレトロなチェックです。透けるシアーな素材のものを選ぶと、深みのある色合いのチェックでも重くならず、エアリーな印象で着こなせます。
 

※2022年5月現在の情報となります。
※表示価格は全て税込価格です。
※店舗により臨時休業や営業時間を変更させていただく場合がございます。詳細は「六本木ヒルズの営業状況について」「表参道ヒルズの営業状況について」をご確認ください。

 

profile

地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、女優や著名人のスタイリングも数多く手がける。大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評を持つ。現在は、ファッションアイテムのプロデュースほか、テレビやラジオに出演するなど多方面で活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)『おしゃれも人生も映画から』(中央公論新社)『買う幸福』(小学館)『おしゃれは7、8割でいい』(光文社)『日々是混乱』(集英社)など多数。6月上旬に、ムック本(宝島社)を発売予定。