IKUKO’S METHOD

初夏はフルレングスでいこう——地曳いく子のおしゃれメソッド50

ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のテーマは、初夏に着たいフルレングスです。

STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA

どこかグレイスな気持ちを入れたいから

数少ない今シーズンの展示会に行ったなかで、目に飛び込んできたのが、フルレングスのワンピースやスカートみえするワイドパンツ。くるぶしが隠れるぐらいまでの丈が新鮮に映りました。これまでの生活が一変し、おうち時間が長かったせいかもしれません。ネットフリックスで『ザ・クラウン』や『ベルサイユ』、韓流ドラマに現実逃避し、優雅なドレスやチマチョゴリを見ている影響なのか、フルレングスなものが着たくなってしまいました(笑)。こんな時代だからこそ、どこかグレイス(優雅)な気持ちを求めてしまうんです。そうしたら展示会で、私の気持ちをアゲてくれるワンピースがいっぱいあるじゃないですか。レースやシアーな柄物だけでなく、以前ならミッドカーフ(ふくらはぎ)丈ぐらいだったシャツドレスやタンクドレスもくるぶしぐらいのロングな長さになっていて。そういえば、コロナ禍直前に訪れたタイの「マンダリン オリエンタル バンコク」で見たセレブマダムも、プールサイドのドレスコードはフルレングス。マキシ丈のキャミワンピもトーガドレスを優雅に着こなしていたのを思い出しました。気軽にヴァカンスへとは行けない状況ではありますが、ご近所に散歩やお茶をしに行く時に、フルレングスの服を着て出かければ、それだけで気持ちも変わるのではないでしょうか。「おうち近所でもフルレングスで!」が合言葉です。

フラワープリントも引き締まって見える大人ネイビーなので、落ち着いた雰囲気に。初夏のフルレングスは、歩いた時にふわりと舞う軽やかな印象のものを選ぶのがポイントです。ワンピース¥37,400(ソブ/ソブ ダブルスタンダードクロージング/六本木ヒルズ ヒルサイドB1F

優雅な気持ちになれるハイネックのフラワープリントワンピース。エレガントにまとめてもいいですが、レザーのライダースジャケットと合わせてロックに着こなしたい気分です。ワンピース¥52,800(コラム/エストネーション/六本木ヒルズヒルサイド1F&2F

ロマンティックなホワイトレースのワンピースは憧れ。オトナ女史には可愛すぎ?と躊躇する人もいるかもしれませんが、コンバットブーツと合わせたり、ヒッピーぽく着こなしたりで、表情も変わってきます。ワンピース¥37,400(ソブ/ソブ ダブルスタンダードクロージング/六本木ヒルズ ヒルサイドB1F

インパクトのある太いストライプ柄のシャツワンピですが、女性らしい柔らかな色味と雰囲気が素敵。バックにはウエストゴムがあしらわれ、立体感のあるデザインがポイントに。リボンを高めの位置でウエストマークすればスタイルアップも。ワンピース¥49,500(バグッタ/ビームス/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F・3F

一見はコンサバなネイビーのワンピースですが、マキシ丈なのでモード感がぐっとあがります。今の気分なら、コンバースのハイカットスニーカーと合わせたいです。ワンピース¥69,300(エブール/六本木ヒルズ ウェストウォーク3F

ニットのトップとフレアスカートが一体化したワンピースは、コーディネイトに悩む必要なしのパッと着られる便利な一枚。ワンピース¥70,400(アドーア/六本木ヒルズ ウェストウォーク3F

全体のバランスがオーバーサイズなカフタンドレスは、着ると下に落ちてフルレングスに。リネンが入っているのでシャリっとした張り感があり、大人が着てもカジュアル過ぎずシルエットもきれいに見えます。ワンピース¥46,200(アドーア/六本木ヒルズ ウェストウォーク3F

流れるようなラインが美しいニットワンピ。シンプルでカジュアルなデザインですが、ニットの素材感とマキシ丈がぐっと大人の雰囲気に仕上げてくれます。ワンピース¥31,900(エブール/六本木ヒルズ ウェストウォーク3F

一枚着るだけで、華やかな気持ちにさせてくれるオレンジ。上まできっちり締めたライダースと合わせて着ると可愛いです。ワンピース¥55,000(ユナイテッドアローズ/ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F

できることなら真夏にこれ一枚だけで、海辺かプールサイドに行きたいですが、この時季ならグレーや白の半そでTシャツとレイヤーして。色々なコーディネイトで楽しめます。ワンピース¥40,700(ドゥーズィエム クラス/ミューズ ドゥ ドゥーズィエム クラス 六本木店/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F

穿くとほぼスカートに見えるワイスリーのワイドパンツ。サイドバックに大胆なスリットが入り、遊びとひねりも利いた一着。パンツ¥41,800(ワイスリー/表参道ヒルズ 本館B1F

ちょっと個性的に攻めたいなら、ニットのオールインワンで。ロンTや袖にボリュームのあるシャツと合わせておしゃれに。オールインワン¥30,800(エストネーション/六本木ヒルズヒルサイド1F&2F

鮮やかな赤が印象的なタイトシルエットのラップスカート。トップスに黒が多い人は一枚持っているとスタイルの幅が拡がります。もちろん爽やかに白Tと合わせても。スカート¥38,500(ワイスリー/表参道ヒルズ 本館B1F

フルレングスのワンピースにちょっと勇気がいるという人は、まずはマキシ丈のスカートから。今年はフォレストグリーンのような色が気になります。スカート¥26,400(ダブルスタンダードクロージング/ソブ ダブルスタンダードクロージング/六本木ヒルズ ヒルサイドB1F

地曳いく子が指南する
フルレングスを着こなす心得

❶ 自分のパーフェクトフルレングスを探せ

ワンピースでもパンツでも、長いものを買うときは、試着はマストです。鏡の前でちょっとあててみた感じと、実際に着た時の丈はかなり違います。ワンピースの場合は、胸の大きさ、腰の高さや張り具合によっても、丈の長さは変わってきます。体型だけでなく、身長も人それぞれ。見た目や謳い文句だけでの判断は禁物です。今年は〇〇センチワンピと断言していたのは過去の時代。今は、自分のパーフェクト丈を探してこそ。脚のきれいな見え方も人により異なります。くるぶしが見えるちょっと上のほうがきれいに見える人もいますし、隠してしまうぐらいのほうが似合う人もいます。自分に合ったフルレングスを、まずは見極めましょう。

❷ 時代の空気はかわっていくもの

時代の感覚は常に移り変わります。かつてフルレングスといえば、パーフェクトな縦長シルエットでなくてはいけないという呪縛がありました。旧時代の「ロング&リーン」というスタイルです。聞き覚えがありますよね。全然ロングでもリーンでもない私たちができたことといえば、8センチヒールや超厚底サンダルを履いたりすることだけ。でも、今なら、タイトだろうとティアードスカートだろうと、身長がなくても気にせず、スニーカーやテバのサンダルでおしゃれになってしまうのです。

❸ おしゃれは慣らし期間が必要

マキシ丈のワンピースやスカートに初めて挑戦する人は、躊躇する方もいるかもしれません。でも、似合うかどうかは一度ではわからない。フラワープリントやレースのフルレングスワンピはかわいいけれど、年甲斐もなく……なんて思う必要もありません。着たいと思ったとき着た者勝ちなのです。まずは、好きな気持ちを優先させて。いきなりこなれた着こなしができるのは、モデルさんの中でも少ないもの。1度試して落ち着かなければ、カーディガンを羽織ってみたり、徐々に自分自身を慣らすことも大事。おしゃれは、自分のものになるまで、ちょっと時間が必要なものなのです。その慣らし期間が、またファッションの楽しみでもあります。

❹ この丈だからこそ今年らしい

今年のフルレングスですが、コンサバ顔のワンピースも、そのままの雰囲気で丈が長くなっているものが多いです。丈がミッドカーフだとお嬢様感が出てしまうのですが、くるぶし丈になるだけでぐっとトレンド感が増します。長めのものはすでに持っている方も多いかもしれませんが、ぐんと長くすると今年らしさプラスされるので、試してみて下さい。

❺ 意外とバランスが取りやすい

フルレングスは、意外と今のオーバーサイズなトレンドとも相性よく、バランスが取りやすいアイテムでもあるのです。マキシ丈のワンピースにオーバーサイズのジャケットなんて組み合わせ、素敵ですよね。カーディガンはショートでもロングでも似合いますし。ライダースジャケットと合わせれば、昔のロックスターの彼女気分も味わえます(笑)。コンバットブーツもおしゃれセレブな着こなしに。なんだかんだと一枚持っていると、色々使えますよ。
 

※ 六本木ヒルズおよび表参道ヒルズでは緊急事態宣言の発令を受け、一部店舗を除き臨時休業いたしております。なお生活必需品を扱う店舗および飲食店舗は一部営業しております。お客様には大変ご不便をおかけいたしますが、何卒ご了承ください。
※ 2021年5月現在の情報となります。
※ 表示価格はすべて税抜き価格です。

 

profile

地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、女優や著名人のスタイリングも数多く手がける。大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評を持つ。現在は、ファッションアイテムのプロデュースほか、テレビやラジオに出演するなど多方面で活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)『おしゃれも人生も映画から』(中央公論新社)、『買う幸福』(小学館)、『おしゃれは7、8割でいい』(光文社)、ひとりっPこと編集者の福井由美子との共著『たまには世界のどこかでふたりっぷ』(集英社)など多数。最新刊に『日々是混乱』(集英社)。