ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のテーマはトートバッグです。
STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA
Stay at home だからこそ楽しいことを考える
緊急事態宣言が出されてから一カ月半。自粛生活が続くなか、ほぼ家で原稿を書く日々が続いていました。
この大変な状況のなか、働いてくださっている医療関係の方々、見えないところで支えてくださっているエッセンシャルワーカーの方々、通勤せざるを得ない方々、本当にお疲れ様です。ありがとうございます。そして、新型コロナウイルスに感染された方々の一刻も早いご回復と、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りします
緊急事態宣言が緩和された地域もでてきましたが、東京はまだしばらくstay at home? 私はこんな時だからこそ、COVID-19が終息したら何をしたいか、楽しいことを考えるようにしています。自由に外出できるようになったら、どんなバッグを持ってどこに出かけたいですか? 今回紹介するのは、これひとつで様になるインディペンデントなトート&ショッパー型バッグ。ぜひ自分に合ったバッグを見つけ、楽しいことを想像してみてください。
地曳いく子が今気になる
トート&ショッパー型バッグのあれこれ
❶ プログレ(進化)するトート
トートバッグといえば、キャンバス地のカジュアルなタイプや、荷物を入れるためのサブバッグ的存在のイメージでしたが、今季の展示会で気になったのは、それだけ持てば“様”になる主張の強いものやエレガントなもの。もちろんこれまでにも、“ひとつ持ち”トートはありましたが、もっと実用的でゴツいものが多かったように思います。今季は、トートなのにマチが狭かったり、キャンバスだけどシックなものがあったりと、スタイルの幅が広くなり、プログレ(進化)している気がします。オフの時にも持てる遊び心のあるデザインや、お仕事にも使えるバケツ型のエレガント系トートも多く登場しているので、ぜひ自分の個性に合った“ひとつで様になるインディペンデントな”トートを見つけてみてください。
❷ 大切なのはスタイルとのバランス
今季のトートは、大きさやバリエーションが豊富。数シーズン前からコレクションなどで注目を集めていたショッパー型バッグも気になるところ。選択肢が多い分、自分に合うバッグはどんなタイプ?と悩む人もいるかもしれません。背が高いから大きいのが似合うというのは、ひと昔前の考え。大きい人は大きめ、小さい人は小ぶりというのは、ベースとして一理ありますが、今はオーバーサイズの服がトレンドにもなる時代。服のボリュームもバランスの一部に入ることもお忘れなく。単体で可愛くても、しっくりこなければすっぱり諦めることも肝心。その人のスタイルとのバランスが一番大切です。
❸ バッグでつくる抜け感もあり
最近のトレンドはカジュアル傾向にあります。だからこそ、トートが似合うというのもありますが、かっちりした格好が好きな人もご心配なく。あえてバランスを崩すのが今の時代。エレガント系が好きな人は、レディライクなハンドバッグが定番ですが、トートタイプのバッグを持つことで抜け感を作ることもでき、今の雰囲気をプラスできます。用途やスタイル別だけではないのが、21世紀のバッグの選び方です。
❹ 容量があっても、詰め込まない!
コンパクトバッグの出現とともに、お財布、スマホ、家の鍵、の“三種の神器”以外の持ちものをスリム化することに慣れつつあるかと思います。容量のあるトートでも、この基本はしっかりキープするのが肝心。どんどん詰め込み過ぎるのは禁物です。私が仕事を始めた頃は、住所録や手帳、地図なんてものもバッグに詰め込んでいました(笑)が、スマホひとつあれば生きていける時代。つい余計なものを入れてしまうというトートの落とし穴に気を付けましょう。実際重くなってしまいますしね。大きくても中身はあくまでもスマートに!
❺ メンズもののチェックもお忘れなく
トートやショッパーなら、メンズものも違和感なく持てるのがいいところ。今季は、メンズでもトートが多く出ているので、メンズコーナーをチェックすることもおすすめします。
❻ #ニューノーマル へ意識改革
新型コロナウイルス感染症の影響で、これからの時代が変わるかもしれません。これまで当たり前だったことを見直し、自分たちの意識も変えていく必要があります。例えば、今回のトートひとつとってみても、考えることはできます。小さなハンドバッグを床に置くことはほぼしないと思いますが、トートバッグは床や地面につい置きがちですよね。でも、トートを膝の上や椅子の上などに置くようにして、家の中にできるだけ汚れやウイルスを持ち込まない。小さなことですが、これまでの生活をかえる“#ニューノーマル”な意識改革が、私たちには必要になってくるのだと思います。
地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、女優や著名人のスタイリングも数多く手がける。大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評を持つ。現在は、ファッションアイテムのプロデュースほか、テレビやラジオに出演するなど多方面で活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)『おしゃれも人生も映画から』(中央公論新社)、『買う幸福』 黒田知永子との共著『おしゃれ自由宣言』(ダイヤモンド社)(小学館)『おしゃれは7、8割でいい』(光文社)など多数。
SHARE